Blog
ブログ

家庭洗いアドバイス~表示の見方・洗い方~

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

新年、明けましておめでとうございます^^
今年もよろしくお願いします!

今年最初の記事は何にしようかなぁって・・・
色々と考えたんだけど、こんなことできます!って記事よりお客様からよく聞かれることを書こう!

ということで、洗い指定、洗い方、注意点など家庭洗いについて書こう!と思います^^

まずはこのワンピースは・・・風で舞っちゃったのかな・・・どぶ川に落ちてしまいシミになってしまったというご相談です。
綺麗にできたのかどうかは仕上がり画像を載せていますのでみてください。

今回は表示と素材、なぜこの素材でこの表示なのか・・・
参考にしてみてくださいね。

◆品質表示はとても大切だってこと知ってる??

とても重要だけどほとんどの人が知らない品質表示の意味。

当店へご来店くださったお客様にはよくご説明させてもらっていますが、ほぼ100%と言っていいくらい、ほとんどの方が知りません。

この表示からいろんなことがわかるし読み取れる、服の情報のすべてはここに詰まっています。

ということで・・・説明していきますね。

◇書かれている絵マークの説明

この絵マークは見たことがある人もいると思います。
今回の品物についている洗い指定の絵マークを左から説明していきます。

より詳しい説明はこちら ↓ をご覧いただければと思います。
消費者庁公表資料

① 桶に手マーク(水洗い方法のマーク)
手が書かれているのでバケツや桶を使い手洗い指定となります。手洗い時の温度は40℃以下指定となります。
洗濯機の手洗いコースは洗濯機での洗いになりますので、この表示の場合は指定外の洗いになってしまいます。
理由は「このワンピースはどう洗う?」で詳しく説明させて頂きます。
このマークが×の場合は、家庭での洗濯はできない(保証されない)指定となります。

② 三角に✖(漂泊方法のマーク)
✖がついている場合、塩素系も酸素系も漂白は不可となります。

③ 四角の中に丸に✖(乾燥機使用のマーク)
✖がついている場合はタンブル乾燥禁止となります。

④ □に横棒斜め線(干し方のマーク)
横に棒があるので平干し、斜め線が入っているためさらに日陰干しという表示です。

⑤ アイロンマーク(アイロンの温度指定)
点が一つついているため低温(110℃)以下でのアイロンがけが可能という表示です。

⑥ ドライクリーニングのマーク(クリーニング業者用)
✖がついているためドライクリーニング不可の表示です。
ドライクリーニングは専用の溶剤を使い専用の設備で洗うため、家庭でドライクリーニングすることはできません。

⑦ ウェットクリーニングのマーク(クリーニング業者用)
このマークはクリーニング業者による水洗いの表示です。
下線が2本ついているためとても弱く洗う指定となっています。

一番最初(一番左)の水洗いのマークが家庭洗いをする上では一番重要になります。
特に夏物はついた汗を自分で洗い流せるかどうかが一目で確認できますので、買うときに気にしておくといいと思います。

◇洗い指定は世界一厳しい基準をクリアして付けられています

この品質表示は服の保証書になっています。
基本的にクリーニング店もこの表示に従って洗いますので、表示がない服は断られることもあります。


クリーニングテスト基準に則ってテストをし、不具合が出ない洗い方を記すよう法律で義務付けられているのがこの表示であり、保証書としての役割もしています。

指定通り洗って不具合が出た場合、メーカーには法律上保証することが義務付けられています。

切り取ってしまうと保証書としての効果はなくなってしまいます。
切り取り線がついているものもありますが、切った時点で保証を捨てているのと同じことになりますので、ご注意ください。

指定に従って洗って不具合が出た場合、どうしたらよいかわからなければ
「188番」(消費者庁総合案内)に電話して相談すると最寄りの消費者相談センターを案内してくれます。

消費者の立場に立って法律的見解も含めアドバイスしてくれる公的機関で相談は無料です。服だけじゃなく消費者の困ったことを相談できる場所なので覚えておくと役立つときがあるかと思います^^

◇表示からわかる服の作られ方、メーカーの考え方(コンセプト)

この保証書(表示)に家庭で洗えるように水洗い可の表示をつけたい場合、服を作る段階から水洗いしても不具合が出ないように作っていきます。

水洗いしても縮んだりゆがんだりしないよう、目詰め処理をしっかりする事や、
他の服に色が移ったり滲んだりしないよう、水洗いに対して耐久力のある染料やプリント材料などを使い作ります。

水につけるだけで縮んでゆがんだり、色がにじんだりしたら保証することになるため、本当に大丈夫なのかテストまでします。

夏の汗になる時期に着る服の場合、水洗いをしたいですよね。
そんな時にこの洗いマーク見て、水洗い不可となっていたらこのメーカーは汗がついても洗えないから汗を服に付けないように着てください!と言ってるのと同じことになります。

ドライクリーニングは油汚れには強いですが、汗は落ちません。

◇水洗い出来る素材なのに不可とするのはなぜ?

品質表示の意味を知ると、とても大切な表示で、家庭でだれでも洗えるように服を作るって難しいことなんだなと、なんとなくでも伝わったんじゃないかな。

例えば綿って家庭で洗えるってイメージがあると思うけど、目詰め処理されていないと3~5%程度縮むんです。
丈が1mあるとすると3~5センチ程度縮むってことです。

丈だけでなく、横幅も縮みますので、パンツなら短くなって窮屈になって履けなくなりますね。

色も付けるだけなら簡単です。赤い色鉛筆でもクレヨンでも絵具でも、つければ色は付きますから。その付けた色を洗っても落ちないようにすることが難しいんです。

水洗いが出来るように作ろうと思うと生地の目詰めにしても、色の堅牢度(定着力)を上げるにしてもコストがかかる作業になります。

実際、生地の質感や風合いを残したまま洗いに強くするのは結構難しいし大変です。

水洗い可能の表示をつけるということは、一般家庭の人が普通に洗っても不具合が出ない服作り、洗っても大丈夫な染色をしなければいけない。
そしてもし不具合が出たら保証しなければいけないというリスクもかかってきます。

水洗い表示を×にしてしまえば・・・たとえしっかりした服作りをしていたとしても、保証するリスクを回避しながらテストをするコストも削減できます。

服の情報、作られ方なども読み取れるのが品質表示になります。

◆レーヨン93%、ポリウレタン7%ってどんな素材?

基本レーヨンって水に弱い素材なんです。
レーヨンはパルプから作られている繊維で、素材的には紙と同じなんです。

だから昔のレーヨンって例えば雨に濡れると簡単に破れたり縮んだりするそんな素材でした。
レーヨンニットなんかは扱いがとても難しく、流行ったころは日本中でクレームの嵐になったこともあります。

今では水にも強く改良され、水洗いしても破れたり縮んだりしないウォッシャブルレーヨンもあります。

レーヨンなのに手洗いOKという表示からウォッシャブルレーヨンが使われていることがわかります。

ポリウレタンって2~3%とか混紡されている服ってたくさんありますよね。
ポリウレタンは伸縮しない素材を伸縮するようにするためのゴムのような役割をしています。

ポリウレタンを芯に使って、伸縮しない糸を横に巻いてずれながら伸縮するように作られたスパンテックスや、完全に溶解した状態からポリウレタン樹脂を練り込んで糸自体に伸縮性を持たせるなど、いろんなところでポリウレタンは使われています。

ただし、このポリウレタンは経時劣化と言って時間とともに寿命がきてしまう、そんな素材です。

例えば輪ゴム。
しばらく放置してあるとペタペタと溶け出していたり引っ張ると弾力がなくなりブチって切れるようになります。

これと同じ現象が起きてしまうのもポリウレタンの特徴です。

早いものだと2~3年もすると伸縮しなくなったり(伸びっぱなしで戻らない)溶け出してペタペタして来るものもありますが、使わず大切にしまっておいても寿命が来てしまう素材なので長年愛用はとても難しくなります。

◇このワンピースはどう洗う?

基本、指定に従って洗います。
よく質問されることは「桶に手マーク」の意味です。
2017年以前に作られたものだと「桶のマークに手洗イの文字」が記されていますが同じ意味です。

この手洗い表示の服を洗濯機の手洗いコースで洗っても大丈夫なのかな??って事。
家庭洗いで起きる不具合は水につかっている時間の長さに比例して起きやすくなります。

ソフトに洗うのであれば洗濯機についているおしゃれ着洗いコースとか手洗いコースで洗えばいいって思いますよね。
ここで考えなければいけないのが洗っている(繊維が水に浸かっている)時間です。

バケツなどを使って手早く洗うと3~5分もあれば洗い終えます。
でも洗濯機で洗うと1コース30分程度かかります。

手洗い程度では色が出ないものでも、長い時間水に浸かり、完全に浸透してしまうと色が出てきてしまうものもあります。

さらに洗濯機で洗うと脱水され止まってから干すまでの時間もかかったりします。
今まで色移りしたことない服でも、脱水された後そのまま10分とか時間がたつと、すぐ干せば移らなかった色も、色柄が重なった状態で強く押さえられているため、色移りしてしまう場合もあります。

手洗いの場合、濯いだあと洗濯機になりよく入れ、脱水だけ10~30秒ほどして手動で止めすぐ干すことで、シワになりにくく、濡れた状態をなるべく短くすることができ、色移りも抑えることができます。

また、表示には洗剤指定がないけど、洗剤によっても事故の起きやすさは変わります。

手洗い、洗濯機でのソフト洗い時に使う洗剤は中性洗剤のみとなります。
アルカリ洗剤はソフトなすすぎでは洗剤が残留するため後で変色が出ます。

洗剤はどの位いれたらいい?ともよく聞かれますが、洗濯物の量が変われば当然洗剤の量も変わります。
洗濯物の汚れ具合でも洗剤の必要量は変わってきます。

ならどうしたらいいの・・・?というと、目安は泡の立ち方になります。
夏場、洗濯中の洗濯機を覗いて泡が全く立っていなければ洗剤が足りてません。
冬場、泡がたくさん立ってもこもこしていたら今度は洗剤が多すぎます。
泡が消えない程度に程よく泡立っている状態がベストです。

熱などが出て、翌日に髪を洗うと、一回目はあまり泡が立たず、二回目は同じシャンプーの量でも泡がすっごい立つ経験ありませんか?
それが汚れが多いのか、洗剤が多いのかということです。

これはクリーニング店の考え方になりますが・・・
水につかっている時間を短く!これが「手洗い」マークがついている意味として考えてください。

◇実際の洗い方

表示を見ると指定の洗い方は、手洗い、日陰での平干し、アイロンをかける場合は低温(110℃以下)という指定になっています。

まず洗い方ですが、今回の場合は「中性洗剤を使いバケツなどを使って手洗いする」のが指定の洗い方となります。

次に干し方です。
平干しする理由は、レーヨンが水分を含み重たくなり、ハンガーで干すと伸びてしまうからです。

ニット系など、アクリルも同じですが、ハンガーに吊るすと肩だけじゃなく全体が服自体の重さで伸びちゃいます。

だから形を整えて平干しします。

織りの粗い服やニット系でシワにならないよう脱水を弱くした場合、持ち上げてだらっと重たいと感じたら平干しをしたほうがいいですね。

最後にアイロン仕上げについて。

アイロンは低温で・・・となっていますが、レーヨン自体は高温(200度以下)でかけても平気です。

もちろんアイロンを当てたままにすれば焦げちゃいますけど・・・

低温指定の理由は柄(プリント)です。
温度がプリントの耐久力より少しでも高いとアイロンが当たった時にプリントが溶けてしまうんです。
当て布すれば大丈夫なものも多いけど、当て布にプリントが貼りついたりすることもあるので・・・
アイロンを当てる場合は低温で、って指定になっています。

厳しい基準をクリアして洗いを指定するのは、特別な知識がない方でも安全に不具合が出ない洗濯ができるようにするためです。

だから、洗いの基本は表示に従って洗うことになり、クリーニング店でも基本的に洗い指定に従って洗っていきます。

◇他に書かれている大事なことや保証額

絵マークや繊維の組成について触れてきましたが、品質表示に書かれているのはこれだけではありません。

品質表示には(上記の実際の写真を見ていただくとわかりますが)製造会社の名前、連絡先が記されています。
必ず住所か名前を記し、何かあった場合に連絡ができるよう記さなければいけないという表示法があります。

それから品質表示の一番上を見るとアルファベットと数字が書かれています。
この記号からこの服がいつどこで作られどこへ卸されいくらで販売されていたか等がわかるようになっています。

ではどのくらい昔のものまで保証されるの?というところも気になりますよね。

電化製品を思い出してもらうとわかると思いますが、保証書には保証期間が必ず設けられています。
さらにこの期間内であれば保証をするが落として壊れたものは補償対象外、とかいろいろありますよね。

服には平均使用年数が定められていて、購入してからの期間や状態により減価償却され保証額を算出していきます。

平均使用年数表はこちら
保証割合表はこちら

例えば夏物のスラックスであれば、平均使用年数は2年となってます。
それを買ってから2年ちょっとの間全く使っていない状態でしまってあったとします。

保証割合の表で平均2年の縦列の24ヵ月~36ヵ月未満に値する部分を見ていくと・・・
「A級46 B級27 C級16」と書かれています。そのまま%の値です。

とってもきれいな状態で保管してあったとしても価値は半額以下になっています。
さらに、しまっている間にシミができていたり、変色が出ていたらたった16%の価値となります。

たとえ一度も履いてなかったとしても、年月や状態によっては法律上の価値はどんどんと下がっていきます。
もちろんこれは新品の場合の価値であり、中古品は該当しません。

このように品質表示はただついているだけでなく、様々な重要な事項が書かれている服の保証書になっています。

◆家庭洗いアドバイス まとめ

今回は主に品質表示の重要性について書かせて頂きました。
順番に箇条書きにしてまとめていきます。

品質表示とは・・・
・品質表示は保証書でもあり、切ってしまうと効果がない
・取り扱い方法が詳しく書かれている
・メーカーの連絡先や品物の型番が書かれている大切なものである
・指定以外の洗い方は保証対象外になる

とこの辺りは知らない人のほうが多かったのではないでしょうか。

絵マークについて
・家庭洗いでまず重要になるのは水洗いの絵マークである
・手洗いと洗濯機の手洗いコースは別物である
・漂泊できるか、干し方、乾燥機が使えるか、アイロンがかけられるか、その温度の指定も書かれている
・クリーニング業者に向けた指定もある

絵マークだけでも非常に重要な役割を果たしています。
皆様だけでなく、私たちクリーニング店にも関わる大事なものになっています。
まずは水洗いの指定だけでも確認するようにしたら、これから買った服の取り扱いが楽になると思います。

家庭洗いのアドバイス
・手洗いやソフト洗いコースは中性洗剤を使う
・手洗いする時は手短に洗い、脱水は洗濯機を使い手動で短く止めて干す
・脱水後はなるべく早く干すことで色移りやシワを減らせる
・洗剤の量は服を入れた時の泡の具合で確かめる

家庭での洗濯はすべて水洗いです。
汚れは落としつつ、色柄に変化が出ない工夫が必要です。


ただし、今回の依頼品は指定通り洗っただけでは、黄ばんだシミは落とすことが出来ません。
洗い方は表示に従うことなく、その服の作りとか状態を見て判断して洗っていきます。

家庭では難しい、クリーニング店でも難しい、断られる状態を復元、修復していくのが当店の仕事です。

今回はお客様から聞かれること、覚えておいたほうがいいことを載せてみました。

参考にしてくださいね^^

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。