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しみ抜きと黄ばみ取り・小さな範囲と大きな範囲の違い

 

今回のジャケット参考価格 全体復元洗い+しみ抜き    12000円(税込み13200円) 
ブランド品・ハイブランド品は+50~100%が目安としてください。

今回のジャケットはレーヨン混紡率の高い水洗い不可商品です。 状態が復元できない場合、シミが取れない場合、代金は頂かない成功報酬でお受けしています。

全体の黄ばみ変色や色あせなど、通常改善できない状態になっていると服としての価値(評価額)は無し、 と判断され保険適用外となってしまうため保証ができないことをご理解いただけない場合はお受けできません。

しみ抜きと復元洗いの違い

クリーニングとしみ抜きって同じような事だと思われている方多いのですが、全く別物です。

必要なスキルや技術が全く違うんです。
しみ抜きの中でも小さな範囲と広範囲では必要となるスキルや技術って違うんです。

この辺りはまた詳しく説明させていただきます。
今回はそうなんだぁって見て頂けるよう説明していきます。

小さなシミ(小範囲)のシミを取る方法

画像はTV取材を受けたときのロケ収録画像です。
必ずやってほしいといわれるのが「クイックしみ抜き」です。

すぐその場でシミを取る、シミが取れる瞬間までを収録したい、とオーダーされます。
それとしみ抜きは繊維を傷めないという事を証明する、ティッシュに付いたシミを破らず落とすしみ抜きも毎回オーダーされます。

クイックしみ抜きは初めてのお客様はまさかその場で取るなんて思ってもいないのでびっくりされます。

同じようにとても良いリアクションで素でびっくりしてくれた画像のお二人のご紹介^^
実際のクイックしみ抜きもこんな感じで見ている目の前で染み抜きをしています。

向かって右側の女性が「MUSÉ」の麻生じゅんなちゃん!

モデル、歌にダンスと幅広く活動している静岡県在住のとっても可愛いガールズユニット4人組の一人です^^

左側があさひテレビアナウンサーの スミス春子さん!

HPでのおどけた顔を見ていたから、実際に会ってみて綺麗でびっくり!

話がそれましたが・・・
一番右画像は染み抜きしている手元です。

しみ抜き台は直径10cm程度の大きさの中でバキュームで吸い取りながら除去していきます。
服に付いたシミを染み抜き剤で溶解、分解し、ついているシミと取るために使ったしみ抜き剤をバキュームで吸い取りながら水ですすぎ落していきます。

すすいだ水と一緒に吸い取っていくため、シミもしみ抜き剤も残留させることなく服から除去できます。

だからクリーニングする必要もないし取ったその場で着てお帰り頂くこともできます。

しみ抜きで取るときの注意点

注意点は、しみ抜きした部分以外の汚れは一切汚ない事。
当店の場合、クリーニング店から受け取ったままの状態でご相談をお受けすることがとても多いんです。

シミを取りたくて何軒も依頼したけど落ちないってご相談も少なくない・・・
染み抜き代金はかからなくてもクリーニング代金はすべてかかっているからかなり高額なクリーニング代金をすでに払ってるってお客様もいらっしゃいます。

だから、しみ抜きで落とせる場合、クリーニングはしません。
しみ抜きは成功報酬だから落ちない場合は代金もいただきません。

お客様からそれじゃぁ仕事にならないじゃん・・・って心配されることもありますが大丈夫。
ほとんどのシミは落とすことができるから成功報酬制なんです。

しみ抜きのみで取っていく場合、よくある不具合は染み抜きした部分だけ綺麗になってしまう事。
クリーニングしてあっても全体的な黄ばみとか黒ずみって落ちていないんです。

すると、しみ抜きした部分だけ新品時に近い色が出てくるため色抜けしたように見えてしまうんです。
新品の時に近い色が出てきているだけなんですけどね。

色の明るい服、特に真っ白の服である程度使われている場合、出てしまうことが多くなります。
白いバックなどクリーニングすることがないものの場合も円形に色抜けしたような状態になることが多いんです。

こんな場合、小さなシミでも全体の汚れと黄ばみを落としていくよう、全体復元洗いをしていきます。

しみ抜きをバキュームで吸い取りながら撮るって見たことがない人多いと思いますので動画貼っておきます。
もう十年以上前に取った動画ですが・・・

繊維を傷めない染み抜きとして、ティッシュに付けたボールペンのシミを破ることなく取る動画です。

ティッシュに付けたボールペンのシミを破ることなく落とす動画、貼っておきますので興味のある方はご覧ください。



広範囲のシミ、黄ばみ、臭いなどを取る復元洗い

しみ抜きは小さな範囲のみ取っていくためっ全体的な風合いなど変化することはありません。
広範囲になると10cm程度の大きさの処理ではできないため、ゆうゆうでは「復元洗い」と呼んでいます。

復元加工とか宣伝しているお店ありますが、単純に漂白しながら洗うだけとは違い、状態によっていろいろな方法で改善していく洗い方になります。

小さな範囲と広範囲を比べると広範囲のほうがずっと難易度は高くなります。
小さな範囲なら染み抜きができても広範囲になると断られることも多くなると思います。

それでは復元洗い事例を簡単に紹介していきます。

モンクレール臭い取り記事の詳しい解説はここをクリック!

臭いを取る復元洗い モンクレールダウン・臭い取り

画像はモンクレールのダウンジャケットです。
ワキガの臭い取りのご相談です。

ワキガのご相談ってとても多いんです。どこへ依頼してもほとんど落とせない臭いだからです。

特に羽毛製品は羽根が入れられているため、臭いが付いてしまった羽根が服の中で動き広がるため、わきの下部分だけを処理しても臭い取れないんです。

羽毛は水洗いしても簡単に洗剤が染み込まないため、ゆっくり空気を抜きながら中の羽毛を洗い、消臭殺菌剤を染み込ませて洗い流していきます。

全体処理をする復元洗いは洗いで一番難しいのが画像右の2枚、洗った後と仕上がり後の画像を見て頂けるとわかります。

ぺちゃんこになったダウンを膨らめることは難しくはありません。
水洗い時に付くしわが問題。

羽毛をぺちゃんこにせず、表面全体のしわを伸ばす作業は機械仕上げではできないんです。

アイロン一つで手仕上げして伸ばしていきます。
ハイブランド品は裏地のしわもできる限り伸ばしていきます。

全体の色くすみや黄ばみを落とす復元洗い お母さんの形見のカシミヤアンサンブル編

生前、お母さんが大切に着ていたカシミヤセーターとカーディガンのアンサンブル。

色がくすんでいるのがパッと見てわかりましたが、お客様からは臭いを取ってほしいとのご相談です。

カシミヤ製品の水洗いを受けてくれるお店ってほとんどないため、購入してからずっと空気中の湿気とともに吸い込む汚れ、汗など水溶性の汚れが蓄積し続けています。

色のくすみを取るためにカシミヤ漂白をした後、空気中の酸素結合でもカシミヤは黄ばむため、結合酸素を取り黄ばみを改善し、消臭殺菌をしながら臭いも同時に取る復元洗いをしています。

手付ける前にサイズを測り仕上げ時に型崩れを直しながら元サイズの修復仕上げをしていきますので縮み変形の心配はありません。

ニット類は縮み変形が出る服多いですが、元通りの形、大きさに修復することができます。

この修復しながら仕上げていく事が復元洗い工程の中で一番難しいんです。

このご相談はお客様の喜びのお礼メール頂けましたのでご紹介しますね。



東京都 E様より
先日、ベージュのカシミヤアンサンブルのクリーニングと消臭をお願いしました。
クリーニング前のほのかですが嫌な匂いが、全く消えていて、
肌触りも良く、まるで新品を購入したような気分になりました。
母の形見ですので、思い入れもあり、これから長く大事に着たいと思います。
おしゃれ工房you友さんにお願いして本当によかったです。ありがとうございました!
一言感謝申し上げたく御礼のメール致しました(返信不要です)。
年末に向けご多忙と思いますが、ご自愛ください。


この仕事の詳しい解説はここをクリック!

洗う前の準備に手間がかかる復元洗い バーバリーコート編

綿コートは長年愛用することが難しい素材です。
素材自体はとても丈夫でも色落ち、汚れ落ちが悪ため繊維は大丈夫でも着られない状態になってしまうんです。

色の濃い綿コートはよく着てしまうとすぐにあっちこっちの色が剥げたり褪せていくし・・・

色の薄い服は汚れ落ちが悪い素材なので汚れが残り、シミが付くとほとんどのクリーニング店では落としてもらえないのが綿製品の特長です。

バーバリーコートの場合、大切に使っている方も多いのですが、どうしても出てきてしまうのが点状にぽつぽつと出てくるカビシミです。

どこも受けてもらえない、出しても全く改善しないというバーバリーコートのご相談はとても多く数百着は復元洗いしていますが、綺麗にできなかったという綿コートはなく、すべて綺麗にできています。

いろんな状態のコートをたくさんやらせて頂けたおかげで当店の技術として復元洗い方法を作ることができました。

これは当店の技術がすごい!のではなく(笑)
それだけしっかりと作られているコートだからこそ綺麗にできるんです。

でも簡単にはできません。かなりの手間かかります。
画像を見て頂くとわかります。

まずは・・・ボタンがたくさんついている・・・
それもしっかりとつけられていますので外すこと自体大変なんです。

このボタンは色々な材質がありますが、安価で売っている樹脂ボタンとは全く別素材。
天然の角のか削り出して作られブランドの刻印が彫られているボタンなど、同じものがないんです。
天然の角の色合いそのままで作られているので同じ模様も世界に一つしかないんです。

復元洗いは通常のクリーニングとは全く異なるため洗い方法、洗う洗剤や使う薬剤も強力になるため変化が出たり破損する可能性も高くなります。

オリジナルをそのまま残したい場合はすべてのボタン、革巻きバックルなどはずしてから復元洗いをしていきます。

ボタンは多いものだと20個以上ついていて大きさも異なるため、外したボタンの場所をメモしながら保管します。

付ける位置も同じ位置にしなければボタンをはめたときにたるんだりするため、確認しながら取り付けていくのはものすごく手間のかかる作業になるため、わかりやすく、間違えないようボタン一つ一つに位置情報をメモしています。

復元洗いした後は縮み、変形も出るし何よりものすごくしわになります。
特にインポートバーバリーはブラックレーベルと比べると変化が出やすい織りになっています。

バーバリーコートの復元洗い方法を作るきっかけとなったコートがあります。
何事にも最初がありますが、当店の場合は50年くらい前に買った思い出のコートでした。
50年前のコートには見えないと思います。

復元洗いした50年前のバーバリーコートの記事はここをクリック!

トップ画像ピンクジャケット復元洗い

ここからやっと・・・(汗)
トップ画像のピンクジャケット復元洗いの解説です。

しみ抜き、復元加工などいろんなお店で宣伝しているけど詳しく説明ってないから・・・
同じではないってことを説明しないとわかりませんね。

このジャケットは紹介した3件とはまた違った状態なんです。

シミは飲みに行ったときに付けた食べこぼしなどのシミとの事。
このシミが取れればという感じでのご相談でしたが確認すると全体的な変色、広範囲に黄ばんだようなシミが多数あります。

シミがひどい部分のみを取っていくのであればしみ抜きで取れるけど、ピンク色がかなりくすんでいるというか黄ばんでいるため、色抜けしたようになる可能性大。

かなりお気に入りで綺麗にしたい、ダメなら諦めも付くから、という感じのご相談でした。

トップ画像を見て頂くとアフターの色、濃く見えると思います。
これ、実際に色が鮮やかに蘇っているんです。

酸化変色による黄ばみと色抜けによる黄ばみ

黄ばんでいる原因がよくある変色なのか色抜けによるものなのか判断が難しい状態があります。
それがこのピンク色、水色です。

色は赤(マゼンタ)青(シアン)黄色(イエロー)の3原色から作られています。
大雑把に言えば赤に黄色をませていくとピンク色になり、青に黄色をませると水色になります。

黄色を混ぜ混色すると淡い色になるってことです。

この黄色という色ですが、例えば白い服を置いておくと黄ばんでいきます。
空気中の酸素により酸化され黄ばむんです。汚れが付着している場所はより早く黄ばみます。

ウール、シルク製品などは空気中の酸素が繊維と結合すると汚れていなくても黄ばんでいくため、どんどん黄色味が強くなっていきます。

染料も、酸化による黄ばみも黄色くなるんです。

ジャケットの色が3原色の赤(マゼンタ)、青(シアン)だった場合、黄ばみにより色はピンク色、水色になるんです。

黄色を混色して淡い色を作っている場合、酸化により赤、青系の色が抜けていくと残る色は黄色になるため、黄ばんだ色へと変化していくんです。

3原色に近い色が酸化により淡い色に変化したのか、いろがぬけて淡い色系に変化したのか・・・
実際に手付てみないとどっちの変化が出ているのか、もしくは両方の変化が出ているのか判断ができないんです。

やってみないとわからない・・・

できることを順番にやってみるしかないのですが、今回の場合、酸化により黄色味が強く出ていたため全体的に黄ばんでいたってことがわかります。

黄ばみが除去できたため、色がくっきり鮮やかに見えるまで回復したって事なんです。

色が抜けている場合、下手すると悪化します。
さらに赤、青系など抜けやすい色が縫えればさらに黄ばむからです。

受付時に関t何にこの辺りのご説明はさせてもらっていますが、おそらくお客さんにはよくわからない・・・

わからなくて当たり前だし、こんな説明をするお店は無いと思いますから。

ジャケット全体の黄ばみ取り、しみ抜き まとめ

今回、見た瞬間にお客様は「おぉぉぉ・・・」と喜びの一言で見入っていました^^
パッと見て色味が変わったってすぐに気が付かれました。

鮮やかになる理由がわからないとただ不思議・・・(笑)

色抜けにより黄ばみが強く出ている場合、白くなっている場合、薄い赤(マゼンタ)を入れ色補正をして直していきますが、ムラになりながら抜けていくと綺麗に直すことができなくなります。

復元洗いでは落ち切らないシミは染み抜きで除去し、落とせるシミや汚れをできる限り落としていきました。

綺麗にできるかどうかは服の作られ方による部分が大きいんです。
縮み変形は素材的にも出ることは前提とし、よほどひどくない限りまた使っていただけるレベルに修復仕上げをすることができます。

でも、縮み変形が修復できる範囲内で収まってくれるかどうかは服の作り方次第なんです。

今回のジャケットは雨に濡れる程度ではビクともしないくらい、しっかりと作られていたジャケットです。

洗ってみて初めて分かる服の品質です。

服の作りとか品質ってクリーニング店が一番よくわかるんです!


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