Blog
ブログ

マックスマーラコート~クリーニングしても落ちずに残るシミの原因・部分的な加工の寿命~

マックスマーラ ボンディング・コーティングコート
クリーニング参考価格  7000円(税込み7700円)~

今回のコートは襟の黒ずみを落としてほしいとのご依頼でしたが、
加工剤(ボンディング・コーティング)が溶け出してシミになっている事例です。

詳しくは下記をご覧ください。

◆ 汚れを残しておくことが服の寿命を早めてしまうという理由

マックスマーラのコートです。
クリーニングに出しても落ちない襟の黒ずみの正体は・・・

これは首とこすれて作皮脂と汗をかいた時に分泌されている油による油シミです。
モンクレールやデュベティカ、ヘルノなど薄手のダウンブルゾンにもよくある襟汚れです。

こすれつく汚れなので洗うだけでは残ってしまうことも多いし、綿素材の場合は洗うだけでは落ち切ることなく残るためクリーニングに出していても2~3年もすると真っ黒になってしまったりします。

モンクレールなどハイブランドダウン製品は、洗うと傷むから洗わないほうがいいと購入店から言われたりすることもあるようですが・・・
ダウン製品はすべての製品にボンディング、コーティングなど樹脂(接着剤)加工がされており、この皮脂汚れを残しておくと加工剤が皮脂という油汚れにより溶け出してきてしまうんです。

皮脂を残しておくとほかの部分は何も問題は無いけど襟だけ寿命がきてしまうといった状態になってしまいます。

今回のマックスマーラのコートはクリーニング後の画像でエリの皮脂汚れを落としたあとに残ったシミです。

ボンディング加工とは薄くて軽いコートでも通風性を遮断し保温性を高めるよう、表生地の裏側に生地を樹脂(接着剤)で貼り付け外気の侵入を遮断する加工です。

コーティングは繊維の目から侵入する冷たい外気を遮断するよう、織の目を樹脂(接着剤)で埋めるようにする加工で表コーティング、裏面コーティングがあります。

表面にコーティングされている生地はハリが出て糊付けしてあるような感じになるので、外気を遮断するだけじゃなくデザインとして加工されていたりもします。

この加工に使われている樹脂は元々は油性系のモノなので油に溶けてしまうため、皮脂などの油脂が付着し時間が経つと溶け出してしまうんです。

身体から出てくる油分、皮脂など油脂汚れが付着すると樹脂が溶け出し表側まで染み出してくると油を付けたようなシミとなってしまうんです。

ドライクリーニングでも洗うだけでは落ち切らないし、水洗いでは落ちない汚れになるので、しまう前にはしみ抜きでしっかりと落としきることで溶け出しを予防することができます。

モンクレールクリーニング~見えない部分の劣化・加水分解での染み出し~

クリーニングすると服が傷む?と言われる大きな誤解

オーダー品、ハイブランド品など、購入時に服が傷むからクリーニングに出さないほうがいいとアドバイスされることも多いようです。

お客様から受付時にそんな心配事を相談されるって実は結構あるんです。

ハイブランド品をメインとしてあつかっているようなクリーニング店を利用した事がないんでしょうね、と説明をしていますが、実際利用した事が無いと思います。

服の作られ方、洗い方、縮んだり風合い、質感が変わってしまう原因など、一番よくわかっているのは実際に服を洗ったり仕上げたりしているクリーニング店。

服の品質は購入額ではないしブランド名でもなく、実際に服を洗った時に出る変化を見て、

使っていても洗っても不具合が起きないようちゃんとした服作りをされている=高品質と考えています。

服の風合いが変化する、縮む、色落ちするってクリーニング店が下手だからと思われている方も多いようですが、これは服の作り方次第なんです。

メーカーはデザインを重視して作るものも多く、洗ったら縮む素材、洗ったら色が取れる染め、洗ったら型崩れや風合い変化が出る素材など、洗うことを想定されていない素材や加工をされているものを洗うと不具合は起きてしまいます。

経時劣化といって時間の経過と共に使っていなくても劣化寿命がきてしまう材料もあり、寿命が来た頃に洗ってしまえばダメになってしまう。

メーカーが使う材料次第で3年程度で寿命が来てしまう服もあれば10年経っても大丈夫な服もあります。

私たちの仕事は、寿命がきてしまったものを直すことではなく、寿命が来る説明をしていく事と、寿命が早まらない洗い方をしていく事で服を少しでも長く愛用してもらえるようにお手入れをしていく事です。

長く愛用できるようにお手入れをする=汚れをできる限り落とし変化が出ることを抑え型崩れなどを直していく事です。

服が着られなくなる一番の原因は汚れによる変色や黄ばみが出てしまう事、こうした溶け出しが出てしまう事。

全ては汚れが原因となっていて、クリーニングした事が原因で服が傷む、ダメになるって事はほとんど起きることは無いんです。

その中でも風合いとか凝ったデザインを壊さないようにクリーニングをって思うような服はオーダー製品やハイブランド品を得意とするお店へ依頼することは大事。

こういったお店の場合、大手ではできない手のかかるような仕事を得意としていますので仕事自体が全く別物になります。

特に今の時代、チェーン店と個人店ではやろうとしている仕事自体が2分化されていますがお客様に浸透していないのが現実です。

シミ出した樹脂の除去

今回は説明のために皮脂落としした後に残った樹脂に染み出し事例を紹介しています。
このシミ出しが出た服の修復できるというご紹介ではありません。

この樹脂の溶け出しは洗う時の方法、洗う時に使っている溶剤の洗浄力などにかなり影響を受けたりします。

当店の場合、ハイブランド品などをメインで洗うことを前提に考えているためこうした溶け出しなども起きにくい方法で洗っています。

ドライクリーニングは和服が一番デリケートで難しい、とされていますが当店の場合、そのまま和服を洗えるドライクリーニングです。
ハイブランド品のクリーニング方法は和服クリーニングを基本として当店では洗っていきます。

だから、今回のような溶け出しが出たとしても、最低限で押さえることができているため、除去していく事が可能な服もあります。

洗浄力も高く強い洗い方をされて出てしまうと溶け出し範囲も大きくなるしまだ溶け出していない部分まで溶け出してきたりしてしまうんです。

当店で洗って残った場合はできる限り除去していきますが、すでに出てしまっている溶け出しが取れるご紹介ではありません。

◆ 皮脂による溶け出し まとめ~皮脂を落とさず塗装で汚れを隠され溶け出した事例~

画像は皮脂汚れを落とさず汚れを塗料で隠してしまい溶けだした事例です。
クリーニング店ではない地元のお店ですが、やってはいけない事例です。

クリーニング店の場合、自分で修復した服ってまたクリーニングに依頼されます。
だから、クリーニングに耐えられないような修復をすることはしませんし、汚れを残しておけばどうなるかわかっています。

ご相談を受けしたお客様は最初、襟が黒ずんできたので綺麗にしたいと依頼したとの事。
シミ抜きで取れなければ上から塗料で汚れを隠す、といった説明はあったようですが・・・

皮脂汚れを落とすこともなく塗料をべた塗りされていた状態でした。
クリーニング店でもないお店ができもしないことをできるように説明するって・・・

仕上がりはペンキを塗ったようなべったりとした質感で着る気にはなれなかったとの事。
久しぶりに見たらさらに塗った後がベタベタに溶け出していてびっくりされ、ご相談を受けました。

皮脂汚れが付いていた部分だけが溶け出している事がよくわかる事例でそのほかの部分は何事も起きていないのがよくわかります。

クリーニングする際、一手間かけて皮脂を落とせば問題なく綺麗にできていたであろうダウンコート。

リフォーム店に出して出た不具合をクリーニング店がリフォームで修復した事例です。

どうして、何をすればこうなるのか??という原因を知りたい、というのがお客様の一番の気持ちですね。
説明をした所、怒れるより呆れたというお返事をもらっていますので・・・

お客様からのLINEのお返事などもご紹介とともに詳しい説明と修復方法はリンク貼っておきますので興味ある方はご覧ください。

ペタペタに溶けだした襟の修復~他店で修復した襟の溶けだし

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。