Blog
ブログ

血液・ワインのしみ抜き~時間の経過と共に落ちにくくなるシミ~

ノーブランドに付いたワインのシミ
1~2センチ程度のしみ1か所 1000円(税込み1100円)~
シミの大きさ、服の素材、色などにより金額が変わります。
綿、麻、シルクの色柄物の場合はお見積りとなります。
※ 色抜けが起きやすいシミの場合、1か所3000円~が目安となります。

広範囲、複数個所ある場合は復元洗いになります。

シャツ類等の場合       3000円(税込み3300円)~
パンツ類・トレーナーなど   4000円(税込み4400円)~
ブランド品は+50%~ ハイブランド品は+100%~を目安としてください。

水洗い✖表示、水洗いが難しい素材、デザインの場合はお見積りとなります。

素材、状態がわからないとわかりませんのでまずはお気軽にお問い合わせください。

◆時間とともに取れにくくなる代表的なシミとは?

ほとんどのシミは時間が経っていても落とすことができます。
ご相談に来られたお客様にこの説明をするとちょっと驚かれますが・・・

お見積金額によりどうしようか迷う方もいらっしゃいますが、迷うのは金額だけじゃなく持ち帰って時間が経ってしまうと取れなくなってしまうかも・・・

服の素材と色合、デザインなどを見れば時間が経っても落とせるかどうかがわかります。
だから、今取れるシミなら半年後でも落とせますから大丈夫です、と持ち帰って考えてみたら?を後押ししたりもしています。

ほとんどのシミは数年経っても落とすことができるんです。

でも、早い方が落としやすいのは間違いないので、今回は時間の経過と共に落ちにくくなる代表的なシミをご説明していきます。

前回、アクリル絵の具のシミ抜きのご紹介時、72時間以内が・・・というご説明をしました。
完全硬化までの時間ですが、硬化する前と後ではかなり落ちやすさが変わる種類のシミですので続けてご紹介です。

◆早いほど落としやすい血液のシミ 落としやすい状態の色

1日、2日、3日と、時間とともにどんどん落ちにくくなる代表的なシミが血液です。

付いて乾く前なら水で洗い流すだけで落ちます。
付いて当日なら水で揉み洗いすればほぼ落ちます。

翌日になると水だけだと落ち切らない部分が出てきたりします。
でも洗剤を付けて揉み洗いすればほぼ落すことができます。

3日目になると洗剤を付けても落ち切らない部分が出てきたりします。
たんぱく質が固まるとどんどん落ちにくくなっていきます。

5~7日程度経ってしまうとしみ抜きができるお店じゃないと落とせなくなります。

画像のシミを見て頂くと硬化具合が色でもわかります。
まだ血液っぽい赤みが残っています。

時間の経過と共に黒ずんでいき、黒ずむほど落ちにくくなっていきます。

落しにくくなっている状態の色・手触り

画像は羊毛パットです。
血液が付いてずいぶんと時間が経ってしまった状態。

色を見ると赤みが無くどす黒い色になっているのがわかります。
触るとカサカサと硬くなっています。たんぱく質が固まっている状態が見ても触ってもわかります。

この状態になると落とせるお店がかなり少なくなります。
特に水洗いができない物だとほぼ落とせないと思ったほうがいいでしょう。

画像の羊毛パットは専門店へ依頼しないと水洗ができないパットです。
依頼する業者に一応聞いてみたところ、二つ返事で取れません!と言われた事例です(笑)

完全硬化していると酵素分解という手間のかかる染み抜きをすることになります。

手間がかかるため染み抜きができるお店へ相談すると時間の経過と共に金額が高くなっていきます。

このパットは当店で酵素分解のシミ抜きで除去した後、使った薬剤や洗剤を洗い流いしてもらうために
布団業者へクリーニングを依頼しています。
依頼内容を説明すると、布団業者さんから「残留し変色してこないよう丁寧に洗い流してきます!」とお返事をいただきました。

依頼したい内容をきちんと伝える事はクリーニングに依頼する時でも大切です。
きちんと伝える事で一手間かけてもらえたり丁寧な処理をしてくれますから。

布団専門のクリーニング店としみ抜き専門店のコラボ作品になっています!(笑)

時間が経つと難しくなる獣毛素材

こちらは事故に遭ってしまい、怪我をして血まみれになってしまったウールシャツとウールズボンです。

ウールスーツに血液が付いた服もあったのですが、この方がインパクトあるので^^

まだ赤みが残っているので比較的落としやすい状態かな?って事がわかります。

血液は時間が経つとたんぱく質が硬化してしまい落としにくくなり、完全に硬化しているとたんぱく質を分解するシミ抜きになります。

何が問題かというと・・・

服の素材も分解してしまうしみ抜き

ウールやカシミヤなど獣毛品、シルクなどはたんぱく質から作られている繊維なんです。

血液のたんぱく質を分解すると繊維のたんぱく質も分解してしまうんです。

繊維のたんぱく質を分解するとどうなるか・・・

繊維が硬化したり脆化(ぜいか。・糸が溶けて細くなる)したりし、質感や風合いが変わったり下手すると溶けて穴が開いたりしてしまうんです。

あまりあてにはならない数値、と言われていますが分解力を示す「力価」という目安となる数値があり、
あまり高いと繊維も分解してしまうため何をどのように使っていくかになります。

ウール製品は繊維を分解させずに血液を分解できれば除去できますが、時間が経つほど落とせる業者が少なくなっていくので、
できる限り早く血液のシミ抜きができるお店へご相談を!

次は分解できても一筋縄でいかない素材の事例です。

◆固まると落としてもらえなくなるシルク素材

シルクワンピースです。
基本、シミを付けると落としてくれるお店がとても少なくなるのがシルク素材です。

スカーフ、ネクタイはシミが取れないと言われる代表かな・・・

このワンピースはどこへ依頼しても落としてもらえず3年は経過している血液のシミです。

血液のしみ抜き相談は、付いてしまう可能性が高い女性からが圧倒的に多いです。

シルクは水分を使うしみ抜きをすると、染み抜き跡が水シミとなってしまうため、有名店へ依頼したけど落ちなかったというご相談もたくさんある染み抜きになります。

詳しくはリンク貼っておきますので興味のある方はご覧ください^^

シルクワンピース あきらめていた血液シミ ~3年前に取れなかった血液~

◆その他、時間とともに落ちにくくなる事例 フェラガモスーツにワイン

フェラガモのスーツ。ジャケット本体は綿、そしてフリル、スカートはシルクです。
結婚式用に購入し、一度目の着用でワインをドバっとこぼされてしまったスーツ。

ハイブランド品である事、シルク素材にワインが付いたとの事だから、どこへもっていっても受けてもらえなかったスーツです。

フェラガモスーツ・仕上がり

ワインのシミも血液と同じように、赤みが完全に消え、茶色がかって色が薄くなったように見えるとかなり落ちにくくなっている状態です。

クリーニングに出ししみ抜きをされずに熱乾燥、仕上などで熱をかけられると酸化が一気に進み、赤みがなくなりシミが薄くなったように茶色く変化します。

シミの色が薄く茶色く変化した事で「シミが薄くなった」と勘違いされている方は多いのですが
実は取れにくくなっている状態です。

◆エルメスバックにワインのシミ

ネットで探し専門店へ依頼したけど取れないと返品されてしまったというエルメスバックです。

生地のシミはバック専門店では取れないことが多い、というか繊維の専門はクリーニング店になるので、こうしたバックでも生地のシミが取れるとしたら染み抜きを得意としているクリーニング店しかないと思います。

遠方からお電話でのご相談でしたが、ワインのシミの色をお聞きしたところ、そのまま色が残っているとの事でしたので、多分取れると思います、とお伝えしたバックです。

エルメスバックにワイン 仕上がり

ワインのシミって付いたら落ちない、と言われるのも、落とせるお店が少ないからですね。
ゆうゆうで落せなかったワインのシミは今のところ一点もありません。

血液同様、色味から落ちにくい状態なのかある程度判断ができますが、ちゃんとしたしみ抜きをされずに熱処理されると落ちにくくなるシミです。

白ワインの場合、付いてもシミとして見えず、クリーニングに出し熱処理されることで茶色く出てくることがあります。

これは子供のころ理科の実験でやった人も多いんじゃないかな?
みかんの汁を白い紙につけ熱かけると黄色く浮き出てくる「あぶり出し」と同じ現象です。

熱をかけると浮き出てくるモノ、酸素により酸化することで発色するシミもあります。

ワインのシミは落とせるお店へ何もせず最初に依頼することがとても大事。

熱処理などで取れにくい状態になり手間がかかってしまうとその分染み抜き代金も高くなります。

◆スエードブーツにワインのシミ

スエードブーツを履いて飲みに出かけたところ、グラスワインを落とされてしまったとの事。

革製品についたワインでも落とすことができます!

スエードブーツにワインのシミ 仕上がり

スニーカー、革靴、ブーツなどビールからワイン、ウイスキーのシミ等々・・・
色んなシミの相談があります。

実際には洗ったりしみ抜きしたりして落とせる分しか落とせないものもあります。
でも、どうしても落したい場合、粗相して他の方に付けてしまった場合などはすぐに持って来ていただければほとんどのものは取ることができます。

地元浜松の方であれば、まずはそのままお持ちいただければ、早い方がいいと判断した場合はお預かりした直後にクリーニング、しみ抜きとやらせて頂いております。

お受けする以上、落とせる確率が高い状態でしみ抜きをしたいしお預かりもしたいので・・・
浜松の方は営業時間内であればいつでも大丈夫ですのでまずはできる限り早くご来店下さい。
※営業時間:午前9時~午後6時  日祝定休

◆母乳は時間とともに浮き出てかなり落ちにくくなるシミです

時々あるご相談の一つ、ミルクのシミです。
粉ミルクと母乳って、同じだと思っている方も多いと思いますが、違うんです。

時間が経った場合、圧倒的に母乳のほうが取れにくいんです。

ミルクのシミは赤ちゃんに飲ませている時、吐き戻したりゲップさせたときに付くことが多いからほとんどが普段着に付きます。

洗うタイミングが早いので綺麗に洗い流されあとから黄ばむって事はかなり少ないと思います。ほぼ出ないかな。

でも、家庭で水洗いしない服の場合、ドライクリーニングされるため今回のワンピースのように浮き出てきます。

たくさん母乳が漏れてしまうと胸元全体に広がるようにして変色が出しまい、素材がシルクだったこともあり落とすのがとても大変だったドレスワンピースがありました。


母乳シミ しみ抜き後仕上がり

このワンピースも裏側を見ると裏地に広範囲のシミが広がっていました。
触ると少しぱりぱりした感触がありたんぱく質が硬化したなって事がわかります。

この状態、クリーニングから戻ってきた時にはシミとして見えていないことも多く、しまっておいて硬化し見えるように出てきます。

粉ミルクの場合、吐いたりこぼしたりなど、付いたのがすぐにわかるので対応もできますが見えていないシミはどうしようもないんです。

クリーニングに出すにしても見えていないシミは取りようがなく、しみとして見える状態になって初めてわかるモノもあります。



◆家庭でできる血液のしみ抜き 酵素分解

以前、酵素入りの洗剤でどこまで血液が落ちるのかテストをした時の画像です。

バイオと書かれている洗剤は酵素入り洗剤です。

左画像が血液が付いた時の状態、右画像はお湯に酵素入り洗剤を入れ、つけ置きし落とせるところまで落とした画像です。

ただし、これが酵素分解で薄くなったのか、単純に洗剤成分で落ちたのかは不明・・・

両方の効果でここまで落ちたのかも・・・
いずれにしても落ち切らずに残っています。

家庭でできる血液のしみ抜き 酸素系漂白剤で完全除去

落ち切らない血液を今度は酸素系漂白剤を使って除去していきます。

右画像が完全に除去できている画像です。

血液のシミは熱かけると固まり取れなくなる!ってのが一般常識ですが、酸素系漂白剤の酸化分解力はたんぱく質が熱で硬化するより分解力のほうが強いので除去することができます。

この時はテストするために家庭用洗剤で順番にやっていますが、洗剤と酸素系漂白剤を一緒に入れてつけ置きすれば一度の工程でいろんな汚れ、臭いまで除去することができます。

酸素系漂白剤は使い方次第。
上手く使えるようになると家庭で洗える服のほとんどのシミや汚れ、生乾き臭など臭いも落とすことが出来るようになります。

詳しくは過去記事ですがリンク貼っておきますのでご覧ください^^

◆時間とともに落としにくくなるシミ まとめ

クリーニング店といっても大きく分けると2種類のお店があります。
チェーン店の多くは早くて安く、利便性の良いお店として展開している会社、当店のようなお店はチェーン店では出来ないような仕事を得意とするお店です。

だから、チェーン店で出来ない事ができて当たり前だし、チェーン店のようなシステムは無いので安くて早くたくさんは出来ません。

最近は原油が高騰しているため、安く、が難しい時代にはなっていますが・・・

だから、同じクリーニング店でどうして高い、安いの差があるの?
どうして落とせる、落とせないがあるの??って事に関しては、比べても意味がないんです。

問題なのは取れるようなHPを出していたり宣伝をしている事。

一番怒れるのが取れるって言ったから出したのに取れていないじゃん!って事ですね。

ただ、チェーン店の受付はパートさんの仕事ですから説明も出来なくて当たり前。

しみ抜きは染み抜きに長けた個人店へ、普段着る服のお手入れは便利なお店など、そのお店が得意としている仕事に合わせて使い分けるって今の時代には当たり前であり、満足度の高い仕事になると思います。

地元浜松だと、チェーン店の受付で難しいって判断すると当店を紹介される事もあります。
一方、当店でもYシャツ、普段着る服などの場合で、問題が無いと判断する場合はチェーン店をご紹介したりしています。

チェーン店で困ったことがあると同業者が相談に来られたりもしています。

同業でもやろうとしていることが違うから、協力しながらやっていきたいと考えています^^

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。