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思い出のTブラウスを復元~今までの人生の中で一番感動したかもしれない~

今回のTブラウス復元 参考価格

11000円(税込み)

色柄、状態により金額はかなり変わりますので基本お見積りとなります。

通常のTシャツの全体黄変除去は3850円(税込み)~
ブランド品は+50%~、ハイブランド品は+100%~

エルメス・シャネル・ヴィトン・その他ディオール、グッチ、フェンディなどインポートブランド品はハイブランド品とさせて頂きます。

◆白さが維持できない服

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

相談に来られた時、「これは無理ですよね・・・」って感じで持って来られました。
3点持ってこられたのですが、このTブラウスが一番思い入れがある服だったと思います。

「今までの人生の中で一番感動したかもしれない」はお客様が仕上がりを見た瞬間に言われた言葉です。

どうしてここまで感動したかは綺麗になったから、なんだけどそれだけじゃないんです。
最後に感じたままを書いてみますね^^

カメラで撮ると補正が入るのでシミや黄ばみムラがはっきりと見えないかもしれませんが、全体かなり濃く黄ばみ変色が出ています。

脇は汗シミが違う形で出ており、首まわりは皮脂と汗による濃い黄ばみと黒ズミが出ています。

胸元には花の飾りが付けらえているデザイン。
白い部分は黒ずみ赤い部分も色変化なのか汚れによる黄ばみが出ているのか・・・

この服の場合、夏に着るTブラウスで肌に直に着る綿製品なので、ドライクリーニングだけでは白さが維持できないしニオイも出てきます。

一番左に見える桶マークが水洗い指定で✖がついています。

このデザインで水洗いに✖になっているとクリーニング店では基本水洗いされないので1年で黄ばみ変色が出てしまいます。

最低でも手洗いが出来ないと綺麗に着ることが出来ない服なんです。

服を長く綺麗に使えるようなお手入れをしてくれる個人店に出している人以外、購入した時点で綺麗さが維持できない服を買ってしまったって事になります。

洗い工程なども含め、ご説明していきます。

水洗いで出そうな不具合と経年劣化による出そうな不具合は?

黄なり色の綿に鮮やかな赤い色の花飾りが付いています。
この飾りが付いているだけでいろんなリスクが考えられます。

まずは赤い色。
染料の場合だと濃い色、鮮やかなビビットな色などは滲み出てきたりすることが多くなります。

手早く手洗い程度なら大丈夫でもつけ置きしたり強い洗剤や薬剤を使えば色が滲んできたり取れてしまったりするかもしれない。

作られ方もパッと見た目では縫い合わされているから大丈夫に見えますが、形を作るために接着剤などが使われている場合は劣化していると剥がれたりして形が変わってしまう可能性がある。

色は染料ではなく顔料(ペンキのようなモノ)で色付けられていると、色は樹脂(接着剤)で貼り付けられています。

新しいうちは落ちる事はほぼありませんが長い年月が経ち樹脂が劣化した状態で洗うと洗い落ちてしまいます。

クリーニングに出す前は襟など色落ちは無かったのに出したら白けた、赤っぽくなったって経験ある方もいらっしゃると思います。

洗うまでは繊維の上に色が繊維から剝がれていても残っている状態、洗うことにより汚れと一緒に色も洗い流れた状態です。

20年、30年と長い年月が経っている服のご相談ってとても多いのですが、置いておくだけでも酸化による傷みは進みますので長い年月が経っていれば想定外の事が起きても不思議はないんです。

それともう一つ、洗った時に出る縮み、変形などが、飾りがあるために上手く直せない。

水洗いに✖が付いているって事はメーカーは水洗いによるテストまでしていない可能性もあるのでどの程度縮み変形などの変化が出るかわかりません。

綿製品って縮まないよう処理されていないと3~5%程度縮みが出るんです。
歪みながら縮むためアイロンを普通にかけられない素材とかデザインになると綺麗に修復が出来なくなる可能性があるんです。

これらの説明はお受けする際、一通りさせて頂きましたが説明できない、想定外の事が起きる事もあります。

説明を聞いていないってクレームになることって良くあるようですが、すべてを100%説明することは出来ないし工程もやっていくうちに臨機応変に対応していくので変わることもよくあります。

当店の場合、リスクがかかる作業をせざる負えない場合、「一切保証はできません」とご説明させて頂き、納得して頂いただければお受けさせて頂くことになります。



洗い工程手順

洗う前に、色がどの程度出るかなどテストしています。
最悪、色が綺麗に取れてしまった時の事も考え・・・いろんな角度で花の画像も撮ってあります。

行程的にはこのブログで紹介しているのとほぼ同じです。

襟、袖口などの皮脂を染み抜きで落とし、水洗いしていきます。

今回は洗い指定ではドライクリーニングOKとなっていますが経験上、花部分の樹脂が劣化しているとドライクリーニングするのは水洗より簡単に落ちてしまう可能性が高いため、ドライクリーニングはせず水洗いの中で油性汚れも落としていく洗い方法をしています。

汚れが残っている状態で酸化漂白すると酸化によるダメージが大きくなります。

酸化剤は酸化物(汚れ)に対して反応し、分解していくため、繊維に汚れが浸透していると繊維も一緒に強く酸化されることになるため傷みかけている繊維の場合は破れたりすることがあります。

酸化漂白は汚れ(酸化物)を除去してから、が基本となりますが、どうしてって聞くと酸化剤が汚れに反応して漂白力がとられると言われる方が多いんです。間違いではないんですけどね。

経験上、色が冴える感じがしているので綿でも古い服は酸素結合を除去していきます。

その後、色味を見て蛍光増白処理をしていきますが、大きく分けて2種類あります。

蛍光増白剤の説明が出来るお店ってかなり少ないから聞いたことある人もあまりいないんじゃないかな。

いずれも紫外線を吸収すると青白い光を放ち黄ばんだ色をきれいな白に魅せる効果があります。

服の色を見て、2種の蛍光増白剤のどっちが合うのかを見て判断しています。

この蛍光増白剤は蛍光染料とも呼ばれ、染料のように服に染まる感じで付いていきます。
付いても見えないくらい薄い色です。

洗いあがった色味が、かなり黄ばんで見える場合と、白だけどくすんだグレーがかった色に見える場合があります。

蛍光増白剤は紫外線だけじゃなく、こうした色目に対しても使う色味を合わせればきれいな白に見えるようになります。

今回は黄なり色が強く、ちょっと薄汚れたような感じの黄なり色に変化したので色味に合わせて黄なりを綺麗に見える蛍光増白剤を乗せています。

保証はできない、とお客様にはお伝えしていますがご説明時にどんな工程でどこまでが必要かなど考えご説明しています。

保証できないけどダメな状態には絶対にならないようにテストから一つ一つの工程を1っ店で手をj掛けています。

どこでも断られてしまうような服でも95%以上の確率で綺麗にできているのは、ここまでの手間をかけているからです。

見えない部分ですが、簡単にきれいになっているわけではない事、金額以上に手間をかけている事を知って頂くためにご紹介させてもらっています。




◆「人生で一番感動・・・」

諦めていた服、どこも受けてもらえないような服を綺麗にしていく事が当店の仕事です。

だから、綺麗にできた服は数えきれないくらいたくさんあり、TVのドキュメンタリー番組ではお預かりした状態から綺麗にできるまでの工程を取材され放映されたりもしています。

言葉では何とでも言えるから・・・実際に本当にやっているんだって事を知ってもらえ、安くなんてできる訳ないよね、ってお客様からも言って頂ただけました。

でも服が綺麗になるだけでそこまで感動ってないんです。

長い年月が経てばいろんなことが変わっていくから、楽しかったあの頃など・・・戻ることは出来ません。

この服は数十年前、もしかしたら新婚旅行のために買つた思い出の服なのかもしれませんね。

時間とともに着られない状態に変わってしまった服だからあの時のように戻ることは無いっておそらくは思われていたと思います。

でも、このTブラウスは買った時と遜色無いくらい、綺麗に蘇ったんです。あの頃のように。

綺麗にできたのは、このTシャツ自体の作られ方、品質が良かったからです。

私たちが考える品質は購入金額でもデザインでもないんです。

使用中におこる不具合の出方や洗いによる変化の出方など、作られ方を見ています。

でも30年経っても綺麗にできる服かなんて事、買う時にはわかりませんね。

私もわかりません。
実際にやってみて、結果を見ないとわからないことはたくさんあります。

保証はできないと必ずご説明させてもらいますが、絶対にそうはならないように考えて洗っています。

お客様の思い出、思い入れと一緒にお預かりし、できる限り良い状態にできるよう努力させてもらっています。

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