Blog
ブログ

着物(和服)クリーニング~「どこへ出しても取れない!」と言われた祝い着のシミ~

和服のしみ抜き

付いてすぐの落としやすいシミ1か所   
2200円(税込み)~
数十年しまい込んで落としにくいシミ1か所
4400円(税込み)~

時間が経っていないシミでも古いシミでも、しみ抜きと同時に色が抜けてしまう場合
しみ抜き代金+100%が目安となります。

例、しみ抜き3300円の場合、色補正+3300円 合計で1か所6600円となります。

色が多少薄くなっても色補正まではしない場合、しみの状態と色抜けのバランスをながらしみ抜きをしていきます。

しみ抜きと色修正は別工程になりますので、しみ抜き後に色修正することもできます。

↓和服クリーニング参考価格↓(2023年3月現在 税込み・全品防虫抗菌加工込み)
無地、小紋、喪服9,350円~
訪問着11,000円~
留袖11,000円~
振袖13,200円~
襦袢5,500円~
振袖襦袢6,600円~
名古屋帯4,950円~
袋帯6,050円~
襟拭き(ファンデーション等のシミ抜きのみ)4,400円~
仕上げのみ(畳み線、仕舞いシワ伸ばし等)5,500円~

◆母と私と子供の記念に

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

まずはお電話でご相談頂いただいた祝い着(正絹)のシミです。

しみ抜きができる地元のクリーニング店へ相談し預けたのですが、「これはもうどこへ出しても取れないシミです」と返品されたとの事でした。

しみ抜きテストまでして落ちないって言われたシミの場合、状態を見ないでのお答えは難しいんです。

当店でも取れないシミはありますし、色柄物の場合だとシミより先に簡単に色が抜けてしまう事もあります。

30年、40年と経っているとシルク自体の繊維が酸化腐食している可能性もあり、水を付けただけで溶けるようにして穴が開いてしまったりするものもあります。

繊維自体が染み抜きに耐えられない状態になっていたら染み抜きすること自体が出来ません。

車で1時間以上かかる場所のお客様でしたので、同じ内容のご説明をさせて頂き、最悪無駄足になる事もお伝えさせて頂きました。

「母が着て、私が着て記念写真を撮ってきたので、出来ることなら自分の娘にもこの祝い着を着せて写真を撮りたいと想うから一度見てほしい。」とご来店くださいました。

着物クリーニング~留袖のカビ取り~

◆しみ抜きテスト・・・されている・・・??

すぐにご来店いただき状態を見させて頂き感じたのは・・・
しみ抜きテストされていないな・・・って事。

かなりの数のシミ抜きをしてきていますので、取れないシミをテストしていたら、しみ抜きの形跡が見て取れるんです。
簡単に取れるシミだと、何の変化も出すことなくシミだけ除去できます。

取れないシミだと、取るための方法をいくつか試すため見るとわかるんです。

といったご説明をもう少し詳しくお話しし、見ている前で簡単なしみ抜きテストをしてお見せしたところ・・・

パッと見てわかるくらいシミが薄くなっている・・・

薄くなってもここから先を取るのがむずかしくなりますが、少なくてもテストされているのであればこの程度までは薄くなるって事が一目でわかる、そんな状態でした。

テストした状態を見て「このシミはどこへ出しても取れることは無い!と言い切られました!」と一言。

家庭洗い失敗??浴衣色移り取り~手洗いOKになっているのに色移り・・・~

◆古いシミをお受けする時の注意点

先にも少し書きましたが、古いシミになると想定外の事が起きたりします。
性抜け、と先ほど書きましたが、性が抜けるとは空気中に酸素があるため、酸素により酸化腐食が少しずつ進んでいく事。

汚れ(酸化物)が付着している部分は汚れがない部分に比べ酸化する速度が速くなるため、汚れている場所ほど黄ばみ変色なども出てきます。

脇が黄ばむのも汗の成分が付着するため、襟や袖口も皮脂汚れが付着するため時間とともに黄ばんでいく、そんな現象を酸化発色といいます。

汚れを落とさない限り酸化はどんどん進んでいき、黄ばみ変色を放置しておくと繊維自体も酸化により腐食が進むため引っ張るっと破れる、水を付けると溶けるように穴が開いたりするようになります。

シミがある場所のみ傷みもどんどん進んでいくため、しみの形通りに溶けて穴が開いたりすることもあります。
この場合は繊維自体の寿命となるので保証などが出来ません。

和服のシミ抜きだけでも数百~数千点くらいはやってきていると思いますが、本当に溶けるようにして穴が開いた事例は2点かな。
多数をやっていかないと出会わない事例位のとても低い確率になりますが、お客様からすると大切な1点になりますので古いシミ抜きの場合は必ずご説明させて頂いています。

それともう一つ、今回のように明るい色の部分にシミがある場合、しみ抜きすると色が抜けなくても新品時の色が出てくるので色抜けしたようにきれいになってしまいます。

今回も肉眼でよく見るとしみ抜きした部分は黄ばみ、くすみが取れ綺麗な色にに戻っていることがわかりますが、ぼかす事でぱっと見はわからないレベルで治まっています。ぼかしきれないほどの汚れが蓄積している場合、色抜けしたようにくっきりと色の差が見えてしまう事もあります。

これは服でもたくさんあります。
服の場合は全体を復元洗いすることで綺麗にすることが出来るのですが、和服は服のようには出来ません。

シルクは黄ばみも出やすい繊維で、しみ抜きすることで黄ばみが取れるので染み抜きする際(きわ)をうまくぼかしながらやっていかないと線状に輪シミが出来たりします。

汚れの蓄積量が多いと輪シミが消せなくなったりすることもあります。

表面の輪シミはできる限り取っていきますが、裏地に輪シミができる場合、裏地の輪シミを取ることが出来ない場合もあります。

裏地の輪シミを取ろうとすると、今度は表側に輪シミが出来てしまう場合、裏地の輪シミは取れずに残ることがあります。

これも説明させて頂いていておりますが、裏地にもシミが出ないようにしみ抜きする場合、解いて裏地を外して染み抜きをし、縫製していきます。

この場合、縫製代金が染み抜き代金+縫製代金となります。

和服の汗シミ、古いシミ抜き~予防できるシミとできないシミ~

◆和服のしみ抜き まとめ

当店の場合、しみが取れる確率95%ではなく、クリーニング店で取れないと言われたシミの除去率が95%以上と宣伝していますので取れないと言われたシミのご相談はたくさんあります。

自分では出来ない事でも出来るお店はあるかもしれないし、出来るお店とお客さまが出会えて取れてしまうかもしれないという事はいつも念頭にご説明させてもらっています。

しみ抜きによる色抜けなら直すことができますが、繊維自体が染み抜きに耐えられない場合はしみ抜きが出来ません。

中には100年以上前の和服のご相談があったりしますが、劣化寿命がきていたら染み抜きは出来ません。

色は直せても裂開あ傷みは直せませんから・・・

木目込み人形など作られていた方から150年以上昔の和服の綺麗な柄部分のみ使いたいからとシミ抜きをお受けした事があります。

シミ部分だけじゃなく綺麗に見える部分まで簡単に繊維が溶けるようになくなり・・・こんな状態になるんだって衝撃受けた事はとても良い経験でした。

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。