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バック角、色入れ、補修~TVで放映された動画ご紹介と補足説明~


10月9日に放映された内容は上の画像をクリックしてご覧ください

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)大友 眞吾です。

短時間で放送されましたので、TVで実際に補修したバックの補足説明をさせて頂きます。
洗いから仕上がりまでの注意点、洗って色を入れるだけの単純な作業ではありません。
収録しながら説明はしているのですが説明までは入っていませんのでご説明です。

翌日には更新しようと思っていたのですが、TVを見たと遠方の方からのお電話やご来店でのご相談のお客様がとても多く更新まで手が回りませんでした。



※ ブランド品はクリーニング、しみ抜きまでは大丈夫ですが、色直しまですると正規品としてみなされなくなる可能性があります。

当店はブランド品として直すのではなく、お客様のご自身の私有物(持ち物)を直す事を目的としています。

◆取材依頼から収録、放映まで!

今回、SBSテレブ「LIVE しずおか」からの取材依頼でしたが月~金に放送されている番組なので、取材依頼から取材収録まで2日、収録2日後には放映という今までにないハイスピードの取材から放映となりました。

打ち合わせではどんな事をやりたいのかだけをお聞きし、来店時間を決め、来店時にバック、お財布などを見ながら何をどう撮りたいのか意向を伺いながら、その場でバックを決め、収録しています。

このケースはさすがに初めて・・・一発勝負でできなかったらどうすんだよ!(笑)

息子の健也もこれでTV取材を受けて出たのは4回目。とても良い経験をさせて頂いています。


洗いからワックス入れなどお手入れまでを一気に収録しましたので、後日細かな部分の手直しをし、完成させています。

◆バック角部分補修、実際の工程説明

このバックは娘さんがお誕生日のお祝いにプレゼントしてくれた、ブルガリのバックです。

お手入れをしたことは無く、娘さんが磨いてくれただけ、との事でした。

角部分の補修は一番傷む箇所になるのでかなり多くのご相談があります。

画像のように毛羽立ちまで見える状態になってしまうと革自体が傷んでいるという事になります。

色が変わってきた段階で直していくと、革の表面の塗装で一膜、トップコートでもう一膜の、2重に革を保護する塗膜を形成できるので革自体傷むことなく使うことが出来ます。

多少光沢、色味が変化しますが、一番傷む部分なので通常塗装の3~4倍程度の厚い塗膜、トップコートをすることもできます。

お受けする際、お客様にご説明をするとほとんどのお客様が「丈夫にお願いします!!」と言われます。

革まで傷みが出て毛羽立ちがかなり起きている場合、下地をある程度直し、下地材を入れて補修して直していきますが、下地を直すところまでの作業になると+50%~になります。

今回はそれほどひどくなかったのでこのまま厚めの塗装で補色、トップコートをして仕上げています。

画像見て頂くとわかると思いますが、色直しをしてもペンキを塗った用な質感になることはありませんし、パッと見て色を入れたのがわかるほど色の違和感が出ることもありません。

今回は動画見て頂くとわかりますが、この前段階でまずは全体をクリーニングしています。

革のお手入れは汚れを落とし、油分を補給することですので、洗い後にワックスをよく塗り入れます。

ワックスが残っていると油分により塗料の固着が弱くなるため、塗装する部分のみワックスを取り、塗装、トップコートの順で補修をしています。


バック形成仕上げ

革製品って仕上らしいことはされない、特にバック、お財布は仕上げなどしない、と言われることがほとんど。

実際、一度使う時の癖が付いた革製品は、使った時点で元のシワ、形に戻ってしまいます。

でも、仕上をするのとしないのでは大きく違います。
服などはかなりきれいに仕上がりますが、仕上げる目的は型崩れを直すとかしわ伸ばしだけではないんです。

特に塗装をした場合、熱をかけて圧着することでより強く革に固着させることが出来るんです。

動画を見て頂くと、3種類の方法で色入れしています。

筆塗り、綿生地で塗り込み、エアーブラシで塗料をふわっと重ねる方法です。

綺麗に、丈夫に直す方法になるのですが、それぞれ理由があって使い分けています。

塗るだけより、塗り込むほうがより浸透し固着も強くなります。

塗り込むことで浅い型押しなども綺麗に浮き上がらせることが出来ます。

色を塗ると塗ったような質感、刷毛などの跡など出てしまったりします。

エアーブラシでふわっと色を重ねることで塗った感を消し風合い、若干出てくる村などを消していきます。

状態により、水性塗料の上から油性染料を重ねると表面の水性塗料に油性染料が浸透し透明感出てアニリン皮革(染料染め皮革)のような質感を出していく事ができます。

油性塗料、油性のトップコートを重ねることで、水性塗料に塗料、トップコート剤も半分浸透するような形で固着するので単純に水性塗料を重ねるよりもはがれにくい塗膜、とっぷこーとを形成できます。

水性どうしを重ねていくと単純に2層、3層とかなっていきますが油性は表面を溶かすようにして浸透して重なるため固着も強くなり水性同士ではできない事が可能になります。

風合いと質感をできる限り新品時の状態に近づくよう修復していきます。


クララが立った!

店頭のカウンターで「クララが立った!!」と大騒ぎ?(笑)

どうやら手付ける前段階はバッグを立たせようとしても立たなかったとの事。

仕上がり後の完成形を撮ろうとしたとき、何気に置いたら立った!!

今時の若い人は知らないかも・・・

アルプスの少女ハイジの、感動の一場面 「クララが立った!!」

有名なエピソードなので若い方も知っているかな?(笑)


◆バックの角色入れ まとめ

当店では使う塗料もオリジナルで混合させて作っています。

浅い型押しがある場合は乾くと塗膜が薄くなる樹脂を、クロエ、ロエベ得意の柔らかく伸縮性のあるナッパレザーには柔らかく伸縮する塗料を作ります。

スムースレザーなど凹凸が何もない皮革には少し厚めの塗膜が形成できる塗料を作りムラなく綺麗に入れていく事で細かな傷が埋まり目立たなくなる、消えるなど・・・

革の素材、状態に合わせて塗料を作り補修していきます。

そして最後にアイロン仕上げをすることで塗膜も更に革と密着し、トップコートもより丈夫なコートを形成することが出来ます。

私自身の感覚では色を入れただけの時と比べると2~3倍は長持ちしているんじゃないかなと思い、塗装した場合は服でもお財布でもバックでも必ずアイロンで手仕上げをしているのが当店皮革の修復方法になります。


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