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スーツジャケットのウキ、気泡直し~お客様から頂いた仕上がりの感想~

ジャケットのウキ直し参考価格
全体型崩れ修復しながらの1点手仕上げ
状態、素材により価格は変ります。

12000円~18000円(税込み13200円~19800円)を目安としてください。

ウキ直しは根本的な補修ではなくウキを収めるように手仕上げ、
ウキが出にくくなるよう樹脂加工をして仕上げていきます。

着用中にウキが戻る、クリーニングに出すとウキが戻るなど起きる可能性があり、
根本的な補修ではありません。

全てのお客様にご説明をさせて頂き、
補修内容をご理解いただけたお客様のみお受けさせてもらっています。

下記にも詳しくご説明をさせて頂きますので、
ウキ直しをご希望の方は最後までお読みください。

◆お客様から仕上がり感想のお葉書を頂きました

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友 眞吾です。

まずはお客様の感想からご紹介させて頂きます。

「拝啓
 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
 この度は大変ご丁寧なお仕事をして頂き、深く感謝申し上げます。
 
 約25年着用していますブレザーですが、気泡が出来、大変困っていたのですが、
 これほどまでに完璧に仕上がっている技術に驚くばかりです。

 さらにブレザー全体(シルエット)が型崩れしておりましたが、しっかりとなり、
 本当に見違えるほど良くなりました。

 今後もさらに大切に、愛着をもって着用したいと思います。
 引き続き、メンテナンスを怠らぬよう、クリーニングを含めてお願いさせて頂く時には、
 何卒よろしくお願い申し上げます。
 暑さ厳しき折、くれごれもご自愛下さい。
 この度は本当にありがとうございました。
                            敬具」 


ウキ直しのご相談が急激に増えています。
根本的には解体してウキが出ている貼り付けられた芯地を取り換えの必要がありますが・・・
クリーニング店の工程次第で20年後くらいに出てくる(加速劣化)かもしれないような浮きが2~3年程度で出てしまっています。

今回は25年愛用してきたスーツジャケットですので、加速劣化ではなく普通に出てくる経時劣化になります。

本来ウキ直しは経時劣化により出てくるこんな状態のウキを収めることが目的でした。
実際、何十年と愛用してきたスーツの場合、ウキが出てきている場合は仕上げ時に収めてお届けするのって普通の仕上げ工程の一部でした。

型崩れなども無意識だけどアイロンで直していく。
私の親世代でアイロン一つで丁寧に仕上げるお店であれば当たり前にやってきていた事だと思います。

自然に出てくる経時劣化とクリーニングの乾燥熱などにより加速した状態で出てくるウキでは状態が別物です。

今回はこのお葉書を頂いたのでこのスーツジャケットのご紹介と感想のご紹介をさせて頂きます。

後日、再度工程を見て頂くよう仕上げながら画像を撮っていきましたので改めて工程の説明を詳しく書き投稿させて頂きます。

ゼニアジャケットクリーニング~水洗いで依頼して出てしまった型崩れ修復仕上げ~

◆同じ機械で仕上げても仕上げる人により仕上がりは別物になります。

こちらは
このスーツ裏側に付けらえているブランドロゴです。
AUTHENTIC MODEL(オーセンティックモデル)と書かれています。

このジャケットは四角いボックススタイルモデルです。
JPRESSの場合はもう一つクラシックモデルがあり、ウエストを絞った形のモデルになります。

調べました(笑)

私はシルエットは服を見て判断し、型崩れは生地の織りを見て直していきます。
デザインがわからない服でも直すことができるこの仕上げ方法を「地直し」と言います。

もう今のクリーニング店では死語になっているので「地直し」という言葉すら知らないってお店が多くなっていますが仕上げの基本中の基本です。

10年以上前になりますが、クリーニングの有料セミナー(結構高額)に参加した時、『スーツは仕上げする事で型崩れをおこしている』と講師が仰っていました。

少し前にこのブログでも〈高いコースに出した事で起きる不具合〉の記事を書いています。

下にリンクを貼っていきますので、チェーン店の高いコースで安心と思われている方、興味のある方は是非読んでみてください。

この時には多分書いていない、機械仕上げする人により仕上がりが違うんです、と言う説明をさせて頂きます。

高いコースで依頼したためにおこる型崩れ~その原因は?~

◆型崩れを起こす原因は?

機械仕上げは仕上げる人により全く同じ機種を使っていても違いが出ます。
Yシャツもすべて機械仕上げになりますが同じ機械で仕上げていても仕上げる人次第でかなり違いが出ているんです。

Yシャツの場合は地元だと、前立て(ボタンをはめるところ)の湾曲を結構見ています。
エリと袖カフスのしわ(縮み)はその会社が使っている機種により伸びる伸びないが出てきます。

ではスーツは・・・
20年程前から、スーツの形を形成しながら仕上げる<人体形成プレス機>が使われるようになってきました。

ほとんど縮まない裏地に比べ、表生地はタンブル乾燥で結構縮みが出るため、着たときに裏地が見えるくらい表生地が縮んだスーツも結構ありました。

この<人体形成プレス機>はこの縮みをスチームで蒸し機械で伸ばすように引っ張り直していく仕上げ機なので、裏地が出てしまうような仕上がりはかなり無くなったと思います。

しかし、一つの機械の型に合わせて伸ばしていくため、今回のようなボックス型デザインなら大丈夫でもウエストラインが絞られているデザインでも同じ形の形成仕上げをされてしまうんです。

この機械仕上げは1点ずつ機械に着せて仕上げていくため、仕上に一手間かかり1点ずつの仕上げになります。

チェーン店で最も多く取り入れられているのはハンガーに吊るした状態で何着もまとめて仕上げる場合、単純に吊るした状態で何のテンションもかけずスチームと熱でしわを伸ばしていくだけになるので無理やり型にはめるような仕上げにはならないんです。

縮みがほとんど出ていないスーツの場合は細かなしわは伸びていなくてもシルエットは大きく崩れることなく仕上がります。

この辺りの説明はリンク先をご覧いただくと詳しく書いています。

シュープリームスーツ殺菌消臭洗い~嘔吐してしまったスーツ~

仕上げる人による仕上がりの違い

今度は仕上げる人により変わる仕上がりのご説明です。
機械に着せる時のジャケットの状態を見てどう形成していくのかを理解している人が機械仕上げをするとかなりきれいな仕上がりになります。

まず一番簡単に型崩れが見えるのは胸ポケットのラインと両ポケットのラインと裾のライン。

機械仕上げで縮みを修復する場合、スーツの裾を機械で押さえ、スチームで蒸して少し上に伸ばしていきます。
何センチ伸ばして仕上げるかは設定次第。

型崩れしていないスーツでも縮んだスーツを伸ばすのと同じようにかけられてしまうと表生地が下に引っ張られるためポケットラインは湾曲します。

これは見ればわかります。
両ポケットはポケットの蓋を上げてみれば湾曲しているのがわかりますがほとんどといってよいほど湾曲しています。

説明するまでもなく下に引っ張られるから湾曲します。

もう一つは裾のライン。
本来は真っすぐなラインになっていますが、同じように湾曲している場合はかなり型崩れを起こしています。
裏地が付いている場合、裏面を見ると裏地と表生地のバランスが崩れていることがわかります。

まずはこの縮み修復機能をどう使っていくかにより仕上がりと言うか、着た時のシルエットがかなり違ってきます。

大きく縮みが出ている場合は、縮んだ部分を縮んでいない部分に合わせるようにして仕上げていきます。

裏地は縮みは出ないので、表生地の長さに合わせて裏地を少したるませる感じでセットして仕上げることで表裏の生地のバランスがある程度揃ってきます。

この時、下のラインをまっすぐに合わせ、折り返しのある裏地はアイロンで裏地が綺麗に収まる様にアイロンで直してから、表生地と裏地のバランスがとれるよう機械仕上げします。

機械仕上げする人がここまでのスキルを持って仕事ししているかどうかですが、その前に教える人がちゃんと理解して教えているか・・・

色んな仕上がりを見る限り、単純に着せてボタンを押しているだけの仕上げになっていることがほとんどです。

機械も使い方次第です。

同じ機械仕上げでもシルエットは全く別物のように変わってしまうのはこんな理由からです。

◆スーツジャケットのウキ直し お客様から頂いた感想 まとめ

当店へ初めて持ってこられたお客様から、「チェーン店と何が違う?」って時々聞かれたりします。

一番の違いは【長年この仕事をやってきている職人が受付け、仕事をしている】【パートさんがメインで仕事をしている】とかになるかと思います。

聞かれた場合、「今まで出していて何も困ることもなく仕上がりも満足しているのであればそのまま利用している方が幸せですよ」と答えたりしています。

着ていておかしくもなく、気が付かないのであれば、満足できる仕上がりになっているからです。

今回ご紹介したハガキの中で、注目して頂きたいのは

「さらにブレザー全体(シルエット)が型崩れしておりましたが、しっかりとなり、
 本当に見違えるほど良くなりました。」


型崩れに気が付いていても今の時代、綺麗に直してくれるお店は探しても見つからないくらい少なくなっています。
実際、型崩れを直しても、直っていることに気付かないお客様が多いんです。

気泡を直す場合、芯地の縮み、表生地の縮み、全体の歪みなどを直していかないと樹脂加工で綺麗に収める事が出来ないんです。

ズボンのセンターラインを消えないようにする折り目加工をされたことがある方も多いかと思います。
この加工は簡単に言えばライン先端に接着剤を付け固めている樹脂加工です。

歪んでつけられてしまうと取れるまで歪んだままになります。
パンツは正確に裁断、仕立てをされているとセンターラインは裏表の縫い目をぴったり合わせたときに真っすぐなラインになります。

これがわかると購入する時にラインを合わせてみるとちゃんとした仕立てになっているかどうかも分けることができます。

ウキ直しはそれ程強固な樹脂加工はできませんが、それでも縮み変形は直してから樹脂加工をしていきます。

このお客様は型崩れもずっと気になっていたのかな。

修正した事がわかるお客様であれば丁寧な仕上げも価値が出てきますが、
特に気にならず問題なく着用できているのであれば高いだけの仕事になってしまいます。

世界一綺麗な仕上げをしていたとしても、価格重視のお客様であれば絶対に満足して頂けることはありません。

お客様が希望される仕事とか価格に見合う仕事を得意としているお店へ依頼することで満足を得られるのだと思います。

気泡のような浮き?今回の事例は芯地の縮みです。~浮きと縮みでの出方の違い~

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