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チアリーダー衣装の黒カビ取り~やってはいけない事例・お客様からのLINEもご紹介~

広範囲の黒カビしみ抜き 内容

塗られた塗料除去
黒カビ色素分解

数か所に分けしみ抜きですべて除去

今回のしみ抜き参考価格 
12000円(税込み13200円)

◆届いた時の状態

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主 大友 眞吾です。

今回はチアリーダーの衣装ですが、部活動で使っているからどこの衣装かわからないようご紹介です。
仕上がりご連絡をした際、当店へ依頼されるまでの事を教えて頂けましたのでまずはそのLINEをご紹介。

仕上がり連絡をした時のお返事 
「You友さんに依頼をする前に
地元のクリーニング店と、山梨県の方のクリーニング店、計2カ所お願いしました。

地元のクリーニング店では、染み抜きがこれ以上出来ないとの事で返品になり、
山梨県の方のクリーニング店では、
出来る限り染み抜きはやっていただいたようですが、やはり所々斑点が残っている状態でした。

You友さんにお任せして、
本当に良かったです。
ありがとうございます。

到着をお待ちしております。」


お客様の元に到着してからのお返事は最後に載せておきますのでご覧ください^^

LINEでご相談を頂く場合、まずは画像と教えて頂いた情報をもとにわかる範囲でお返事。
お見積り予想、内容などご覧頂いた後に送るかどうかはお客様自身のご判断。
お返事がない場合、こちらからご連絡をすることは一切ありません。

お送りいただいた場合、しみ抜きなどはまず1点1点テストしてからご連絡になります。
テストをしないと取れるのかどうかと手間がどれくらいかかるかなど正確なお見積りができないからです。
テストと言っても実際に落とすしみ抜きをしていきますので
簡易的なテストではありません。

しみ抜きテスト後のご連絡になるので混み具合によってはご連絡までに1~2週程度かかることもあります。
キャンセルはもちろんOK。テスト代金などは一切かかりませんが送料のみご負担願います。

テスト結果と正確なお見積りをご連絡し、依頼された場合はこのまま進めていきます。
しみ抜きが終了後にご連絡、ご都合の良い日時と時間とお聞きしてから代金引換にて発送となります。

まずは届いた時の状態です。
2か所のクリーニング店に依頼し、当店前に県外のシミ抜きを売りにしているお店へ宅配で依頼して仕上がり後の状態。

まずはこの段階でかなりの違和感が出ている事に気が付きます。
しみ抜きで起きる変化と言うか状態ではないんです。

このブログは同業の方も結構見られているようなので、宅配で受け付けていく上での注意点も書いておきます。

絶対にやってはいけない!汚れを塗料で隠蔽~塗られた塗料が溶け出しベタベタに~

バーバリーコート全体に出たカビシミ除去~放送がHPで見られますのでご案内^^~

◆状態から判断できることはたくさんある

こちらはカビもなく手付けられていない部分を濡らした画像です。
均一に浸透しています。

クリーニング店から事故品の修復依頼もあったりしますが、ほとんどのお店は事故品と言う事を言いません。
そして何をどうしたかも隠すように経緯を説明されるのいで「そうじゃないでしょ・・・」って事は多々あります。

そうじゃないでしょって本人に言うのも言いにくいし気が引けるので最近は状態から何をしたかがわかる場合はこちらから
「これはこうしたんじゃない?」と言った感じで言うようにしています。

例えば色滲みが出ている場合、こうして洗ったらなったんじゃない?など。
「さすがですね、見るだけでわかるモノなのですか?」など何度も言われています。

そして一番注意しなければいけないのは、地元業者とかでなく、宅配のみネット上でしみ抜きを宣伝して技術を売りにしているお店。

この衣装はパッと見て顔料で隠蔽した?って気が付いています。
そこで今回はそれがわかるよう画像を撮っておきました。

お客様にはしみ抜き、色関係の事は何もわからないので”しみ抜きして薄くはできたけど残った”との説明で、薄く見えていても納得されます。

でも、しみ抜きに長け数十万点もしみ抜き、色修正などを手掛けているお店は状態を見るだけで何をしたのか判断できるんです。
それだけ色んな事を試行錯誤しながらやってきているからです。

このお客様にも「この状態はしみ抜きをしたのではなく上から塗料を塗り隠ぺいしようとしたけど隠しきれなかった状態です」と説明させて頂いています。

このほかでもクリーニング店から帰ってきた状態をそのまま当店へ依頼され説明とは違うという事、下手すると何もされていない事など説明をしてきています。

これが何を意味するかと言うと、今の時代は適当にごまかすことができない時代になってきているって事です。

特に宅配で送るようなモノは諦めきれない物、大切なモノになるので、そのお店でできない、取れないというものが他のお店へ依頼されていくという事です。

価格も同じで、ブランド品だから金額は高くて当たり前、と今は通用していますが、価格と品質を考える方が多く出てきています。

HPを見るとクリーニング会社にしか見えないのに、よく見てみればクリーニング会社ではないと明記されている会社もあります。

当店もクリーニング業界の在り方、考え方も今までとは違ってきているという事を考えながら時代の流れに沿って変えていこうと試行錯誤しています。

お客様にはわからなくてもわかる人が見ればわかります。
ネット集荷できる時代に全国どこでも自由に送り依頼することができます。

当店でできないことでも他の職人ならできることはあると思っています。
だから適当にごまかすような説明はせず、できる事しかできないという事を前提でご説明をさせてもらっています。

このブログでも可視化できることは可視化し誰が見てもわかるように説明ができればと思っています。

今回は”できる限りシミ抜きで薄くしてみたけど取り切れない”ではなく”シミは取れなかったので隠ぺいしてみたけど隠しきれなかった”と言う事になります。

最近は詳細に説明をするとAIなどで細かな情報まで収集され、同業者の参考にされてしまう事が多くなってきていますので、
一般のお客様に理解できる内容だけを載せていくようにさせて頂きます。

今回の状態は色を接着剤で貼り付ける顔料が使われていたようです。
接着剤は不溶性といって、乾くと水には溶けず水を弾くようになります。

顔料が付いていない部分は水が浸透して油シミのように見える状態になり、顔料が乗っている部分は水が弾かれ濡れない状態で白く残るわけです。

ちなみに白い服を洗って乾かすとこんな感じに見える透明感のある黒ずんだシミが残る場合は油シミです。

油はオキシにしても酸素系漂白、塩素系漂白剤でも落ちません。
落としたい場合、どこの家庭にもある台所用洗剤原液で落とします。

シミ部分に原液を付けたら生地どおしをこすり合わせないよう2~3mm間隔を開けた状態で、染み込んでいる油と洗剤を良く馴染ませることを意識して揉み、よく馴染んだら揉みながら洗い流せば油シミは落とすことができます。

綿製品の色柄物は生地をこすり合わせると一度で色が抜けるのでこすりあわせないよう注意し、でも油は洗剤とよく馴染まないと洗い流せないのでよく馴染ませるのがしみ抜きのコツです。

エルメスバック キャンパス地の黄ばみ取り・カビ取り

◆見えない事を可視化

こちらが可視化した画像です。
顔料が乗っている部分を濡らしてみると水が染み込んでいる部分と弾かれた部分がわかります。

白く見えている部分が顔料を塗ってある部分。

新品の服でも時折洗うと白く見えて乾くと見えなくなるって現象があります。
綿製品に多いかな。

糸の段階で染めたモノを織り込むのではなく、後染めといって織られた生地を染めていく染め方があります。

後染めではゼロにできない不具合で、何かしらの原因で部分的に染まらなかったりすることがあります。
出荷前に色抜けに気が付くとその部分のみを色入れして直し出荷する服もあります。

お客さまが相談に持ってこられたときに「これは残念だけど外れひいちゃったね」と説明したりするモノもあります。

洗うと色を乗せた部分のみが白くなり、直す範囲が大きいほどくっきりと見えますが乾くと消えます。

新品時からの不具合になりますが、直されているとまず気が付くことはないので防ぎようがない「ハズレ」になります。

こうした色を入れて何かをする、って考えるお店はある程度の技量と言うかしみ抜きをやっているお店になります。

色修正などやっていないお店の場合、隠蔽しようと考えることもないからです。

脇の色が抜けた、エリの色が抜けたなど、部分的に色を直した服の場合、この現象が起きる事って結構多くなります。

色直しって染料だけでは綺麗にできない事があるため、染料+顔料を使って色を直していく事が多くなるからです。

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◆チアリーダー衣装の黒カビ取り~やってはいけない事例・お客様からのLINEもご紹介~ まとめ

ある程度綺麗に塗料でシミなどを隠蔽できるのは皮革製品のピグメントレザーと言われる革です。
元々顔料(ピグメント)で色づけられているため、染め直し(塗装のし直し)がかなりきれいにできる革になります。

綺麗に直る一番の理由は塗料が染み込まず革にコ-ティングするような状態で乗せることができるからです。

革自体が傷んでいると革に塗料が染み込むため染み込まないような方法、処理をしてから塗装をしていきますがどこまでできるかはそのお店の技量次第。

服の場合、繊維なので塗料などを乗せるとそのまま浸透してしまいます。
じゃぁ、浸透しないようにすれば隠すことができるわけですが、繊維は細い糸で織り込まれているため繊維の織りの目が塗料で埋まってしまうためできないんです。

繊維の目が埋まるとその部分だけ凹凸が無くなり平らになる、入れすぎると接着剤で貼り付けているので硬くなるなど不具合が起きてきます。

今回中途半端な隠蔽になっていたのは、隠れるほど濃く塗料を入れられないからです。

革でも白に黒いシミがある場合、できる限り黒の色を薄くしないと隠蔽はできません。

シミ部分の塗料を剥がし取り、下地の革のシミ抜きなどの処理までしてから元通りの色を作り塗装して隠ぺいと言う作業になります。

繊維でもある程度は隠蔽できたりしますが、それより落とせるシミは落としていく。
自分ではそのシミが落とせなくても落とせるお店はあるかもしれない。

100%シミが落とせると言い切れる人はいないと思いますが、上には上がいます。

いつもこのことを念頭に置いてお客様にご説明、しみ抜きをしています。

それでは最後にお客様から頂いた感想LINEをご紹介します。


お世話になっております。
先程、受け取りました。

見違えるほど美しく仕上げていただき、驚きとともに感激しております。
どのクリーニング店でも完全には落ちなかったシミを、職人の皆さまの技術でここまできれいにしていただき、感謝申し上げます。

職人の皆さまに呉々も宜しくお伝えください。

本当にありがとうございました。


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