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縮緬(ちりめん)の和服の水シミ取り~自分でやるのはNGの応急処置&しみ抜き~

今回の縮緬(ちりめん)水シミ取り参考価格

今回はシミが大きすぎるためシミ抜きのみでは落とせない事例

縮緬和服クリーニング 9500円(税込み10450円)
しみ抜き      10000円(税込み11000円)

◆自分で処置をすると悪化する事例・やってはいけない事

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友 眞吾です。

洋服でも椅子でも生地に対してやってしまうと大きなシミとなり落とせなくなるためやってはいけない事があります。

水洗いをしない物、できないモノに濡れるほどの水分を拭き付けてはダメなんです。

どうなるかと言うと・・・画像の通り。
今回は和服ですが水を付着させたことで大きな水シミができてしまった状態です。

よくあるのがソファーとか椅子のシミ。とろうと思い濡らしたタオルなどで叩いたらそのまま大きな水シミができてしまう、服でも同じように濡れるほど水分を付けてしまい乾いたらそのまま大きな水シミになった等・・・

服の場合だと光沢のある織りの細かな生地ほど出やすいため、ダウンブルゾンなどは雨に濡れるとそのまま水シミになったりもします。

綿麻のジャケットとかコートも普段クリーニングに出しているような服はほぼ確実に水シミになりクリーニングに出しても落としてもらえなくなります。

クリーニング店でしみ抜き剤を付け洗ったら水シミになって落としてほしいと言った相談は時々あったりします。

水洗いすればほとんどの水シミは取る事はできますが、綿、麻製品に水シミを作ると洗うだけでは落ちないシミとなったりします。
ファブリーズを吹きつけたらそのままシミになって落としてもらえないってご相談も時々あります。

水溶性汚れがある場所に水分を付けると、水分に汚れが溶けながら広がり、広がった縁で止るため水シミを作ります。

水溶性汚れは空気中の湿気に溶け込んでいる目には見えていない汚れがあり、繊維は溶け込んだ汚れと一緒に湿気を吸い込み、乾燥すると水分は揮発して無くなりますが溶け込んだ汚れはそのまま残留していくため、これを繰り返しながら水溶性汚れが蓄積していきます。

水洗いをしない限りこの汚れは蓄積し続けるため、10年前に買ってドライクリーニングしかしていない服の場合は10年分の水溶性汚れが蓄積していることになります。

和服の場合、数十年と経っている着物も多く、洗い張りをしない限り水溶性汚れはずっと蓄積しています。

洗い張りと和服クリーニングとは違います。
洗い張りは着物を解いて一枚の生地に解いてから水洗いをしていくため反物になって戻ってくるので仕立てが必要になります。

クリーニング店のクレームの中で、洗い張りをすることで受けたところ、反物にされた!とクレームになったという事例があります。

洗い張りなんて今時ほとんどの人が知らないのでは?

昔実家のクリーニング店で和服クリーニングをしていたころ、和服の水シミはぼかし抜きと言う方法で取っていましたがここまで大きいと上手く取ることができませんでした。

私自身、しみ抜き、高額品の洗い方は和服クリーニングとしみ抜きからヒントを得て応用してきました。

この水シミ取りの方法は逆で、水洗いができない高額品の水シミを取る方法から和服に応用しています。

特にマックスマーラの裏地の水シミを風合いなど損なうことなく落とす方法から得た水シミ取りです。

ちなみに、〈レーヨン素材の服が雨に濡れたら濡れた状態のままシミになる〉のはこの水シミとは違う種類のシミになります。

レーヨンの場合はウォータースポット現象と言って濡れた部分が水分を吸収して膨張し、乾いても膨張した状態の繊維が元の状態に戻り切らずシミに見える現象です。

これも直せるお店はものすごく少なくなりますが、直す事はができます。

いずれにしても「部分的に濡らす」と言う事はしないほうが無難です。

和服(着物)クリーニング・しみ抜き~数十年しまってある間に浮き出てきたシミ~

何枚も生地を重ね合わせてあるエリ

画像はエリを折って裏側画像です。
裏までしっかりと水分が浸透して表と同じように水シミがくっきり出ています。

和服のシミ抜きで一番厄介なのがエリのシミ。
特にしみ抜きだけで落としていく場合、生地が何枚も重ねられているためかなり厄介な染み抜きになります。

表面のシミを取っても重ね合わせている下の生地にシミがあるとシミが透けて見えてしまう事があります。
白地に多いのですが、濃い茶系とか黒いシミは表面のシミが取れてもし下のシミの色が透けて見えてしまうため見えてしまいます。

いくら表面のシミ抜きをしてもその下側のシミは直接しみ抜きができないため落とせない事もあります。
和服の場合だと、エリを解いて一枚の生地にしてから、一枚ずつ染み抜きで取っていくモノもあります。

この場合、解いてから縫製する代金、内側の生地を何枚しみ抜きしていくかなどにより代金も変わるため結構高額になります。

もう一つ、エリの表側からしみ抜きをすると裏までしみ抜き剤、水分などが浸透していきます。
生地が重なっているため乾きが悪く、表面の染み抜き跡を出さないようにしみ抜きをしても裏側にシミが残ることがあります。

これは本体も同じで、裏地が付けられている場合は裏地にシミが残ってしまう事もあります。
状態的には水シミができるのと同じです。

ぼかし抜きでシミが見えなくなるように処理はしていきますが残ってしまう事もあります。
裏地にもシミを残さないで欲しいと言う場合、解いて裏地を外してからしみ抜きをし、縫製していきます。

シミ抜き代金+縫製代金がかかってきます。

◆自分で落とそうと頑張らないほうが良い理由

しみ抜き後です。
ご相談時、シミの状態を拝見して最初にご説明した事は・・・

「シミが付いた部分をこすった跡が見えるから、水シミが取れると擦った部分の色が抜けていると思います。」

乾いた状態より濡れた状態のほうが色抜けは起きやすく表面に擦れが出て白ける、毛羽立ちが起きて直らなくなります。

和服に限らず、洋服でも同じです。
綿、麻、シルク製品は水分を付着させてこすると一度で色抜けを起こす素材です。

繊維に合わせてシミ抜きをするという技術を持ってしみ抜きができるクリーニング店は個人店でもかなり少なくなってしまっています。

今回もお客様がかなり頑張ってしまったようで・・・水シミが取れる前でも白く色抜け、スレによる白けが見えていました。

シミが取れたあとはもっと白く目立っていましたが、スレ直しをしてかなり目立たなくしています。

スレ直しとは和服の脇下など着用中に擦れて白けが出たりしている時に目立たなくする昔からある方法です。

服にも応用ができるのでスレが出ている脇など目立たなくすることもできます。

和服専門店で断られたシミ~断られる理由と依頼する時の方法~

一度では取れなかったエリ裏の水シミ

エリ裏です。
表面と同じように水シミ処理をしていきましたが裏側はシミが残ってしまいましたので再度処理をしながら洗い直しています。

しみ抜きをして濡れた状態になると水シミは見えなくなってしまうため取れたかどうかは乾燥してから確認をします。

大きな水シミでもこの方法での落とし方を確立した事で、風合いの変化、色落ちなども出すことなく落とすことができるようになりました。

それからもう一つ、新たに出来るようになったことがあります。

それは、ワキガの臭い落としです。
かなり落とせないニオイの一つでしたが、ほぼ落とすことができるようになっています。

これは、友達に貸したドレスのワキガのニオイがクリーニングに出しても取れず・・・
取れなければ着ることができないから破棄するしかないのでダメになってもクレームなどつけないから試してほしいとの依頼から得た事です。

このご相談時に思い切ったことまで試すことができたけど落ちない事で、今までとは違う角度から見て考え答えにたどり着いた臭い落としでした。

臭いは画像には写らないためブログでご紹介はしていませんが、困っている方も多いのでまたご紹介させてもらおうと思っています。

◆縮緬(ちりめん)の和服の水シミ取り まとめ

今回はかなり大きな水シミでしたがきれいに取ることができています。

縮緬とは表面に細かなシワ(凹凸)がある生地でシワになりにくい生地です。

凹凸があるのでしみ抜きができないとしみ抜きを断られるケースもある様です。

このちりめんは糸の撚り(ねじり)の違う縦糸、横糸で生地を折り込み縮めることでシワ(凹凸)を作っています。

ちゃんと理解している職人であれば凹凸が消失しても復活させることができます。

今回の場合、凹凸を消失させてしまうと復活させる工程でまた輪シミ、水シミができたりしてしまうため、消失しないように取っています。

洗い張りをしないと取れないと言われたってお話もお聞きしていますが、おそらく洗い張りをして落とすという方法が一般的だと思います。

でも、昔は着物を自分で縫える方もいたのですが今の時代は着物自体が特殊品扱いで仕立てられる方は呉服屋さんの専属になっています。

洗い張り自体、需要は無いため受けられるお店も少なく、洗い張りができても仕立てまでは受けられないってお店がほとんどです。

当店も昔からお付き合いのあった職人さんは全て廃業されてしまい、特に仕立ては受けられない状態になっています。

なので、着物を解かず、そのままの状態で落としていく方法が必然的に必要になってきています。

少なくなってきた和服クリーニングですが、地元では受けられるお店はほとんどないためご相談が増えています。

もちろん出来る事、出来ない事がありますが、困っていることがありましたらお気軽にご相談ください。

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