Blog
ブログ

シミを取ろうと頑張ってはいけない事例~着物にネイルグルー、スーツに接着剤~

接着剤など樹脂系のシミ抜き参考価格

今回の振袖にネイルグルー
今回は画像にない部分含め全5か所
30000円(税込み33000円)

接着剤、瞬間接着剤、アクリル絵の具、ペンキなど
1か所3000円(税込み3300円)~10000円(税込み11000円)が目安

表面のみ、表から裏まで浸透した状態、大きさ(範囲)などで金額が変わります。

正確なお見積りは取れ具合などテストしてからとなります。

◆振袖にネイルグルーを付けてしまったとのご相談

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主 大友眞吾です。

かなり落ち込んでいる感じで・・・諦め半分という感じでご相談を頂いた振袖のシミ抜きです。

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)を独立開業して20年になります。
店主の実家は柴田屋洗業というクリーニング店(今は廃業)で、家系的には明治時代に曾祖父から続くクリーニング店。

私自身は屋号を継がずおしゃれ工房You友という息子が高校時代に付けてくれた店名で開業をしました。

父の考え方、やり方が私とは合わず、私自身の考え方とやりたい形で始めたのがおしゃれ工房You友です。

今と昔とでは時代の流れと共に求められる仕事も変わってきています。
開業当時から店主がやろうとしてきた事は、どのクリーニング店でもできない、その時代にはない事をやっていきたい、
無理、できない、と言われてきた事をやっていきたいと取り組んできました。

革のクリーニングからしみ抜きもその一つでしたし、色褪せた服の染め直し、色直しもその一つ。

実家では全くやっていなかった事です。

そして今回のシミ抜きもその一つ。
開業当時では日本全国を探しても落とせるお店は数軒あるかないか程度だったと思います。

ペンキ、瞬間接着剤などは服に付くと落とす事は出来ないのが常識と言われていた時代。
革製品も油が付いたら落とせない、色落ちしたら直せない、と言われていた時代です。

接着剤、ペンキ、アクリル絵の具、ネイルグルーなど接着剤のようなシミを総合して樹脂系のシミと呼んでいます。

これらのシミって一般的なクリーニング店だと年に数回相談があるかないか、くらいだと思います。

シミとして付いてしまう事が少ないわけじゃなく、付いた時点で取れないとあきらめる事がほとんど。

でも借り物、ほかの人の服、とても大切なモノなど・・・
どうしても落とさなければいけない物ってあります。

実家は染み抜きがとても上手なお店としてデパート、高級ブティック店から依頼されたりしているお店でしたが、樹脂系のシミはほとんど落とすことができなかったんです。

私自身も落とせない物、として認識していたシミの一つでしたが、実際に取ろうと取り組んでみると落とせる・・・

こうすれば落とせるという方法はすぐ見つかったのですが、実際に取るために設備をそろえる必要がありました。

開業当時は資金繰りも苦しく年に数回あるかないかのシミに対して設備投資をする価値があるのか・・・
とても悩んだことを覚えています。

今となってはお客様から口コミで落とせるお店として認識もされほとんどの樹脂は落とせるようになっています。

子どもの学生服に付いたペンキとかアクリル絵の具などのシミもできる限り安価で取る、しみ抜きパスポートがあれば無料で取ってあげることができるのも今の設備と技術が無ければできなかった事です。

カナダグースダウウンコート アクリル絵の具のシミ抜き

繊維を傷めることなく取るのがシミ抜きです。

しみ抜きを依頼すると生地が傷むとよくお聞きします。
クリーニングするだけでも良い服は傷むから出さないほうが良い、というのもよくお聞きします。

しみ抜きで依頼したら生地が傷んで返ってきた、色が抜けた状態で帰ってきたなど・・・
何の説明もされず明らかに繊維の傷みなど変化が出た状態で帰ってきたとしたら依頼するお店を変えた方が良いと思います。

中には変化が出やすい素材と色がありますが、しみ抜き経験豊富な職人であれば事前説明をするのが当たり前です。
経験があるほど、事前説明の大切さも理解しているので必ず説明されます。

今回のような普通に考えても簡単には落ちないシミ、完全に硬化しているような状態の場合、物理的に力をかけるような染み抜きをすれば繊維は傷みます。

しみ抜きは繊維に負担をかけないよう、溶解する、分解しながら除去していきます。
今回のような樹脂(接着剤)の場合、カチカチに固まった状態を指先で擦るだけで繊維が削れ傷みが出ます。

ではどうするか・・・
付いた時は液状の状態ですので、元の液状の状態に溶解させ繊維から除去していきます。
溶解させ液状化出来たら吸い取るようにして除去することで繊維を傷めることなく除去することができます。

繊維の素材、着色されている方法などから、繊維にも色にも影響が出ないようどう溶解、分解をしていくか・・・

最近だとネットで調べて実践する方も多く、こうした樹脂系のシミはアルコールとか除光液で除去できると書かれていたりします。
溶解できるモノがあれば溶解させることはできますが生地から溶解させたものを取ることができないんです。

下にタオルを敷いて叩き移すなど出てきたりしますが叩き方次第で生地が毛羽立ったり色が抜けたり変なテカリが出たりなどがでてしまいます…
この変化が出てしまうとシミが取れたとしても変化を直すことができなくなります。

今回もシミの周りを見ると白化していますので取ろうとやってしまったことがパッと見てわかります。

シミが取れると周りの白化した状態の大きさで繊維の傷み、色抜け、テカリなどが残ることをご説明してお受けしています。

今の状態よりは確実に目立たなくなりますが傷としてつけてしまった繊維は直すことができないんです。

◆振袖にネイルグルー しみ抜き後

しみ抜き後です。
毛羽立ちと白化したようなテカリが残っていましたので、できる限り目立たなくなるよう少し色を入れ修正しています。

しみ抜きの目安として70㎝程度離しパッと見てもわからない程度を目安としています。
一般的に対面して話をする時の距離です。

近くで探すようにして見てもわからない完全除去できるモノもあればうっすらと残ってしまうものもあります。

十分着られるレベルまで綺麗にできているのにもう少し、を頑張りすぎて失敗・・・の経験から線引きをさせてもらっています。

制服に付いたポスターカラーのしみ抜き~文化祭準備あるある!~

アップでみると・・・

シミは綺麗に除去できていますが下側の触られていた部分は質感が変わっているため少し変化が残っています。
少し色を入れながら白化した部分はかなり目立たなくなっていることがわかるかと思います。

上部分に密接したシミは、接着剤を溶解する薬剤を使うと柄の部分も溶けてしまう可能性をご説明しています。

柄が簡単に溶け出すようだと柄を書き直さなくてはいけなくなります。
下側の大きなシミ部分が取れれば・・・という事でお預かりしましたが柄部分のシミも除去できました。

実際には柄も溶け出し欠けてしまったのですが、最小範囲で止め少し色を入れ直しています。

何もせずそのままの状態で持ってこられていたら綺麗に除去できている事例です。

お客様は半分諦めている感じでのご依頼でしたのでとても喜んで頂けました。

◆瞬間接着剤が付いて揉んだら割れてしまった事例

スーツパンツです。
表から裏まで瞬間接着剤が浸透し接着剤が硬化するのと同じ状態で固まっています。

接着剤にしてもペンキにしてもクリーニング店で取れる、と簡単に書かれているモノを見たりしますが・・・
今回のこのお客様もクリーニング店なら取れると聞き、何軒も持って行きすべて断られたと。

確かに服に付いた接着剤のシミを落とせるのはクリーニング店だけになりますが落としてくれるお店はとても少なくなります。
チェーン店に依頼しても100%落ちません、といえるくらい取れないシミの一つになります。

どこも断られたため自分で揉んだりしてしまった状態ですが、カチカチに固まった接着剤がパキッと割れるのと同時に生地も切れた状態に・・・

ウールコートに付いたペンキ~断られてしまったコート 喜びのメールもご紹介^^~

接着剤除去後

先の和服同様、何もしていなければ綺麗に除去できた事例です。

和服のシミ同様、接着剤をもう一度溶解し液状化させた状態で除去していきます。

傷があっても広がることなくシミのみを除去できています。

今回はしみ抜きのみでお受けしていますが、スーツの場合だとこの傷を綺麗に直そうと思うと「カケハギ」になります。

カケハギは同じ布を折り返し部分などから取り、糸を解き一本にしてから同じ柄で織り込んでいく方法です。

この生地であれば直したか所がわからないレベルで直すことができますが今だと8000~1万円程度の金額になるかと思います。

その他だと裏側に接着芯を当て貼り付ける方法、糸で紡ぐようにして縫う方法とあります。

接着芯を使い貼り付ける方法なら貼り付けた直後であればかなり目立たなく補修できますが使ったり洗ったりしていくうちに剥がれてきます。

糸で縫う場合は縫いあと(修理跡)は見えてしまいますのでスーツの場合はあまりお勧めはできない修理方法になります。

とにかくどうしても取らなければいけない場合、手付ける前にご相談ください。

◆樹脂系のシミ抜き まとめ

学園祭の準備をしていて付けてしまったペンキのシミです。
ペンキ、アクリル絵の具も同じ系統、樹脂系のシミとなります。

学生服の場合、付けてしまった本人よりご両親のほうが大ショック・・・になるんじゃないかな。
親としてはこの状態の制服を着させるのはかわいそう・・・できれば取ってあげたいと思うのが親心です。

つい先日も学生服上下にかなり広範囲、というよりほぼ全体に木工用ボンドを付けてしまったというご相談がありました。
「明後日には必要なんです…」とお母さんがとても焦ってご相談に来られました。

当店の場合はすべて当店でやっているので持ち込みのお客様であればお間に合わせできる事であればできる限りお受けしています。

このブログで何度もご紹介していますが学生服の場合、クリーニングでお付けしている無料しみ抜きパスポートで比較的簡単に取れる状態であればペンキのシミでもパスポート(無料しみ抜き)で取っています。

接着剤(瞬間接着剤は除く)にしてもペンキにしても完全硬化まで72時間(3日)とされています。
実際、完全硬化する前段階までは比較的落としやすい状態です。

ただし、時間と共にどんどん硬化していくのが樹脂系のシミになりますのでついてしまったらとにかく早くしみ抜きすることで綺麗に除去できる確率が上がっていきます。

表面のみ、生地にあまり浸透していない状態と表から裏まで浸透している状態では取れ具合はかなり違います。
生地が厚いと生地の中心で固まっている接着剤が落としきれない事もあります。

しみ抜きで依頼する場合、確実にしみ抜きができるお店へ依頼しないとついてすぐでも熱処理され固まり落ちにくい状態になって帰ってきます。

個人店でも樹脂系のシミは落とせるお店がかなり少なくなりますのでお店とよくご相談をしてください。

取れるお店であれば95%以上(5%は素材、加工によりとれないものも…)は取れると思います。

学生スカートに垂れてしまった瞬間接着剤のしみ~しみ抜き無料パスポート大好評~

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。