おしゃれ工房You友（ゆうゆう）　大友　眞吾です。

3～４年前までは地元浜松ではブランドダウンコートを断られたというご相談が多かったのですがここ2～3年は激減しています。

そして増えてきたのが出しても汚れが落ちていない、中にはなんとなく質感が変わった、ペタ付きが出てきたというご相談。

結構高額（7～800０円）くらいの専門店へ依頼するコース？で出したとの事。

どんな方法かの予測はしていましたが仕上がっている現物を見て確信。

クリーニング店って服の汚れを綺麗に落としてくれる場所、のはずですが、この考え方も変わってきています。

汚れを落とすのではなく品質表示の洗い指定に従って洗うのがクリーニング店です。

洗い指定に従って洗い落ちる汚れは落ちるけど落ちない汚れは落ちずに帰って来る。

クリーニング代金が高い＝高品質、と必ずしもなる訳ではないんです。

ご自身が利用しているクリーニング店はどうなのかは自分で確認して品質を見分けるしかないんです。


最近当店に持ちこまれた2点は【専門店へ依頼します】と言うコースで出されたとの事でしたが・・・
全体的にうっすらとした汚れも落ちていない、なんとなくペタ付きが出て帰ってきたという物でした。

でも、当店に普通クリーニングで依頼したら指定通りの洗いの中で綺麗になっている・・・と不思議がられていました。

今まで事故が起きる可能性が高いから断られていたブランドダウンが断られなくなった理由は洗い方法にあるんですが、指定通りの洗いでは綺麗にならない・・・

八百屋とか魚屋、肉屋などの個人店が無くなっていくようにクリーニング店も個人店はどんどんなくなっています。

時代の流れと共にクリーニング店の変えてはいけない本質も変わってきています。

今の若い世代の方は昔ながらのクリーニングを知らないから今のクリーニングが当たり前となってきたのかもしれないですね。

大切な事なので書いておきます。

この表示は服の保証書です。
指定に従って洗い不具合が起きた場合、基準に則った保証をすることがメーカーに法律で義務付けています。

通常着用で色移りするような服は作らない事！雨に濡れただけでダメになるような服は作らない事！と、品質を法律で守っているんです。

新品購入後（厳密には作られてから）3か月以内に指定に従って不具合が起きた場合全額返金なり、取り換えなどで対応することが法律で義務付けられています。

困った時は　188番（消費者ホットライン）に電話して相談すると最寄りの消費者相談センターを案内してくれます。

法的見解も含め消費者の立場に立ってアドバイスしてくれる公的機関なので相談は無料です。

ほとんどの人が知らないのでこれはメモして覚えておくといつか役立つ時が来るんじゃないかな。

クリーニングに限らず消費者の困ったことを相談できる場所になります。

この表示からいろんな情報が読み取ることができます。

例えばメーカーの服作りに対する考え方。

肌に直接着るような夏服でも水洗い✖、ドライクリーニング指定となっていれば
「この服は夏物だけど汗を付着させないように使ってください」と言っているのと同じです。
だってドライクリーニングでは汗が取れないから。

ドライクリーニングに✖が付いている場合は服を作る時に使われる加工剤など溶け出してダメになる可能性があります。

例えばコーティング、ボンディング加工などが溶け出してべたつきが出てきたりはがれたりする可能性があるって事です。

特にボンディング加工は表生地の裏面に生地が貼り付けられているため表側からは見えない部分。

ダウン製品のほぼすべてにこれらの加工がされているんです。

でもダウンを水洗いするとダウンが固まったり（ダウンボール）してほぐして膨らめるのが大変。

ドライクリーニングなら羽毛は固まらない、表生地がウールでもシルクでも風合いなど影響もほとんど出ない洗浄方法になりますが、ドライクリーニングに✖が付けられているとドライクリーニングは出来ないんです。

先に書いたように洗い指定でドライクリーニング✖で不具合が起きるとクリーニング店の責任となるから指定に従いドライクリーニングはされないんです。

水洗い指定で羽毛がペチャンコになって帰ってきたって結構出ています。
羽毛をほぐして膨らめる工程がされていないとぺちゃんこになって帰ってきたりします。

特に高額品は固まりやすく水洗いする場合はほぐし、膨らめるという工程が必須です。

羽毛は皆さんが思っているほど簡単に壊れるようなモノではないんです。

鳥の羽根だから感染症を予防するために85℃の高温で20分洗われ熱殺菌されています。

だから水洗い程度でダメになるような軟な素材ではないんです。

水洗いでペチャンコになっても綺麗に膨らめることができます。

逆にドライクリーニングで羽毛が脱脂されてしまうと羽毛は膨らまなくなりダメになります。
水洗い✖、ドライクリーニング指定のブランドダウンは出すお店選びをちゃんとしないと長年愛用は出来なくなります。

おしゃれ工房You友では何度ドライクリーニングしても羽毛を脱脂しない独自の洗浄方法（経営革新取得）で洗っています。

このカナダグースはひと昔前では表生地綿１００％だったと思うのですが途中から変わりポリエステルが８５％混紡されています。

ポリエステルが混紡されたことでシワ、色落ちなどしにくくなり着る側にとっては扱いやすい素材の混紡になったと思います。

そして今回のシミ抜きもドライクリーニングができる＝油性系溶剤による耐久性もある程度ある、という事も読み取れます。

しみ抜きする時もこの表示はとても大事なモノなんです。

今回は学校行事に出かけ着ていったところ、壁に貼ってあった絵？に当たってしまい大量に絵の具が付いてしまったとの事。

妻が大切に着ていたとの事で取れなくてかなり落ち込んでいるから・・・と旦那様からご相談をお受けしました。

お電話で状態をお聞きした感じで、2～3万程度はかかるんじゃないかな、とお伝えし、奥様ご本人が持ってこられました。

こうしたシミは取れるかどうかはやってみないとわからないので、後払いの成功報酬です。

取れなければ（８０％程度）どんなに手間をかけても代金は一切頂きません。

取れなくても代金がかかってしまったら返すに返しにくいので成功報酬です。

今回、当店に出される前に色々と頑張ってしまったようで、絵の具のシミの周りに黒ずみができています。

ネットで調べてアルコール、除光液など色々と頑張っても取れなかったとの事でしたが・・・

ふき取りではこのタイプのシミは服から除去ができないんです。

除光液で溶け出しても広げるだけで取り切れずに広がって悪化させるだけの状態になります。

付いたままの状態でするしみ抜きと、何かしら手付けてしまった後のしみ抜きとでは取れ具合も手間も変わります。

今回は絵の具のシミより周りの黒ずみを取ることが大変な染み抜きとなっています。

クリーニング店にしみ抜きで出したけど取れなかったというご相談は毎日あります。
チェーン店では本格的な染み抜きは出来ないので、洗って取れずに帰ってきた状態が多いんです。

実はこの状態のほうが問題なく取れることが多く、そのお店で取れないモノを頑張ってしまうといろんな不具合が起きていることが多々あります。

シミを見ると手付けられているかどうかはわかります。
一番多いのはシミが取れずシミの周りの色が抜けている状態。

シミがあるから色抜けまでは気が付いていないってお客様も多く、ご説明して初めて理解されます。
シミが取れるとシミの周りまですべて色が抜けて見えるので色抜けがかなり目立ってしまいます。

接着剤など樹脂系のシミの場合は表面に傷があったり下手すると生地が切れていたりします。

接着剤が生地に浸透すると生地も一緒に固まります。
取ろうと爪でコリコリしたりすると、固まった表面が欠け接着剤が取れるとその傷が見えるようになります。

取ろうと揉んだりするとパリッと接着剤と一緒に生地も割れ切り傷が残ります。
薬品を付けてしっかり溶け出す前に早く取ろうと揉んだりヘラなどで突っついたりするとそのあとがそのまま残って見えてしまう・・・

接着剤を取ったら生地も割れて切れていたスーツがありクリーニング店にクレームも言えないため、お客様ご自身が負担してカケハギで直したスーツが4点ありました。

今の時代、本格的な染み抜きができる個人店が探してもないくらい少なくなっています。

当店で取れなければどこへ依頼しても取れることは無い、と言えるレベルでしみ抜きをさせて頂いています。

大切なものにシミが付いてしまったら何もせず、まずはご相談ください。