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第4章【革クリーニング】解説付き実例紹介

この章では当店の修復実例をご紹介します。
革製品と一言で言っても服からバック、お財布や靴、ベルトなど様々。

どの革製品もクリーニングからしみ抜き、傷直しや色を修復していくための考え方は同じですがそれぞれの使用目的により風合いを重視するのか、耐久度を重視するのかなどを考えて修復していきます。

代金はどこまで手をかけていくかにより変わってきますので、この章では紹介した事例ごとに参考価格を入れていきます。

※ ハイブランド品や高額品は+50%~100%が目安。
  正確な金額はお見積りとなります。

◆密着ドキュメンタリー番組で取り上げられた120万円の革ブルゾン修復事例

竹内結子さんにナレーションしていただけた1時間のドキュメンター番組で取り上げられた120万円のジリー革ブルゾンです。

この動画には

・クイックしみ抜き(お客様の目の前ですぐに取ってお返し)
・生地を傷めない染み抜き(ティッシュに付いた汚れを破らず落とすしみ抜き)
・シャネルシルクブラウスの染み抜き(クリーニング店で断られ続けたシミ抜き)
・ジリー革ブルゾン修復(洗う前から洗い工程、色直し工程までを収録)

これが前編の収録内容です。

後編はドキュメンタリー番組らしいお客様の喜びの顔が収録されています。
・制服に大量につけてしまった接着剤の染み抜き全行程とお客様
・お母さんが刺繍した形見のタペストリーカビ取り修復全行程公開とお客様

どちらも放映後、お客様からたくさんのお問い合わせをいただき驚かれたしみ抜きとなりました。

通常のクリーニングだと密着されても放映できるような内容もなく技術は財産だからと非公開のお店も多いんです。

クリーニング店の仕事はお客様から見えない部分が多いので、ゆうゆうではどんどん公開しお客様に見て頂けるよう、もう一つのブログでも事例を1500点以上公開しています。

TVプロデューサーやディレクターがびっくりされた事例ですので下記リンクから是非ご覧ください。

ドキュメンタリー動画はここをクリック!

◆革の状態により変わる修復方法

表側はひどい傷もなく色あせが出ている程度の革ブルゾン。
背中部分はバイクで転んでしまったのか、革が削れる感じで傷ついています。

「背中の削れた傷を目立たなく、全体はエイジングを残しつつ色をもうすこし濃くしてほしい」といったご相談内容でした。

エイジングとは使っていくうちに出てくる使用感のことです。

色ムラの感じなどを残しながら、まずは古い脂分を抜き新しい油を補充していくメンテナンス。
次に塗装らしさが出ないよう全体の色をワントーン程度上げる(濃くする)イメージで仕上げています。

◇革自体が傷んでいない部分の修復

こちらは袖部分。
革自体の傷みはなく、色褪せした状態です。

基本、色を直す場合、色褪せが出ているだけで革自体が傷んでいなければとてもきれいに直すことができます。

傷などがあると塗装しても傷は傷として凹凸は残ってしまいます。

ポケットの内側など色褪せがが少ない場所に合わせて色を作りエイジングが残るよう塗装していますので色ムラ感が画像から見えると思います。

◇革に傷、削れがある部分の修復

こちらは背中面。
えぐれるような傷、左肩付近は表面が見事に削られています。

この深い傷は塗装して色を入れても傷の形がそのまま傷として残ります。

こうした傷は車のボディーの傷修理と同じように、パテ埋めするようにして埋め、平らに削りなおしていく感じで補修していきます。

ただし硬い車と違って革は柔らかいので、補修材も革の質感と同じように柔らかい下地材を入れることが必要です。

削って平らにしやすい硬い車のボディーと違い、元通りの状態に戻すことはできません。

深い傷は多少残るし範囲が広ければ質感の違いや多少の違和感は出てしまうことを説明させて頂き補修していきます。

参考価格
革ブルゾンメンテナンス・全体色直し 25000円(税込27500円)
キズ補修7000円(税込7700円)
合計 32000円(税込35200円)

◇普段使いによる傷の修復

こちらは袖下側、机の上などに腕を乗せたときに当たる部分の傷です。

色が剥げ、革がささくれるように傷になっている状態。
革を普段着のようにして使われる方だとこんな感じの傷みがよく出ています。

基本的に革はマニキュアと同じ感じで色を入れられています。
爪にマニキュアで色や柄を書いているのは革に塗料を塗っているのと同じです。
マニキュアを塗った後、普段の生活の中で簡単に色が取れたりしないようトップコートしますよね。

革も同じように、メンテナンスをした後、塗料で色を入れ(ピグメントレザーの場合)簡単に色が剥げてこないようトップコートされています。

マニキュアの光沢をトップコートで出すのと同じように、革の光沢もトップコートで調節していくので、マットから強い光沢まで好みに合わせて調節することができます。

革が擦れてささくれていますが、これが服なら破れています。
革はとても丈夫な素材だから、お手入れさえしっかりやっていけば一生モノとして使うことができます。

ささくれは表面がけば立った状態になっているので、このまま色を入れていくとけば立った根元に色が入らないんです。

革に色を入れる場合は状態により塗り込む、重ねる、など色々と入れ方も変わり、その入れ方により仕上がりに差が出ます。
そして色落ちしやすい、しにくいもかなり差が出るんです。


今回は革の地直しをしてささくれた部分の革をならし、塗り込み塗装して補修しています。

地直しをしてみて、下地剤を入れたほうがいいのかどうかの判断をして直していきます。

実際やっていきながら臨機応変に対処していくため、お見積金額に幅が出ることもありますし説明できなかったことが起きることもあります。

今回はメンテナンス、全体色直し、傷み部分の地直しとやっていきました。

メンテナンス・全体色直し・袖裏傷み部分の地直しまで 
参考価格 25000円(税込27500円)


◆毛羽立ちのある革の修復

革の素材を生かし、革の表情が見えるように色付けしているのが染料染めです。

皮の毛を取り、表面の硬い上皮質を取り、銀面と呼ばれる皮膚の下のきれいな革の表情が見えるように仕上げた革をアニリン染め皮革、染料染め皮革といいます。

対してヌメ革は染色されていない革です。

この銀面にペーパーをかけて毛羽立たせて仕上げた革がヌバック、銀面を完全に取り去って出てくる毛羽だった皮をスエードと呼びます。

さらにスエード部分も取った革が床革になります


汚してしまったりシミをつけてしまうと綺麗にするのが難しい革の代表はヌメ革、アニリン皮革ですが、もう一つこの靴のようなヌバック、スエードがあります。

ヌバックとは革の表面の硬い部分(上皮質)を取った下のぶぶんの義面にペーパー掛けてけば立たせた革です。

スエードは銀面部分を取っていくとしたからけば立った部分が出てくるのですが、この部分を使った革がスエードになります。

どちらも共通しているのは毛羽立ちがあること。
そして色付けは顔料ではなく染料である事ですがアニリン皮革も同じです。

塗料の説明の章で、濃く入れるとか倒した埋まる説明を画像とともしていますが、毛羽立ちがある革に顔料を入れると根元が塗料で埋まってしまうため質感が変わってしまうんです。

洗って落ちないシミや汚れを塗料で隠していくことができないため、基本すーえおもヌバックも洗いと染み抜きで落とせる分しか綺麗にできないんです。

色が単純に褪せただけの状態であれば色を修復することもできるし、状態によっては染料、顔料を組み合わせて修復することができるものもあります、

◇ヌバック靴のメンテナンス&色直し事例

革の基本的なお手入れ方法は服でもバックでも靴でも同じです。
丸ごと洗えないものもありますが、ワックスを入れていくメンテナンスはどれにでも必要です。

今回の靴はまずはクリーニング、ワックスを入れたあと・・・
実は色を直してはいないんです。

革に入れる油分(ワックス)にはいろいろと種類があり、入れると色が濃くなるワックスもあれば入れても乾くと元通りの色に戻るようなワックスもあります。

色が元に戻るワックスは基本ヌメ革用として使われます。

今回はクリーニング後に色が濃くなる(色揚げ)ワックスを入れ仕上げています。
色の色素が革に残っていて、色変化が出ていなければ染色したように色濃くなる革は結構多いんです。

入れるワックスの種類を変えるだけなのでメンテナンスクリーニング代金のみとなります。

画像のヌバック靴メンテナンスクリーニング 4500円(税込み4950円)

◆染料・顔料を組み合わせて直していく事例
ムートンコーt-色修復事例

ムートンコートはアニリン皮革やヌバックなどと同じように染料で色づけられています。

ほかの革との一番の違いは、内側にもこもことした毛があり、表側が革になっていますが、これは羊の皮の表面の毛と内側の皮膚をそのまま使っている革です。。

羊って毛で覆われてもこもこしています。
このもこもこした毛が内側の毛なんです。

表側に出ている革部分は、皮膚の裏側が表面に出している、一枚革です。

今回ご紹介する事例は条件がよく色直しができた事例ですので説明していきますね。

ムートンコートの色褪せを染料・顔料を組み合わせて修復

顔料は色のついた粒子を張り付けて色づけていくので、色あせしにくい色付け方法になります。

とはいえ、顔料もグレードがあり、紫外線や光による耐久度、対抗度があり、低いものだと色褪せてしまいます。

例えば幼稚園で絵を描く絵具も塗料ですが、すぐに色褪せてしまいますね。
画家が何百年と作品を残すときに使う絵の具は簡単に色褪せません。

この塗料の違いを説明しているHP見たことがありませんがとても重要です。

ゆうゆうでは世界でもトップクラスの等級塗料を使っています。

先に紹介した1着のブルゾンでも直し方が違います、のなかで袖部分は傷みがないのできれいに直ります、と同じように、ムートンも直せるかどうかは状態次第となるんです。

少し詳しく解説していきますね。

◇綺麗に直せる条件と方法

ムートンの表面をよく見ていただくと、色が薄い紫色になっています。濃い部分の色と袖部分の色はかなり違っていますが、パット見た感じで、単純に色が薄くなっているだけの状態です。

色は赤(マゼンタ)青(シアン)イエロー(イエロー)の3原色を混ぜ作られています。

この仮名で一部の色のみが極端に抜けていたりすると抜けた色を入れて直す色補正が必要になりますが、ムラムラになっていたり線状に極端な色抜けが起きていると染料染め皮革は綺麗に直せなくなるんです。

それとシミや汚れの具合。
酷いしみや汚れもない、色褪せただけの革でしたので、完全に元通りにとはいかなくてもまた使えるレベルでの修復が可能と判断です。

透明感のある染料で色を補正しムラをできる限り均一なお状態に直し、元の色を作り染料で全体的に補色。

染料だけでは透明感があり色村が収まらないため、染料に近い状態で塗装できる一番粒子の細かいナノ顔料をふわっと乗せ色を整えて仕上げています。

エアーブラシで塗料を乗せて仕上げていくって、10ccくらいの少量を全体に薄く載せたりしています。

通常では使えない塗料でも粒子の大きさ、ごく少量の塗料で仕上げることができるエアーブラシ仕上げの組み合わせで、大きく質感を変えることなく色が修復でkました。

ムートンコートメンテナンスクリーニング・色修復 30000円(税込み33000円)

◆お客様ご自身がどうしたらよいのかわからない事例

今は亡きお父さんの遺品整理の際、出てきたという革ブルゾンです。
生前、父がこのブルゾンを着ていたのを覚えています、と相談されました。

大きなごみ袋に入れた状態で持ってこられましたが、実際どうしたらよいかわからない・・・
こんな状態で持って行っても失礼にならないか・・・この状態で儲けてもらえるのだろうか・・・

色々とお悩みになられて様です。
同じように悩まれる方は多いかと思います。

お客様のご希望は、着られるレベルにできたら・・・でした。

こんな時はそういってご相談いただければ大丈夫です。
専門店でも断られるモノでも修復できるレベルの技術を持って取り組んでいます。

状態を確認し、工程を説明させていただき、どこまでやっていくかによりお見積りも変わっていきますので工程ごとにお見積もりを出させていただきます。

お見積り後にどうされるかはお客様のご意志で決めていただければ大丈夫です。

依頼しなければ持ち帰れないような雰囲気にならないよう説明をしています。

これがゆうゆうの一番の売りでありどんなことでもg説明できるのが当店の強みです。

◇水洗い・カビ取り・メンテナンス・部部的な色直しまで

カビが生えた革製品のご相談はたくさんあります。
服だけではなくバックでも靴やブーツでもあります。


◆事例解説 まとめ

以上、これはごく一部の解説になりますが、ゆうゆうは全部独学です。

革の製造元のセミナーへ参加し、製造する工程からヒントを得てクリーニングからメンテナンス、色直しまでを自分の仕事に落とし込みマニュアルを作っていきました。

だからほかのお店で似たようなことをやっていたとしても、解説してきたことはすべてがオリジナルであり、独学です。

どのお店も同じ工程でやっているわけではく、お店により使う材料も考え方も違います。

色直しは、一度手付けられると簡単にやり直しはできないので、どこへ依頼するにしても何をどうして欲しいのかをしっかり伝え、納得できる説明を受けられるお店へ依頼されることをお勧めします。

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