Blog
ブログ

取れないシミを修正ペン塗って消そう!~時々あるご相談 失敗事例~

シミの種類、難易度、手間のかかり具合により価格は変わります。
正確なお見積りは現物をテストしてからになります。

参考価格
今回のシャツのシミ抜き

黄色っぽいシミ2か所 4000円(税込み4400円)
修正ペンの箇所3000円(税込み3300円)

◆繊維のシミは何かを塗って綺麗に隠すことは出来ない

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

時々あるご相談の一つです。
洗ってもクリーニングに出しても取れないから、塗ってシミを隠そう!

白い衣類のシミならなんとなく、修正ペンを塗れば白くなってわからなくなるって思いますね。
黒い服の色が抜け赤っぽくなったら黒い絵の具を塗る、黒マジックで塗ればわからなくなるとか。

やるとわかるけど、白いものを塗ってもシミは消えないし、黒は黒の色が絶対に合わないから黒の中に黒いシミになります。

赤っぽくなっている、オレンジっぽい色になっている場合、黒をそのまま塗っても赤みがそのまま残ってしまいます。

色は赤青黄(マゼンタ・シアン・イエロー)の3原色を混色して作っています。
黒という染料の色は無いので、赤青黄色をほぼ1対1対1の割合で混ぜ黒を作っています。

なので黒は赤っぽい黒、青っぽい黒など微妙に黒みが違うんです。

主に青系の色が抜けていくと赤っぽい色が見えるようになります。
青が抜けると残る色が黄色と赤になるので赤っぽい色からオレンジ系の色に変化します。

直していく場合、抜けた色を補色(入れる)していくと元の色に戻っていきます。

そのまま黒を塗ると抜けた色だけじゃなく抜けてない色も入ってしまうため色が黒にならないんです。
赤っぽくなっている場合に3色混ざっている黒を塗ってもさらに赤も入っていくため赤みが消えないんです。

色を直す場合、抜けた色だけを入れて元の色に直していくため、この技術を「色補正」「色修正」と言います。

今回は白。
間違いを直す場合、修正ペンを塗って隠ぺいするから消えそうな気がするんだけど・・・

白い色での濃い色の隠蔽は簡単には出来ないんです。

バックなど皮革製品でも白を綺麗に塗装し直せるお店は技術のあるお店、と思って間違いないと思います。
白いバックの黒ずみなど隠ぺいはとても難しくなりますから。


つけ置き洗いしたら色移り~失敗してしまった方法と失敗しないためのアドバイス~

修正ペンで隠蔽できなかった状態

画像が問題の隠蔽しようと思った場所。
繊維が隠蔽できない理由の一つとして、繊維は水分にしても油分にしても吸い込み吸収してしまうからです。

繊維自体も吸収するし、繊維の織の目の間にも入り込むため塗膜が作れないんです。

これは皮革も同じです。
皮革の場合、染み込まないように処理をしてから色を乗せていきます。

目止め処理、と言いますが、風合いとか質感を変えないよう処理ができるかどうかで仕上がりが変わってきます。

薄い色ほど隠蔽が難しくなるため、濃く入れすぎてペンキを塗ったような質感に変わったりしてしまうんです。

塗ったモノがそのまま表面に乗り塗膜が作れれば重ねることで隠蔽できるかもしれませんが、吸い込んでしまうため、シミが浮き出てきます。

シミの周りの白い部分は修正液が染み込み、より白くなるためより目立ってしまっています。

さらに見えているシミを隠すために濃く入れていくと、繊維は糸を折り込んで生地を作っているため織の目が埋まり質感が変わってしまいます。


◆シミ抜きbefore&after

シミって付いたらすぐ取らないと取れなくなるって思われている方がとても多いんだけど、今落とせるシミなら数週間程度経っていてもほとんどのシミは落とすことができます。

今回の素材は綿ですが、綿は醤油とかソースなど付いて乾いた時点で洗うだけでは落ちなくなる素材です。
洗うだけでは落ちなくなりますが、綿の白ならシミ抜きすれば10年経っていてもほとんどのシミは落とせる素材です。

クリーニングに出して「これ以上は繊維が傷む恐れがあるためシミが取れません」の札とともに帰ってきたものでもほとんどのシミは落とすことができます。

当店の場合だとクリーニング店で落ちない、取れないと言われたシミでも95%以上の確率で落とすことができています。

大切な服に食べこぼしなどのシミが付くと焦ってしまう方が多いのですが、その場での処理が綺麗に取れきれるかの分かれ目になる事も多いです。
適切な方法は、固形物を軽くティッシュで摘まみ取り軽く押えて水分を吸い取る程度にしておく事。ここが大きなポイントです。
その状態のままシミ抜きで持って来て頂ければ何の変化を出すことなくシミだけが取れる確率が上がります。



塩素系漂白剤(キッチンハイター)で起きる黄ばみや変色~良く起きている事故例~

修正液を付けてしまった部分のシミ抜き

修正液を付けてしまった部分です。
よく見てもわからないレベルでは取れていますが、繊維に染み込んだ部分の修正液はわからないレベルですが残っています。

今回、画像でははっきりと見せていない、黄色っぽいシミでしたが肉眼でははっきりと見えています。

黄色いシミは飲食中に付いたシミで、油分除去をした時点で薄くなり、残った色素を酸化分解していく事で取り切れています。

修正液を付けてしまった部分は、修正液に含まれている樹脂(接着剤のようなモノ)が繊維の表面に付着してしまうとしみ抜き剤などが弾かれシミが落ちなくなる可能性がありました。

今回は修正液を取れるだけ落としてからシミ抜き、酸化分解でシミを落とすことができましたが、一番手間がかかったのはやはり修正液の除去でした。

繊維の表面ではなく奥まで浸透していると、いくら表面からシミ抜きをしても内側のシミが除去できなくなるんです。

完全に溶解し、洗い流すという作業を繰り返して取っていきましたがそれでも取り切れないのが染み込んでしまった樹脂になります。

絵の具、ペンキ、接着剤のシミ抜きでも同じことが言えます。


◆目に見えなくなった修正液の残留を可視化 まとめ

目には見えない状態だけど修正液が残ってしまった、と説明した部分を見えるように可視化しました。

乾くと見えなくなり、濡らすと残った樹脂が白く浮き出て見えるようになります。

樹脂は濡らすと白く見えるようになるんです。
例えば夏物で汗になる服の脇の色が抜け色を直す場合、樹脂を使って色直しすると汗で濡れると直した部分が白くなり見えてしまいます。

これは新品の服でも時々あったりします。
後染めと言って織ってある生地を染めると染めムラなどが出たり、何かしらの原因で部分的に染まらず白く残ってしまったりすることがあります。

後染めはどうしても出てしまう事で、商品化する前に直してから出荷する服ってあるんです。

直した部分は購入時に見てもわからず、着用しただけでも気が付きません。
そして着用後に水洗いして干すと、ところどころ白くなった部分が浮き出てきます。
この時点で何なんだろうと思っても、乾くと見えなくなるので経験した方は原因がわからず驚かれます。

今回は白なのでこれで問題ないのですが、色柄物でシミ抜きと同時に色が抜けてしまう場合、樹脂が残っていると上手く染まらなくなるんです。

たとえ丸染めで染め直しても樹脂が残った部分のみ染まらず残ってしまいます。

いずれにしても確実にシミを落とさなければいけない服の場合、何もせずご相談頂くのが賢明です。

今回も修正液を付けていなければシミ抜き的には価格も半額程度で取れています。


ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。