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落とせる墨汁と落とせない墨汁~家庭でどう落す?動画~

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友眞吾です。

前回お伝えしている通り、墨汁の落とし方動画です。
家庭でできる方法と同じようにやっていますのでそのまま真似て頂ければ大丈夫です。

注意点がありますので、説明をさせていただきます。

動画目次
0:05~取れない墨汁の揉みだし
1:55~取れる墨汁の揉みだし
5:14~同時に酸化分解(漂白)開始
11:33~分解終了、結果

◆落ちる墨汁と落ちない墨汁の違い、使い分け方

まずは落ちる墨汁と落ちない墨汁の違いから。
画像は台所用洗剤で揉み洗いした状態です。
洗剤だけではここまでしか落ちませんが落とせる部分をまずは落としていきます。

落ちない墨汁はアクリル絵の具とかペンキと同じように黒い色の粒子により色が付いています。

その粒子はカーボン、炭など水にも油にも溶けない不溶性のモノで、繊維に入り込むと小さな粒子を繊維からひとつづつ取り除く作業をしないと取れないシミとなります。

付いてすぐならある程度は洗い流せても繊維内に挟まった状態で取れなくなるため薄くはなっても落ち切らないことがほとんど。

色の粒子をニカワという樹脂(接着剤)で貼り付けているため、乾いてしまうとほとんど落とすことができなくなります。

落とせる墨汁は色の粒子を使わず水でもある程度可溶するもの、酸化分解できるモノを使い作られています。


繊維を傷めないシミ抜き・ティッシュに付いたボールペンのシミ抜き

◆使い分ける時の注意点

落とせない墨汁はカーボン、炭など酸化にほぼ影響されない色の粒子になります。
落とせる墨汁は酸化分解できる色になります。

酸化は空気中にある酸素でもゆっくりと進んでいきます。
酸化分解されるモノは同時にゆっくりと分解されていくため色がだんだん褪せて、色変化していきます。

作品を残すような時に使う場合、昔ながらの墨を硯で擦って使う事をお勧めします。
たとえ紙がカビても文字を残し、カビだけを除去できるのはニカワと煤(すす)で作られた墨で書かれたものだからです。

液体の墨汁の場合、墨ではなくカーボンブラック(工業的に作られた炭素の微粒子)、ニカワではなく化学樹脂などが使われていたりします。
化学樹脂は劣化する可能性、カーボンブラックは酸化による影響は受けにくいと言われていますが何百年もの時間経過でも大丈夫かどうかの検証はされていません。

練習で使う時は落とせる墨汁を使えばいざという時落とすことができます。
お習字など習っているお子さんは時折墨が付いた筆を振ったりして飛び散らせたり・・・なんてこともあります。

無数に飛び散って付いた墨汁でも落とせるので練習には落とせる墨汁を強くお勧めします。

書を壁に貼りだしたり、保管したい場合は普通の墨汁を使わないと長くは持ちません。
よく幼稚園でお絵描きしたのを壁に貼っておくとすぐに色褪せたりしますね。

落せる墨汁は結構短い時間で光、紫外線、空気の影響などにより色褪せていきます。


維を傷め治シミ抜き・ティッシュに付いた口紅のシミ抜き

◆シミの落とし方の注意点~絶対にやってはいけない事~

落とし方について説明していきます。
まず絶対NG行為は生地を強くこすり合わせる事!

シミを落とそうと意識がいくと擦る、揉み擦り合わせるってされてしまいがち。
動画の中で揉み出しをしていますが、生地どうしをこすり合わせません。

揉み方は両手で摘まんだら生地と生地の間隔を2~3mm開けた状態のまま上下左右に、くるくる回すような感じで生地をこすり合わせないように動かします。

生地を細かく動かしてつけた洗剤をよく馴染ませるイメージ。

洗剤など水分を付けて生地をこすると綿、麻、シルクは簡単に色が抜け、表面も傷つき毛羽立ち、直らなくなります。

この揉み方ってかなり重要な部分だけどネット情報を見ても揉み方まで丁寧に説明しているサイトを見たことがないかな・・・

覚えておかないと服をダメにしてしまいます。


TVで放映されたバックリペア動画・バックの角色剥げ修復

◆使う洗剤は台所用洗剤

使う洗剤は台所用洗剤です。
家庭で洗えるものを部分的に染み抜きするなら、どんなシミでもこれは同じです。

家庭で手に入るモノで一番油に強い洗剤が台所用洗剤です。
水洗いでは油が一番落ちません。

油の溶解力が強いので油性ボールペンでも落とせます。
下に落とし方動画を貼っていきます。

台所用洗剤は食器の洗い上げしている方も多いと思いますので安心して使えます。
樹脂もある程度溶け出してくれるため落ちも良くなります。
ただし、水に反応して硬化するものもあるため、逆効果になるものもあります。(瞬間接着剤等)

基本、シミ抜きの手順は
① 油性汚れを落とす
② 水性汚れを落とす
③ 洗剤で落ちない色素系のシミは漂白剤で分解する

これが基本手順になるので、台所用洗剤を使うことで油性汚れを落とす、水性汚れを落とす、を同時にできます。
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何が付いたのかわからない時もまずは台所用洗剤でシミ抜きから、が正解になります。


台所用洗剤で落とせる!油性ボールペンのシミ

◆残った部分は酸化分解除去する

まずは洗剤で落とせる部分を落とせるだけ落としてから酸化分解(漂白)します。
漂白処理は白くするわけではなく、シミを酸化分解して落とすもののため、油汚れなどの酸化分解できないものには効果がありません。

漂白には時間がかかり、汚れにも反応して効果を取られるため、汚れが少ないほど早く分解が終わります。

実際に漂白処理までした所、かなり早く分解ができたので工程全部をカットも早送りもせずそのまま載せています。

今回は手順通り洗剤で落としてからやっていますが小さく点状に複数個所付いてしまった場合は全体を普通に洗ってからつけ置き漂白する、もしくは少し時間はかかりますが、洗剤と酸素系漂白剤を一緒に入れてつけ置き漂白すればほぼ落とせます。

最後につけ置きする時の方法を書いておきますね。

① まずはこれが重要。
  液体酸素系漂白剤は必ず弱アルカリ洗剤、セスキ炭酸塩、重曹など併用してアルカリにして使わないと漂白力がでません。
  粉末は水に溶くとアルカリになるように作られているため、単品でも漂白力が出るよう作られています。
 
② 水温は最低50℃~60℃以内程度が目安で高い方が効果が強くなります。 今回は(50℃)で簡単に落とせています。
 
③ 時間は最低30分~2時間以内が目安。 目で見てシミが取れた時点で酸化分解は完了。今回は6分程度で完了しています。


除光液で落とす油性ボールペンのシミ抜き方法

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