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自分で色を塗りシミや傷を隠蔽はダメ!~思いもよらない過失、賠償となる可能性~

今回のノースフェイス高機能ダウン参考価格

マジックしみ抜き   6000円(税込み6600円)
クリーニング     8500円 (税込み9350円)

ダウン製品はボンディング加工により通風性が遮断されているとしみ抜きのみでの対応が不可

小さなシミでもクリーニング代金+しみ抜き代金がかかってしまう事が多くなります。

詳しくは下記にご説明させて頂きます。

黒に黒を塗っても同色の黒にはなりません

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)大友 眞吾です。

取れないシミとか色抜けをマジックで塗る、隠蔽するなどの事例が最近増えています。
業者でも結構無責任な隠蔽などしているとこもありますが・・・

ネットでも黒ならマジックで塗ると目立たなくなるなど時々書かれているのも見かけます。
まず、100%いえることは本体と同じ黒には絶対にならないので黒の中に黒いシミができる、もしくはテカリが出て目立つようになります。

今回はテカリがかなり出ているのでとても目立っています。
お客様ご自身もこれでは着られない、やらなければよかったと後悔されていました。

そしてこの何かを塗る、という行為はクリーニング店からすると大迷惑なことになります。
下手するとお客様側が損害賠償請求される可能性もあるんです。

この辺りもご説明していきます。

絶対にやってはいけない!汚れを塗料で隠蔽~塗られた塗料が溶け出しベタベタに~

表示から読み取る高機能ダウンの注意点

こちらはこのダウンに付いている品質表示です。
このダウンは羽毛だけじゃなくポリエチレン(以下PE)、ポリプロピレン(以下PP)が20%入っています。

洗い指定も当たり前ですがタンブル乾燥✖となっています。
タンブル乾燥✖となっていても大丈夫な服って結構ありますが、このダウンはほんとにNG・・・

温度次第にはなりますが、PEは熱に弱く70℃~の温度で溶けて変質したり臭いが出てきたりします。
風合が硬くなる、焦げたような変なニオイが取れなくなるなど起きてくるんです。

PPは熱に強く100℃程度までは変質など起こす事がない素材。
どちらも石油から作られる石油系の繊維になりますがそれぞれに特徴があります。

ダウンは水洗いすると固まり(ダウンボール)ができ、これをほぐし膨らめるようほとんどのお店で仕上げにタンブル乾燥をします。
洗い後の乾燥だけじゃなく仕上げ乾燥も含め熱に弱い繊維が入れられていることを考える必要があります。

高額な商品になるので注意点は自分でも覚えて置き、依頼する際には熱乾燥をしないように依頼することも大切です。

必ずしもこういったスキルを持ってお手入れしてくれるお店ばかりではありませんから。

チアリーダー衣装の黒カビ~やってはいけない事例・お客様からのLINEもご紹介~~

マジックで塗った服をクリーニングに出すと損害賠償請求を受ける可能性も

マジックで塗ってしまう事がどうしてクリーニング店にとって迷惑なのか・・・
それは画像を見て頂くと予想できると思いますが、一緒に洗った服にマジックが付いてしまう可能性があるからです。

実際、お客様からのご相談の中で油性マジックで内側のネームを書く場所に名前を書いた服をクリーニングに出したらこの服は2度と受け付けないとお店から言われたとの事でした。

理由は、内側にマジックインクが付き、落とすのがものすごく大変だった、ほかの服に付いたら大損害になっていた、との事で激怒されたとの事でした。

水洗いする服であれば滲まなかったかもしれないのですが、油性マジックを濃く塗り重ねていると洗うだけでも溶け出してしまう可能性はかなり高くなります。

クリーニング店はまとめて服を洗っていくため、ほかの服に付き取れなくなると弁償するしかなくなります。

時々あるのがボールペンなど入れたままクリーニングに出したらインクが出て付いてしまったという事例。
これ、多くの方がポケットを確認しないで洗ったクリーニング店の責任、と思われているようですが違います。

過去にそのインクが大量に他の服に付いてしまい弁償など損害価格が100万円、ボールペンを入れた客側には半分の50万円が過失分と言う判決が出た事例があります。

ポケットの中身は服の持ち主の財産とし、管理責任は持ち主となる、と言う判決理由です。

ポケットにお金とか高価なものを入れたまま出すと私のモノ(財産)ですね。

少し事例とは違いますがクリーニング店は基本洗い指定通りに服を洗っていきます。
法律基準に則り不具合が起きない洗い方法をテストして付けるようメーカーに義務付けられています。

指定通りに洗い不具合が起きた場合はメーカ保証、指定以外の事をした場合はやった人の責任と責任所在を明確に分けています。

では、洗うと溶け出す、色が滲むなど起きる事をされていた場合は・・・?
それにより損害が起きた場合は?

実際、私も何か塗られていたものを気が付かずに洗いほかの服に付いたって経験あります。
どうしたかって、ものすごい時間と手間かかりましたが一点ずつ染み抜きして取っていきました。

その代金は請求していませんがその旨はお客様に伝えています。
取れなければ弁償しなくてはいけなくなる事例です。

当店の場合だと高額品をお預かりすることが多いのですが、まとめてお預かりする時の服の購入合計価格って新車でベンツが買えるような価格帯になります。

この価格での損害が出てしまったら訴訟となり賠償請求される事もある事例となるかと思います。

自分が気が付いていないところで過失責任を問われてしまう事もあるので注意してください。

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今回のシミ抜きは何に気を付けてしみ抜きをしていったか

今回は油性マジックを重ねて塗られている状態でした。
塗った所、変なテカリが出て白っぽくなったので消そうとさらに塗ってしまった状態です。

状態的には塗られているマジックのインク量が多いため油性インクを除去する薬剤を付けると溶けて広がっていく状態。

マジックを除去するために使う薬剤は接着剤なども溶かしてしまう可能性が高くなるしみ抜き剤なんです。
このダウンブルゾンにされているボンディング、コーティングなどの加工が溶けてしまうって事です。

先にご紹介した品質表示の洗い指定を見るとドライクリーニングに✖が付けられています。
ドライクリーニングすることでこれらの加工剤が溶け出してしまう可能性を示唆しています。

この辺りの事はお受けする前にお客様にご説明しています。
溶け出してしまうと油シミのような状態で接着剤が染み出してくる、接着剤が剥がれるとその部分だけ気泡のような浮きが出てしまう可能性など。

これらの注意点もわからず手付けられてしまうとここで説明していることが起きる可能性が飛躍的に上がります。
何かあっても弁償、保証は一切できないという説明はされることも多いと思いますが・・・
どうしてその可能性があるかの説明を聞き納得できる説明をしてくれるかどうかがそのお店のスキルを知る一つの目安となります。

知らないことは説明できないしできない事も説明できません。

今回の状態はほとんどのお店は断る事例となるかと思います。

手付けることで起きることをちゃんと想定していないと手付けられないし悪化させるリスクが大きければ受けるより断るからです。

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自分で色を塗りシミや傷を隠蔽はダメ!~思いもよらない過失、賠償となる可能性~ まとめ

業者に依頼してシミの上に何かを塗った、汚れを落とさず隠蔽して溶け出したなども紹介していましたが・・・
今回は最近増えてきた事、お客様ご自身が気が付かない所で過失責任が問われ賠償請求される可能性があることをしてしまっているご紹介と
その理由などをご説明してきました。

お客様ご自身は今後この服は一切受け付けない、と言われたことに対してかなりお怒りの様子でしたので・・・

日本の洋服の表示法は消費者を守るため世界で一番厳しい基準が設けられています。

メーカーは保証義務を背負いテストをして不具合が起きない方法を付けているのが品質表示(ケアラベル)です。
適当に作った洋服は売ることができないのが日本の法律です。

この服に適当な何かをし、そのことによる不具合が起きてしまうと責任の所在はメーカーでもクリーニング店でもなくなります。
問題が起きたとき、法的な解釈だと勝手に手を加えた人の責任となる可能性が高いという事です。

例えば車は車検に通らないような改造を勝手に加えると通らないし事故など起こすと保険も的湯鴎外とされたりします。
自分の眼に合った眼鏡を眼科で検査し処方箋を書いてもらって作ると、通常あとからの調節は無料すぐやってくれますが微調整する場合ももう一度眼科で処方箋を書いてもらう必要があります。

服は命にかかわることも身体に影響が出るようないので問題となることは滅多にありませんが、大きな損害が出たときに初めて知り、困ることになります。

その服だけがダメになってしまったのであればまだいいのですがほかの服にまで損害が出てしまった時は大問題tなります。

ネットでも黒ならマジックで塗れば目立たなくなるって方法として出てきたりもするためやってしまう方も多くなってきているんだと思います。

塗ったモノによる不具合はクリーニング店で時折起きています。
そのシミを取ることが出来るお店なら大事には至らないけど取れないお店は大惨事です。

考えたこともないって方も多いかと思いますので・・・
今回ご紹介、ご説明させて頂きました

家庭洗いのアドバイス・体操服の洗い方・嫌な臭いがする服の洗い方!

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