Blog
ブログ

オーダースーツのウキと型崩れ 原因を検証した修復仕上げ事例

オーダースーツに出たウキや波打ち、型崩れを修復し、その原因まで検証した事例です。
今回はウキが出たとのご相談でしたが、実際にはウキではなく芯地の縮みでした。
作られ方に問題があるのか、クリーニングが原因なのかまで検証しています。

縮み変形、型崩れ修復仕上げ参考価格
※素材、状態により価格は変ります。
12000円(税込み13200円)~

ウキが出ている場合、根本的に直すには解体修理、芯地の取り換えが必要となりますが、今現在芯地の取り換えはお受けしておりません。

型崩れ修復と同じように一通り手仕上げをしていく工程、代金となります。
ウキが出ている場合、できる限りウキを抑えるよう樹脂加工をしていきますが、根本的な解決にはなりません。

使用中、クリーニング後にはまた出てくることがありますのでご了解頂けた場合のみ修復仕上げをお受けさせて頂きます。

今回の修復仕上げ、クリーニング検証まで
20000円(税込み22000円)



◆この状態になってしまうのは品質の問題?

静岡県浜松市の縮み、型崩れ直し、手仕上げのお店
おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主の大友眞吾です。

トップ画像はお預かりした時の状態です。
上の画像は、まず修復仕上げをしてみた状態です。
まだウキまでは出ていませんが、このまま使ったり洗ったりしていけば、すぐにウキが出てきます。

今回は品質についてのご相談もお受けしていますので、クリーニング検証をするために修復しています。

オーダースーツを作る会社から、品質についてや、こうなってしまう理由などを教えてほしいと依頼を受けています。
ブログで何度も書いてきていることですが、服の品質は、作る側よりお手入れをするクリーニング店のほうがよく分かっています。

新品ではなく、実際に使われた服を洗い、仕上げていきます。
その中で、洗いによる耐久度、風合いの変化、縮みや変形の出方が見えてきます。
ブランドごとに違いもありますので、その特徴を覚え、不具合が起きないよう注意して洗います。
型崩れが起きた場合は修復して仕上げていきます。

これができるのは、実際に洗って仕上げているクリーニング店だけなんです。

浜松に英国屋さんがあったころは、店長さんも社員さんも、お客様からの相談品を持ってこられていました。
クリーニングに出しても解決しない場合、買ったお店へ相談される方は少なくないんです。

英国屋さんと当店とのつながりを作ってくれたのも、お客様でした。
何万円も代金がかかったのにシミが取れず困っていたところ、知り合いに話したら当店を紹介されたとのことでした。

そのシミをほぼ分からないレベルまで落とすことができ、そのことを英国屋さんに伝えてくださったそうです。
それがきっかけで、店長さんが挨拶に来られました。

当時の英国屋さんも、どこのお店が良いのか分からず、東京や京都などの有名店へ送っていたとのことです。
ですが、代金だけがかかり、シミが落ちない、落ち切らないことも多く、お客様に申し訳ない気持ちでいっぱいだったと話されていました。

それをきっかけに、お客様から相談があると、店長さんも社員さんも当店まで持ってこられるようになりました。
しみ抜きだけでなく、服の染め直しやバッグなどの皮革製品まで持ってこられるようになりました。

30万くらいで販売したブルゾンが、5年程度でだめになることも起きていました。
店長さんと一緒に不具合部分を解体して原因を説明したことをきっかけに、販売している服の品質についても、よく相談や質問を受けるようになりました。

シルクジャケットを染め直しした際、縫製糸もきれいに染まりました。
本体に合わせて縫製にもシルク糸を使われているんですね、とお話ししたことがあります。
型崩れを起こさなかった品質の話も合わせてお伝えした時、とても嬉しそうにされていたのをよく覚えています。

私がクリーニング店として見る品質は、使う、洗う、仕上げるという工程から見たものです。
ただ、服の価値はそれだけではありません。

色や形のデザイン、質感、風合いに気に入り買われる方が多いと思います。

今回は、あくまでもクリーニングから見る品質についての検証になります。
興味のある方はご覧ください。

気泡のような浮きと縮みによる波打つような凹凸の違い・修復仕上げ

ゼニアジャケットクリーニング~水洗いで依頼して出てしまった型崩れ修復仕上げ~

◆ドライクリーニング工程では縮み変形、ウキなどはほぼ起きない!

修復仕上げしたあと、普通にドライクリーニングをした状態の画像です。

ドライクリーニングをした直後がどんな状態になっているのか、見たことがある方はほとんどいないと思います。

ドライクリーニングは家庭ではできないクリーニング方法です。
家庭で水洗いすると、かなりシワになりますよね。

ドライクリーニングは、簡単に言えば、乾けば臭いも成分も消えてなくなる灯油で洗うのと同じようなクリーニング方法です。
繊維は水分を含むと膨張します。
ですが、ドライクリーニングは水分を一切使わないので、縮みや変形が起きることはほとんどありません。
シワにもなりにくいです。
繊維の膨張がほとんど起きないため、風合い変化も水洗いほどは起きません。

ドライクリーニングは油を除去するクリーニング方法です。
そのため、脱脂されることで風合いが変わるものは変化が起きます。
カシミヤ製品などで風合いが壊れ、ゴワゴワになったり、毛布のような質感になってしまったので修復してほしいというご相談も多いです。
これらも、ちゃんと理解して洗ってくれるお店へ依頼すれば、変化は最小限に抑えて洗ってくれます。

仕上げの手間がかからず、不具合が起きにくいのがドライクリーニングです。
クリーニングに出すとドライクリーニングされることが多いことや、割引がドライクリーニング品限定になっていたりするのも、このような状態で洗い上がるからです。

今回のジャケットも、このまま乾かせばそのまま使える状態です。
洗い工程全体で10分、脱液は5分です。

一般的なクリーニング店とほぼ同じくらいの機械力で、時間的には少しソフトな洗い程度だと思います。

スーツ手仕上げ~ウキ直し、型崩れ直し~

高いコースへの出し分けの注意点~普通に出していれば出なかった不具合~

◆タンブル乾燥の検証

当店では基本的に自然乾燥をしています。
今回は検証のため、洗いのみの撮影後にタンブル乾燥をしています。
乾燥機内の温度は50度から60度程度です。
25分でタンブル乾燥しました。

水分を含まないため、この程度の温度であればほぼ何事も起きません。
縮みもほとんど出ません。
タンブル乾燥をすると、シワはある程度伸びてくれます。

シミや汚れを落とすために、しみ抜き剤を付けたり、水分を吹き付けてから洗うとシワになり、伸びなくなります。
ですが、何もせず洗って乾燥だけであれば、タンブル乾燥でも仕上げ工程なしでこのような状態です。

通常使用であれば、シワもある程度伸びてくれます。
仕上げなしでも問題なく使える状態です。

お客様が思っているより、かなりきれいな状態になっているんじゃないかなと思います。

最初に修復仕上げした状態から、タンブル乾燥までしています。
ですが、最初に出ていた凹凸は出ていません。

きちんとやってくれるお店へ依頼していれば、同じように洗い上がっていると思います。

それでは、洗い検証までした結果の見解を述べます。
あくまでも検査機関ではなく、クリーニング店主としての見解になります。

クリーニング店からの依頼~ジャケットの浮き直し?~

◆私の見解

最終仕上げです。

修復手仕上げでお受けしていますので、最後に細部まで手仕上げしています。

縮んでいたのは内側の芯地だけで、表生地に縮みは出ていませんでした。
芯地の縮みを表生地に合わせて修復し、裏地、芯地、表地が一体になるように仕上げています。

表生地のウールに縮みが出ていない、歪みも出ていないということは、裁断前の目詰め処理も的確にされていたのだと思います。
織りに対して直角に裁断され、縫製もきっちりされていたのだと思います。

私自身の仕上げ技術がすごいということではありません。
適切な目詰めや裁断、縫製がされておらず、歪みや縮みが出ていた場合は、そう簡単には直せなくなります。

今回は芯地の縮みを修復することで、起きていた不具合をきれいに改善することができました。
かなりきれいに仕上がっていると思います。

依頼された段階ですでに縮みが出ていた芯地を修復してから洗うと、どうなるのか。

これも検証できたことは、当店にとって実に有益な案件となりました。

クリーニング店にとっても、良い事例になるんじゃないかなと思っています。

ジャケットウキ直し・気泡直し~形状記憶加工を入れながら修復仕上げ~

◆オーダースーツ3年目~オーダー店から修復仕上げと品質の解析依頼~まとめ

最後に・・・

今回は品質表示を取り忘れたのですが、このスーツはドライ指定でした。
ドライ指定マークの下にはアンダーバーが一本付いています。

品質表示を見ると、右側にある丸で囲まれたW、P、Fマークは業者用です。
丸で囲まれていない表示は家庭用になります。

丸で囲まれたマークやアンダーバーには、それぞれ指定があります。
洗う時の強さ、洗剤濃度、水の添加量、洗い時間、乾燥温度などです。
それぞれの工程に、JIS規格をもとにした指定があります。

お客様にはあまり関係のない部分ですが、水を入れて洗うと色滲みや縮みは出やすくなります。
風合い変化も出る可能性が高くなります。

その変化が出ないように入れるのが洗剤です。
ですが、水分の影響を抑えられる洗剤が的確に入っていないと、水で出る影響がそのまま出てしまいます。

汗などを落とす時に水分を入れたりしますが、水分量が多いと本来なら出ない色滲みや縮みが起きる可能性も高くなります。

同じドライクリーニングでも、お店の設定や考え方で違うんです。
不具合が多い場合、依頼するお店を変えると出なくなる事も少なくないんです。

そしてもう一つは乾燥温度です。
クリーニング店でも知らないお店が多いのかもしれませんが、ドライマークの下のアンダーバーで乾燥時の温度も指定されています。

Pマークのみの場合は入口温度80℃以下です。
アンダーバーが一本の場合は入口温度60℃以下指定です。

80℃の高温でタンブル乾燥するお店は通常ないと思います。
高温すぎて不具合が頻発する温度になると思います。

アンダーバーが一本の場合は60℃以下指定になります。
この温度であれば、不具合が起きる可能性はかなり低くなると思います。

ここで問題になる事があります。
表示を見て、ドライマークの下にアンダーバーがなければ80℃まで可という指定になります。

法律上は80℃までとされているため、縮みやテカリなどが起きた場合、耐えられない作りをしたメーカーの責任となってしまう事があります。

このスーツジャケットも3年目とのことですが、賠償基準で見るとスーツ類の平均使用年数は2年から4年程度です。

クリーニングは3回程度になるかと思いますが、高温乾燥されればその分だけ寿命も早くなります。
3年から4年程度は着ることができたとしても、5年10年は使えないと思います。

クリーニング店側からは、平均使用年数やその2倍の時間が経過していると素材の劣化寿命と言われてしまいます。
消費者相談センターなどへ相談しても、法律上は劣化寿命となるため同じような回答になってしまいます。

ドライクリーニングでは、洗った後に服に残っている溶剤を乾燥回収する回収乾燥機がチェーン店では普通に使われています。

溶剤を回収するため、乾燥スタート時は75℃設定になっています。
石油系溶剤を一番含んでいる状態で熱をかけるとどうなるかです。

ボンディングなど樹脂が使われているものは、熱によって溶け出します。
石油溶剤も、熱を加えることで溶解力が増すため溶け出しやすくなります。

ここ数年、急激に増えてきた3年から5年で出るシワやウキのご相談の理由はここにあると思います。

車でも服でも、大切なモノは大切に扱う事で綺麗に長持ちするようになります。
80℃で大丈夫となっていても、熱をかければ傷むし劣化も早くなります。
そうであれば、もっと低い温度で、乾燥機など使わず自然乾燥させたりします。

法律的にはメーカーの責任とかクリーニング店の責任とかではなく、大切な服を綺麗に長く愛用できる方法で洗濯してもらうことが何より大事だと思います。

一般的に個人店の場合、乾燥温度はかなり気を付けて設定しています。
タンブル乾燥をさせないほうが良い場合は、停止乾燥や自然乾燥させていると思います。

不具合が出ないように洗うお店へ依頼していれば、芯地のウキが数年程度で出てくることは無いんです。

ウキまでは出ていない、芯地の縮みによる凹凸が出ているジャケットはかなりやってきています。

今回、ウキが出る前に修復していけば、クリーニングしても大丈夫という事がわかりました。

ただし、お店を変えないとまた縮みは出ます。
高いコースへの出し分けは意味がないんです。
お店を変えて出し分けることが大切です。

革ジャケットクリーニング~特殊品専門店から型崩れでクレーム品の修復依頼~

ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。