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オーダースーツ3年目~オーダー店から修復仕上げと品質の解析依頼~

縮み変形、型崩れ修復仕上げ参考価格
※素材、状態により価格は変ります。
12000円(税込み13200円)~

ウキが出ている場合、根本的に直すには解体修理、芯地の取り換えが必要となりますが、今現在芯地の取り換えはお受けしておりません。

型崩れ修復と同じように一通り手仕上げをしていく工程、代金となります。
ウキが出ている場合、できる限りウキを抑えるよう樹脂加工をしていきますが、根本的な解決にはなりません。

使用中、クリーニング後にはまた出てくることがありますのでご了解頂けた場合のみ修復仕上げをお受けさせて頂きます。

今回の修復仕上げ、クリーニング検証まで
20000円(税込み22000円)



◆この状態になってしまうのは品質の問題?

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主 大友眞吾です。

トップ画像はお預かりした時の状態です。
上画像はまずは修復仕上げをしてみた画像です。
ウキまでは出ていない状態ですがこの状態のまま使ったり洗ったりしていけばすぐにウキが出てきます。

今回は品質についてのご相談もお受けしていますのでクリーニング検証をするため修復しています。

オーダースーツを作る会社から、品質についてと、こうなってしまう理由などについて教えて欲しいと依頼されています。
ブログで何度も書いてきている事ですが、服の品質って作る側よりお手入れをするクリーニング店のほうがよく分かっています。

新品ではなく使われた服を洗い、仕上げていきますので洗いによる耐久度、風合い変化、縮み変形などの出具合など・・・
ブランドごとによっても違いますが、ブランドの特徴として覚え不具合が起きないよう注意して洗い型崩れが起きた場合は修復して仕上げていきます。

これができるのは実際に洗って仕上げていくクリーニング店だけなんです。

浜松に英国屋さんがあったころ、店長、社員さんともお客様からの相談品を持ってこられていました。
クリーニングに出しても解決しない場合、買ったお店へ相談される方は少なくないんです。

英国屋さんと当店とのつながりを作ってくれたのはお客様でした。
何万円も代金がかかりシミが取れなかったと困っていたのを知り合いに話したら当店を紹介されたとの事。

ほぼわからないレベルまで染みは落とすことができた事を英国屋さんにお伝えされたとの事で店長が挨拶に来られたことがきっかけです。

当時は英国屋さんもどこのお店が良いのかわからず東京、京都など某有名店へ送っていたとの事。
代金だけがかかりシミが落ちない、落ち切らないことが多く、お客様には申し訳ない気持ちでいっぱいだったとお話をされていました。

これをきっかけにお客様から相談があると店長、社員とも当店まで持ってこらえるようになり、しみ抜きだけではなく服の染め直しからバックなど皮革製品まで持ってこられるようになりました。

30万くらいで販売したブルゾンが5年程度でダメになるなども起きており、店長と一緒に不具合部分を解体して原因を説明したことをきっかけに販売している服の品質についても店長からよく相談、質問をお受けするようになりました。

シルクジャケットを染め直しした際、縫製糸も綺麗に染まったので、本体に合わせて縫製にもシルク糸を使われているんですね、と型崩れを起こさなかった品質も合わせてお話しした時はとても嬉しそうにされていたのをよく覚えています。

私(クリーニング店)が見る品質は使う、洗う、仕上げる、の工程から見ていますが、服の価値はそれだけではありません。

服は色、形などデザイン、質感とか風合いによる価値観を重視してみられる方もいらっしゃいます。

今回はあくまでもクリーニングから見る品質についての検証となりますが興味のある方はご覧ください。

気泡のような浮きと縮みによる波打つような凹凸の違い・修復仕上げ

ゼニアジャケットクリーニング~水洗いで依頼して出てしまった型崩れ修復仕上げ~

◆ドライクリーニング工程では縮み変形、ウキなどはほぼ起きない!

修復仕上げしたあと、普通にドライクリーニングをした状態の画像です。

ドライクリーニングをした直後ってどんな状態になっているかを見たことある方はほとんどいないと思います。

ドライクリーニングは家庭ではできないクリ-ニング方法です。
家庭での水洗いはかなりシワになりますよね。

ドライクリーニングは簡単に言えば乾けば臭いも成分も消えてなくなる灯油で洗うのと同じクリーニング方法です。
繊維は水分を含むと膨張しますがドライクリーニングは水分を一切使わないので縮み、変形など起きることがほぼ無く、シワにもなりません。
繊維の膨張がほとんど起きないため風合い変化が水洗いほど起きないクリーニングになります。

ドライクリーニングは油を除去するクリーニング方法になるので脱脂されることで風合いが変化するものは変化が起きます。
カシミヤ製品などの風合いが壊れるゴワゴワになった、毛布のような質感になってしまったのを修復してほしいとの相談も多いです。
これらもちゃんと理解して洗ってくれるお店へ依頼すれば変化は最小限に抑えて洗ってくれます。

仕上げの手間がかからない、不具合が起きにくいのがドライクリーニングとなります。
クリーニングに出すとドライクリーニングされる、割引などもドライクリーニング品限定されたりするのもこのような状態で洗いあがるからです。

今回のジャケットもこのまま乾かせばそのまま使える状態です。
洗い工程全体で10分、脱液(水洗いで言う脱水)5分。

一般的なクリーニング店とほぼ同じくらいの機械力、時間的にはちょっとソフトな洗い程度だと思います。

スーツ手仕上げ~ウキ直し、型崩れ直し~

高いコースへの出し分けの注意点~普通に出していれば出なかった不具合~

◆タンブル乾燥後

当店では基本自然乾燥をしていますが、今回は検証のために洗いのみの撮影後にタンブル乾燥をしています。
乾燥機内の温度は50~60℃程度、25分でタンブル乾燥しました。

水分を含まないため、この程度の温度であればほぼ何事も起きませんし縮みもほぼ出ません。
タンブル乾燥をするとしわはある程度伸びてくれます。

シミとか汚れを落とすためにしみ抜き剤を付けたり水分を吹き付けてから洗うとシワになり伸びなくなりますが、
何もせず洗って乾燥だけであればタンブル乾燥、仕上げ工程無しでこのような状態です。

通常使用であればシワもある程度伸びてくれるので仕上げなしでも問題なく使える状態です。

お客様が思っているよりかなり綺麗な状態になっているんじゃないかな。

最初に修復仕上げした状態からタンブル乾燥までしていきましたが、最初に出ていた凹凸は出ていません。

きちんとやってくれるお店へ依頼していれば同じように洗いあがっていると思います。

それでは、洗い検証までした結果の見解を述べますが、あくまでも検査機関ではなくクリーニング店主としての見解になります。

クリーニング店からの依頼~ジャケットの浮き直し?~

◆店主の見解

最終仕上げです。
修復手仕上げでお受けしていますので、最後に細部まで手仕上げして仕上げています。

縮んだのは内側の芯地のみで表生地は縮みは出ていません。
芯地の縮みを表生地に合わせて修復し、裏地、芯地、表地が一体になるように仕上げています。

表生地のウールが縮みが出ていない、歪みも出ていないって事は裁断する前段階の目詰め処理なども的確にされ、織りに対して直角に裁断、そして縫製もきっちりされていると思います。

私自身の仕上げ技術がすごいとかではなく、適切な目詰め、裁断縫製されておらず歪み縮みが出た場合、そう簡単には直せなくなります。

今回は芯地の縮みを修復することで起きていた不具合は綺麗に改善させることができ、かなりきれいに仕上がっていると思います。

依頼された段階で縮みが出ていた芯地を修復してから洗うとどうなるか・・・

これも検証できた当店にとっても実に有益な案件となりました。

クリーニング店にとっても良い事例となるんじゃないかなって思っています。

ジャケットウキ直し・気泡直し~形状記憶加工を入れながら修復仕上げ~

◆オーダースーツ3年目~オーダー店から修復仕上げと品質の解析依頼~まとめ

最後に・・・
今回品質表示取り忘れたのですが、このスーツはドライ指定となっておりドライ指定マークの下にアンダーバーが一本付いています。

表示の洗いしてを見て、右側にある丸で囲まれたW、P,、Fマークは業者用のマークになり丸で囲まれていない部分は家庭用になります。

丸で囲まれたマーク、アンダーバーにはいろいろな指定があります。
洗う時の強さ(機械力)、洗う時に入れられる洗剤濃度(ソープ濃度)、水の添加量、洗い時間などそれぞれの工程、乾燥温度などがJIS規格を元に指定があります。

お客様には関係ない部分ですが、例えば水を入れて洗うと色滲みとか縮みなどが出やすくなります。
風合い変化も着る可能性が出てきます。

その変化が出ないように入れるのが洗剤(ソープ)になりますが、水分の影響が出ない的確な洗剤が入れられていないと水で出る影響がそのまま出てしまいます。

汗など落とす場合に水分を入れたりしますが水分量が多いと本来なら出ない色滲み、縮みなどが起きる可能性が水分の量に比例して出てくるようになります。

同じドライクリーニングでもお店の設定、考え方により違うんです。
不具合が多い場合、依頼するお店を変えると出なくなる事も少なくないんです。

そしてもう一つは乾燥温度。
クリーニング店でも知らないお店多いのかもしれませんが、ドライマークの下のアンダーバーで乾燥時の温度も指定されています。

Pマークのみの場合は入り口温度80℃以下、アンダーバーが一本の場合は入り口温度60℃以下指定。

80℃の高温でタンブル乾燥するお店は通常ないと思います。
高温すぎて不具合が頻発する温度になると思います。

アンダーバーが一本の場合は60℃以下指定になりますが、この温度であれば不具合が起きる可能性はかなり低くなると思います。

ここで問題となることがあります。
指定を見てドライマークの下にアンダーバーがなければ80℃まで可とする指定。

法律上、指定が80℃までとされているため縮みとかt家出しなどが起きた場合、耐えられない作りをしたメーカーの責任となってしまう事。

このスーツジャケットも3年目とのことですが、賠償基準でみるとスーツ類の平均使用年数は2~4年程度です。

クリーニングは3回程度になるかと思いますが、高温乾燥されればその分、寿命も早くなります。
3~4年程度はまぁ、着ることができたとしても5年10年は使えないと思います。

クリーニング店側からの説明は平均使用年数、その2倍の時間経過していると素材の劣化寿命と言われてしまい、消費者相談センターなどへ相談しても法律上では劣化寿命となるため同じ様な回答になってしまいます。

ドライクリーニングは洗った後に服に残っていある溶剤を乾燥回収する回収乾燥機がチェーン店では普通に使われています。

溶剤を回収するため乾燥スタート時は75℃設定になっています。
席y系溶剤を一番含んでいる状態で熱をかけるとどうなるか。

ボンディングなど樹脂が使われているものは熱により溶け出す、石油溶剤も熱を加えることで溶解力が増すため溶け出しやすくなります。

ここ数年、急激に増えてきた3~5年で出るシワ、ウキのご相談の理由はここにあると思います。

車でも服でも大切なモノは大切に扱う事で綺麗に長持ちするようになります。
80℃で大丈夫となっていても、熱をかければ傷むし劣化も早くなるのであればもっと引くい温度で、乾燥機など使わず自然乾燥させたりします。

法律的にはメーカーの責任とかクリーニング店の責任とかではなく、大切な服を綺麗に長く愛用できる方法で洗濯してもらうことが何より大事だと思います。

一般的に個人店の場合、乾燥温度はかなり気を付けって設定しています。
タンブル乾燥をさせないほうが良い場合は停止乾燥、自然乾燥させていると思います。

不具合が出ないように洗うお店へ依頼出てきていれば芯地のウキが数年程度出てくることは無いんです。

ウキまで出ていない、芯地の縮みによる凹凸が出ているジャケットってかなりやってきています。

今回、ウキ(樹脂剥がれ)が出る前に修復していけばクリーニングしても大丈夫と言う事がわかりました。

ただし、お店を変えないとまた縮みは出ます。
高いコースへの出し分けは意味がないのでお店を変えて出し分けることが大切です。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

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