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ディオール コーティングコート~コーティングの劣化変色除去~

コート類復元洗い参考価格 目安

様々な状態、状態により作業工程も変わるためため基本お見積りとなります。

今回のクリスチャンディオール 
参考価格 25000円(税込み27500円)

ご相談の多いバーバリー、アクアスキュータム綿コート
全体カビ、黄ばみ変色除去の場合
15000円~25000円(税込み16500円~27500円)
位となることが多くなります。

一律の工程をしていくだけではないので
基本現物を拝見してからのお見積りとなります。

◆成功報酬では受けられない事例 コーティングの劣化

静岡県 浜松市 染み抜きのお店
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友 眞吾です。

今回の事例は最初はお断りをしており、それでも試す場合はダメになったとしても代金がかかる事を前提としてお受けした事例になります。

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)はしみ抜きの場合、開業当初(20年前)から成功報酬制を採用しています。
「報酬が欲しいのならシミが取れるようになれ!!」です!

お客様が喜んで代金を支払ってくれる仕事ができるようにと取り組んできました。
当時ではできなかった事や、かなりひどい状態でも綺麗にできるようになったのは、無理だろうと思うモノでも取り組んで来たからです。

それなりに綺麗にできている状態でもパッと見てシミが見える場合は代金を頂いておりません。
(ご説明的には「80%取れたら代金がかかります」とさせて頂いております)
お客様からは、「手間をかけてもらったのだから代金を取って」とよく言って頂けますが、成功報酬がおしゃれ工房You友を開業してからずっと続けてきているルールです。

ただし、想定できるリスクの方が高く、成功報酬ではお受けできない事例もあります。
その中の一つがこの「クリスチャン ディオール」のコーティングコートです。

衿の変色、シミ抜き~表面コーティング(加工剤)が溶け出すシミ~

コーティングなど樹脂と呼ばれるモノの劣化寿命

初めてご相談に来られたお客様。
まずは状態を確認させて頂き、

「この状態は綺麗にできない。コーティングが剥がれ、着られるレベルにできない可能性のほうが高い。」

とご説明させて頂き、お受けすることができない旨をお伝えしました。

まず、黄ばみ変色は繊維そのものが変色しているのではなくコーティングが変色していると判断している点。

コーティングコートってよくある加工なのですが、簡単に言えば綿生地にあまり硬くならない接着剤を塗る、あるいは漬け込んで繊維全体に接着剤を浸透させるようにしてつけられています。

ボンディング加工、コーティング加工などは樹脂加工といって、ボンディングは接着剤で生地を貼り付けている加工、コーティングは接着剤を付け繊維の織り目を埋めたり張りを出したり防水性を出したりする加工になります。

いずれにしても樹脂加工はクリーニング賠償基準でみると平均使用年数は2~3年とされています。
マッキントッシュのゴム引きも同じく樹脂加工ですが平均使用年数は3年とされています。

ゴム引きって昔は綿に溶かしたゴム樹脂を浸透させていたらしいのですが、今ではウレタン樹脂が使われています。
いろんな樹脂がありますが、樹脂といわれるモノは必ず変色する、硬化してひび割れる、剥がれる、加水分解で溶け出すなどの劣化が起きてきます。

合成皮革、人工皮革なども樹脂製品になります。

樹脂を作る工程により寿命が短いものもあれば数十年経っても変化が見られないものもあります。

例えば自動車の革と合成皮革コンビのシート。
炎天下ではかなりの高温になるし体重もかかるため負荷もかなりかかりますが4~5年で劣化寿命が来るなんてことはないですね。

革に見える合成、人工皮革のソファーなど本革より高いものありますが、これも数年で劣化寿命が来ることはまずありません。
作られ方により洗剤、シンナーなどを使っても溶けたり色落ちしたりしない、革より丈夫でお手入れが簡単なソファーもあったりします。

いずれも見た目では判断ができません。

今回のコートは30~40年前に購入されたコートとの事でコーティングの劣化は確実に出ていると思われるためお受けできない事を前提にご説明させて頂きましたが・・・

ブログ記事をしっかり読んで頂けているようで、
「ダメになったら諦める、ダメになっても代金はかかってもいいから試してほしい」

そんなご依頼でした。

ダメになる可能性が高いと説明してあっても、お受けしたからには出来る限りダメにならないようにやっていきます。
実際にやっていくと出来るものよりかなりの手間をかけることになるものがほとんど。

綺麗にできないものほど手間は何倍もかかる事が多いんです。

明らかにリスクのほうが高すぎる、綺麗にできない可能性が高すぎると判断した場合、やめたほうが良いというご説明をさせて頂くことになります。

それでも試してほしいとされる場合、ダメでも代金がかかってしまうご説明をさせてもらいます。

今回の場合、それでも試してほしいをいう事で依頼を受けました。

◆品質表示に記されている素材と加工の表記

ディオールコーティングコートの品質表示です。
裏面には、「鐘紡(株) ディオールムッシュ事業部 日本製」の表記があったので、鐘紡がライセンスを取り製造していたコートということがわかります。
 
1975年~1997年まで日本で製造販売されていたとされているので51~29年前に製造されたコートという事になります。

画像上ではシミの状態がよく見えないかもしれませんが、全体はかなり黄ばんでおり点状に茶系のシミも全体に出ています。

点状のシミは綿によくあるカビシミ、ムラになりながら黄ばんでいるのはコーティングの劣化。

コーティングは汚れ落ちの悪い綿製品の表面にコーティングされるため汚れが付きにくくなりますが、一度シミになってしまうと洗っても落ちなくなります。
これは今も昔も変わりません。

撥水コーティングと書かれていますが一般的な撥水加工はフッ素樹脂加工になります。
色々と種類がありますがウレタン樹脂コーティングにしても、樹脂自体は乾くと水が浸透しないため、コーティングをすることで撥水性も出てくるし繊維の織りを接着剤で埋めるため通風性も遮断できます。

なので軽くて薄くても暖かいコートのほとんどは樹脂加工がされています。

コーティング製品は上手くできるものもあれば、悪化させることしかできなかったものもあります。

スコットランド製のマッキントッシュの場合、硬化して硬くなっていてもかなりのものまで柔らかくすることができるようになりました。
ダメでもやって欲しいと依頼され、試させて頂けるときに考え付くいろんな方法を試すことができたからです。

今回もダメにならないように、コーティングの黄ばみを除去できるのか、経験から取れる可能性が高いことを試しながらやっていきました。

エルメスのガーデンパーティの表面コーティングの黄ばみ劣化も取れるモノと取れないものがあり、その方法もある程度把握できてきています。

これらの事を踏まえ、服にも応用できれば、と考えていることもあります。

結果的に今回はやってみて良かったね、という結果を出すことができました。

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◆ディオールコート コーティング黄ばみ除去 仕上がり

仕上がりをビフォーアフターを並べてご紹介。

まずはエリ。
このコートは衿山を見るとほとんど黒ずみがありません。
長年愛用していくと綿コートの場合はよほど丁寧なお手入れをしてくれるお店へ依頼していかないと黒ずみ、黄ばみが出てきます。

衿、袖口などの状態は着方にも大きく影響されます。
衿山の擦れもほとんど出ていませんので、とても大切に着られていた事が服の状態からわかります。

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コーティング袖口の汚れ

こちらは袖口。
左袖のほうは先端部分が少し傷み、右と比べると汚れています。

これは時計の影響かな。
携帯電話が普及する前は腕時計って必需品だったんです。

Yシャツ、スーツ、コートの袖口は右利きであれば左手に時計をするため時計による傷みが右より早く出てきます。

擦り切れが出ている場合、リフォームで直すこともできます。
先端が擦り切れて程度なら、織り込んで5mm程度詰めるだけで直すことができます。

エリの擦れは表裏を確認し、同じ形状であれば解いて裏表ひっくり返す事で傷みのない綿を表に持ってこられます。
バーバリーは裏面チェック柄が表に出るため、かなりおしゃれな襟になります。

真ん中に縫い目がある場合でも、着てしまえばエリのセンターに縫い目が来るだけのため、おかしな状態になることなく着ることができます。

受付時に状態を見てこれらアドバイスをさせてもらう事ってお客様からかなり喜ばれていて、他にも気が付いたことがあったらこれからも教えて、とよく言われたりしています。

コート下側 変色除去

コート下側部分です。
画像ではシミの状態がよくわからないかもしれませんが、薄い色と黄ばみ変色がムラになりながら全体に出ています。

薄い部分の色はもともとのコートの色(それでも黄ばみは出ていますが)、濃く黄色くなっている部分はカビや樹脂の劣化黄変が出ています。

バーバリー、アクアスキュータムの綿コートなど、古いコートの場合は下側と上側の色が極端に違っていたりします。

使われる環境にもよるかと思いますが、裾回りだけかなり黄ばみや変色、黒ずみが出ている事もかなりあります。

ドライクリーニングで洗うだけでは落ちない汚れもあるため、こまめにクリーニングに出していても洗うだけだと取り切れずに残って蓄積していきます。
特に毎日電車通勤されている方はコートの裾回り、特に階段で少し裾を擦ってしまうようなロングコートは真っ黒になってしまいます。

酷くなる前に除去していかないと落ちない黒ずみが残ってしまいます。

オイルとさびが入り混じったシミ

線状に見えるシミというか汚れはオイルシミです。
機械の可動部分に付けられているオイルは金属の削りカス、チリやほこりがオイルに貼りつくため黒くなっていきます。

ビフォーアフターを見比べてもらうとわかると思いますが、ビフォーはかなり汚れているし黄ばみも出ています。
よくあるのが目立つシミだけ取って欲しいと言ったご相談ですが、この状態で目立つシミだけ除去すると、その部分だけ本体の汚れも綺麗に落ちてしまうため白く色抜けしたような状態になってしまいます。

しみ抜き台上のシミ抜きは全体処理と比べると何倍も強いシミ抜きもできてしまうんです。
全体復元洗いだけでは取り切れないため、オイルとさび除去のシミ抜きを別でしていきますが、その際、色の差が極力出ないようにシミ抜きをし違和感が出ないようやっていきます。

復元洗いは気が付いていない部分も綺麗になります

復元洗いとシミ抜きの大きな違いは・・・
復元洗いは見えない部分、気づいていない部分も同時に綺麗にできるところです。

シミ抜きの場合、シミ抜きした所だけしか綺麗になりませんが、復元洗いは全体の汚れ、黄ばみを除去していく洗い方法になるため気が付いていない部分のシミも除去することができます。

風合い変化、縮みなどを伴う事がリスクの一つになりますが、多少の変化が出ることを覚悟してでも試す価値がある方法になると思います。

内ポケット周りは手の皮脂などが付くため黒ずみと黄ばみがかなり出ていました。

長年愛用しているため内側も表側同様に黄ばみが出ています。

復元洗いにより内側の黄ばみもかなりきれいに除去できており、ほぼ新品時の色合いが出てきたと思います。

復元洗い=漂白洗いと思われている方も多いようですが、単純に漂白洗いをしているだけではありません。

素材によりできる工程出来ない工程もあり、使えない薬剤もあります。

素材と状態を見て綺麗にできる方法を考えながらやっていくのが復元洗いになります。


◆ ディオールコーティング劣化変色除去 まとめ

お客様にはとても喜んでもらえる仕上がりにできました。
最初はお断りの方向でご説明させて頂きましたが試してみて本当に良かったといえる事例です。

劣化したコーティングは除去するしかないと以前は考えていましたが、ガーデンパーティーのコーティングの黄ばみ除去をしていく上でコーティングを取らなくてもできる可能性があることはわかっていました。

でも、できるものとできないものがあり、まだまだ試行点数が少ない・・・
中にはコーティングごと生地までボロボロになってしまったものもあります。

今回はコーティングの劣化による硬化があまりなかったこともあり、剥がすのではなく樹脂の黄ばみ除去から試しています。

靴のソールの黄ばみ、ガーデンパーティーのコーティングの黄ばみなど試行錯誤しながら紫外線照射機なども購入し試したりしています。

劣化具合によりできる可能性があります。

ただ、開業当初のようにすべてを成功報酬にできない現実があります。

1点手作業でやっていく仕事ばかりとなった今、綺麗にできない可能性が高いと判断した場合、手間をかけても無料...という形ではお受けできなくなっています。

数日、数週間、数か月かけてやっていくモノもありますから・・・

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