
しみ抜きで落ちないとご相談の多い代表的な事例をまとめました。
カビ、色移り、接着剤、血液などは、同じように見えても落ちない理由がそれぞれ違います。
今回はその原因と、どこまで対応できるかを分かりやすくご紹介します。
静岡県 浜松市 クリーニング しみ抜きのお店
おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主 大友 眞吾です。
しみ抜きを依頼しても、すべてのシミが落とせるわけではありません。
シミの種類や状態が異なるうえ、落とすために使う薬剤にも、生地の素材や色柄によって使えるものと使えないものがあるためです。
さらに、事故を防ぐため、各店では基準を設けたうえで安全に処置できる範囲でしみ抜きを行うため、シミの種類や状態によっては落とせない場合もあります。
おしゃれ工房You友とチェーン店と違うのはしみ抜き力と技術です。
どちらかが良いとか悪いとかではなく、チェーン店は利便性、均一性を重視した仕事、おしゃれ工房You友はチェーン店ではできない、落とせないシミや汚れを落とし、着られなかった服でもまた着られるように復元再生していくことが仕事です。
やろうとする仕事自体が違うんです。
落ちないと言われるシミの多くは同じようなシミ、服の素材になります。
同じシミでも付いた服の素材、色などにより難易度がかなり変わってきます。
という事で、落ちないと言われる代表的なシミ事例と解説です。
◆裾がほつれたので裁縫上手で接着 染み出して失敗

スカートの裾の一部がほつれたため、布用接着剤で補修されたとの事
。
このタイプの接着剤は、針や糸を使わずに補修できる便利さがあります。
その一方で、薄い生地にチューブから直接出して使うと、接着剤が繊維の中を通って表側へ染み出してしまうことがあります。
接着剤は生地の表面に乗るだけではなく、繊維のすき間に入り込みます。
そして取ろうとネットで調べるとアルコール、ベンジン、シンナーなど薬剤で取れるという情報がたくさん出てきますが・・・
表に見えている部分だけを拭いても、内部に残った接着成分までは簡単に取り切れません。
特に薄地の素材は裏から表へ浸透しやすく、溶かし出すことができても内部に浸透した接着剤を繊維から除去することが難しいんです。
裁縫上手しみ抜き除去後

今回も接着剤付着に加えて、取ろうとした跡の輪ジミが大きく出ていました。
こうした接着剤の染み出し事例では完全に芯まで浸透していない状態を、手付けることで浸透させてしまい除去することが困難になることもあります。。
表面にだけ付いた状態と表から裏まで浸透している状態では浸透している方が代金的に高額になってしまいます。
状態と素材により金額が変わってきますので状態を確認後のお見積りになります。
マニキュアのシミ

衣類にマニキュアが付いてしまった、またはポタリと落としてしまったという事例です。
トップコートが付いた場合も、同様のシミ抜きになります。
マニキュアやトップコートは、通常のクリーニングだけでは落ちにくいシミです。
ペンキ・絵の具・接着剤などと同じように、樹脂系のシミとして扱われます。
樹脂系のシミは、こすって無理に取るのではなく、溶かして液状化させ、少しずつ吸い取りながら、繊維をできる限り傷めないように除去していきます。
今回のパンツはユニクロのもので、お孫さんが購入して間もないうちにマニキュアを付けてしまったそうです。
一度クリーニングに出したものの落ちず、ご相談くださったのは、お孫さんを見ていたおじいさまでした。
落ち込んでいる大切なお孫さんのために、費用がかかっても構わないので何とかしてほしいと、ご依頼をいただきました。
今回は、クリーニング店でも本格的なシミ抜きは行われておらず、ご自宅でも特に触られていませんでした。
そのため、マニキュアが付いた時とほぼ同じ状態が保たれており、作業を進めやすい状態でした。
無理に取ろうとこすったり間違った薬剤を使ったりすると、生地の表面が荒れたり、色が抜けたりすることがあります。
シミが綺麗に取れると生地にできた傷みや色抜け跡が残ってしまいます。
マニキュアやトップコートが付いてしまった時は、無理に触らず、そのままの状態でご相談ください。
何もされていない状態が一番綺麗に除去できます。
付着して数か月経っていても除去できるシミです。
正絹着物にネイルグルーを付けてしまった事例

こちらは焦って取ろうとし、シミの周りが白く色抜けしてしまった状態になっています。
先にも書きましたが、無理して取ろうとしてしまったせいでシミが取れたあと、色抜け、生地の傷みが残ってしまう事例です。
何もせずご相談頂ければ綺麗に除去できた事例です。
色は染色補正をして目立たたなくしていきましたが生地の傷みは直ることはないため荒れた状態が傷みとして残ってしまった事例です。
◆スーツパンツに付けてしまった瞬間接着剤

よほど染み抜きに長けた個人店以外では落とすことができないシミの一つ。
瞬間接着剤が垂れてしまい繊維の表から裏まで浸透している状態で、繊維自体もカチカチに固まっています。
この状態で何とか取ろうと揉んでしまったため、接着剤が割れるのと同時に繊維も割れてしまった状態です。
先の説明通り、樹脂は溶解、液状化させて吸い取っていくため繊維自体にはほぼ影響出すことなく取ることができます。
ほとんどの樹脂は繊維を傷めることなく除去できるシミになります。
接着剤は綺麗に除去できましたが接着剤が割れた個所は繊維が切れるようにして傷になっています。
キレイに直すにはカケハギが必要になりますがこの大きさで1万円程度はかかってしまうと思います。
◆しみ抜きで依頼しても落ちない代表的な素材 シルク

しみ抜きのご相談で多いのはシルクスカーフとネクタイです。
ネクタイはさらにシルクバイヤスになっているためシルク製品の中でも一番難しいシミ抜きになります。
シルクはとてもデリケートで色も落ちやすい素材。
アルカリが強い薬剤を使うと繊維自体が脆化(ぜいか 溶けてしまう)素材なので色素系のシミが付くとほとんどが落してもらえないシミとなります。
シルク漂白までしないと落とせないしみ抜きの場合、1か所落とすのに5000円~程度の価格になります。
落せせるモノと落とせないものがありますが、シルクは諦めている方も多いので困っている方は一度ご相談ください。
シルクワンピースに血液のシミ

クリーニングにしみ抜きで依頼しても落ちない、断られていたワンピースで付着してから3年程度経過しています。
血液が落ちなくなる一番の原因はたんぱく質の硬化です。
時間と共にどんどん硬化していくため、早く処置しないと落ちなくなると言われる代表的なシミになります。
綿、麻製品など植物性繊維は固まったタンパク質を分解する薬剤が使えるため10年経っていても落とす事ができます。
シルク、ウールなどたんぱく質から作られている繊維はたんぱく質を分解する薬剤を使うと血液だけじゃなく繊維も分解されてしまうため、しみ抜きできるお店はかなり限られてきます。。
当店でも、取れない可能性、下手すると悪化する可能性をご説明し、何か起きてしまっても弁償保証等はできないと説明し了解頂きお受けしています。
作業では、繊維に変化が出ていないか、見た目や手触りを確認しながら、慎重にしみ抜きを進めていきます。
今回は、きれいに除去することができた事例です。
◆落ちないのが常識と言われているカラー剤

今回は、髪を染めている最中に、誤って筆を落としてしまい、カラー剤が付着してしまった事例です。
かなり濃く、べっとりと付いていたため、簡単には除去できない状態でした。
また、画像に写っている部分以外にも点々と付着していたため、しみ抜き代金は3万円程度かかる内容だったと思います。
カラー剤付着のしみ抜きは、想像以上に高額になることがあるため、まずは見積もりを出し、その金額を美容室へ伝え、了解をいただいたうえで作業を進めるのが確実です。
特に保険に入っていない個人店の場合は、費用をお店側が負担することもあるため、事前に了承を得ておくことがとても大切です。
カラー剤のシミは難しいものの、状態によっては除去できるものも多くあります。
お困りの際は、まずはご相談ください。
状態を確認してからのお見積りとなります。
遠方(神奈川県)から持って来られてのクイックしみ抜き

お客様のお洋服にカラー剤を付けてしまったとのことで、持ち込めばすぐに対応できるかというお問い合わせでした。
とにかく早く落としてほしいという切実なご相談で、まずは付着の状態を詳しくお聞きしたうえで、対応できるか判断させていただきました。
ところが、実際にお持ち込みいただいたのは、なんと神奈川県(当店は静岡県)からでした。
新幹線で来られ、さらにタクシーでご来店されたと伺い、地元の方だと思っていたのでとても驚きました。
今回は衿全体にカラー剤が付いていたため、20分から30分ほどお待ちいただき、その場で対応しました。
新幹線の往復とタクシー代だけでも、4万円以上はかかっていたのではないかと思います。
それでもお受けしたのは、費用よりも、お客様にご迷惑をかけてしまったことに対して、何とかすぐにきれいにしたいという強いお気持ちが伝わってきたからです。
その切迫した思いを感じたため、お引き受けした事例でした。
◆色滲み 色移り事例

洗濯表示を見ると手洗いできる指定になっているのに、洗ったら色がにじんでしまったというケースは少なくありません。
お客様はご自身の洗い方が悪かったと考える方が多いのですが、実際には浴衣の作られ方や染色の状態に原因がある場合もあります。
ご相談のあったお客様にお伝えしているのが、品質表示の洗濯指定の意味です。
家庭用品品質表示法に基づく洗濯表示は、不具合が起きない洗い指定を記す事が義務付けられており、消費者庁から基準が決められています。
表示どおりに洗ったのに色にじみなどの不具合が起きた場合は、まずメーカーや購入店に事情を伝えて相談することが大切です。
消費生活センターも、表示に従っているのに不具合が出た衣類について相談を受けています。
購入店を通して相談したほうが、話が進みやすい場合もあります。
特に販売店側からメーカーへ伝えてもらうことで、状況確認がスムーズになることがあります。
重要なのは、先にクリーニング店へ依頼して手を加えてしまうと、その後の対応で、処置後のため判断が難しいと言われることがある点です。
そのため、まずは購入店やメーカーへ相談し、そのうえで保証の対象外だった場合や、費用負担について話がついた場合に、しみ抜きや修正を進める流れが安心です。
どうしたら良いかわからない時は 188番(消費者ホットライン)に電話して相談すると最寄りの消費者庁相談センターを案内してくれます。
つまり、洗い方が悪かったというよりも、水洗いしても色落ちしないだけの色の堅牢度が不足していたという事になります。
色の堅牢度は染色製品の基本的な品質項目として基準が設けられています。
なお、色にじみや色移りには、落とせるものと難しいものがあります。
インディゴ製品の滲み、色移りはかなり落ちない・・・
最近ではインディゴは化学的に作られるようになったため青系だけじゃなく赤青黄色といろんな色があります。
いずれも滲んだり移ったりするとかなり落ちない、シミ抜き代金も化学染料と比べかなり高額になってしまいます。
彼女からのプレゼント 縫い付けられた付属からの滲み

汚れる前にと思って洗ったところ、縫い付けられていたナンバー文字から色にじみが出てしまった事例です。
色は、一般的に鮮やかなものほど落ちやすい傾向があります。
衣類に付いている飾りや付属品、皮革部分などに使われている色材には、染料や顔料があります。
そのため、落とせるかどうかは、何で色付けされているかによって変わってきます。
染料と顔料では繊維への定着の仕方が異なり、色落ちや移染の出方も変わります。
先にも触れたインディゴや顔料系の色にじみ、また色移りとは少し違いますが、洗濯の際にペンを入れたままにして付いてしまうインクも、同じように難しいご相談のひとつです。
インクは油性のほうが落ちにくいと思われがちですが、実際には油性インクのほうが対応しやすいこともあります。
反対に、水性インクは残る可能性が高く、ゲルインクはさらに難しくなります。
一般的な案内でも、ゲルインクは特に落としにくいとされています。
こうした付属部分からの色にじみは、実際に現物を見てテストしてみないと、落とせるかどうか判断できません。
色の固着が弱く、堅牢度が低い場合は、しみ抜きで一度きれいに落とせても、乾きながら色がにじみ出てくることもあります。
色滲み、移りはメーカーの作り方次第になるので見た目では判断することができません。。
いずれにしても、このようなご相談は、実際にしみ抜きテストを行ったうえでのお見積りになります。
クリーニングで起きたクレームには出来ない事例

これは、色移りの状態以上に、とても考えさせられた事例でした。
リスクがある場合、事前に説明しておくことはとても大切です。
それはトラブルを防ぐためだけでなく、お客様に起こりうる変化をきちんと理解していただくためでもあります。
今回のお品物は、これまで何度かクリーニングに出しても問題がなかったそうですが、なぜかこの時に限って白い部分に色が移ってしまったとのことでした。
すぐにお店へ持って行かれたそうですが、その際に返ってきたのは、事前に説明しているのでクレームは受けられないという言葉だったそうです。
この事例で考えさせられたのは、色移りが起きたことそのものではなく、受付のあり方です。
同じ事前説明でも、実際にそうならないよう注意して洗い、それでも万が一起きてしまった時のためにお伝えする説明と、後から責任を問われないようにするための説明では、意味がまったく異なります。
今回なぜこの状態になったのかは、実際の経緯を見たわけではないため推測でしかありません。
でも洗い指定に従って洗い直してみるとそれだけでかなり状態が改善され色移りも起きることはありませんでした。
このワンピースは色移りだけが問題だったわけではなく、毛玉や逆汚染のような黒ずみも見られました。
そのため、見た目をきれいに整えるには、色移りだけでなく全体の状態を見ながら進める必要があり、思っている以上に手間のかかる作業になりました。
◆エルメスバック メーカー元へ依頼しても落ちない、断られるバックのシミ

生地部分に、ワインが大きく垂れたようなシミができていました。
バッグのしみ抜きができるクリーニング店を探して依頼されたそうですが、落とせないとして返却されてしまったとのことです。
ワインのシミは、衣類であっても簡単に落とせるものではなく、しみ抜きに長けた個人店以外では落とせないシミのひとつになります。
エルメスバックにワインのシミ 除去後

その理由は、しみ抜きには色落ちや風合いの変化などのリスクが伴うためです。特に数十万円するバッグは、わずかな変化でも大きな問題になるため、簡単には手を付けられません。
高額品になるほど仕上がりを見る目が厳しくなります。
バッグは服よりも難度が高いため、依頼する際は作業内容やリスクについてきちんと説明してくれて、疑問にも丁寧に答えてくれる店を選ぶことをおすすめします。
また、革製のバッグや、生地と革を組み合わせたコンビバッグは、服のように丸洗いできないため、対応できる店がかなり限られます。
バッグの生地部分に付いたシミを落とせる可能性があるとすれば、繊維の扱いに慣れた専門のクリーニング店でしょう。
エルメスバック全体黄ばみとカビシミ

白っぽい服は、置いておくだけでも空気中の酸素の酸化により使っていなくても黄ばみは進んでいきます。。
エルメスのバッグの生地には綿キャンバスが使われているものもあるため、綿素材のコートなどにも見られる茶系の色素を持ったカビが生えることがあります。
このようなカビの色素シミは、服でも一度付いてしまうと、色素を分解する処理などを行いながら除去を試みます。
ただし、服でもバックでも落とすのが難しい、代表的なシミのひとつです。
エルメスバック 黄ばみ除去 カビシミ除去

漂白剤は革の繊維を分解し傷めてしまうため革に影響が出ないよう生地部分のみを漂白し黄ばみと落とし、最後に漂白剤を水で洗い流していきます。
革とのコンビになるため革部分に水分を浸透させると色がにじみ出てくる可能性が高いため、水分を革に入れないよう作業し洗い流していきます。
落ちなかったカビシミは1か所ずつ染み抜きで除去していきますがかなり手間と時間がかかる染み抜きになります。
このバックもお時間を頂き、仕上がり次第ご連絡しますという形でお受けしています。
ご相談の多いしみ抜きで落ちない理由を解説 まとめ

すべてを同じ基準で考えるのではなく、何をしてもらいたいのかによって使い分ける時代です。
今回ご紹介している事例は、個人店でも対応が難しく、チェーン店では落とせない代表的なしみの一例です。
利便性の良さや料金の安さ、仕上がりまでの早さを重視する店と、技術そのものを強みとする店とでは、できる仕事自体が違います。
おしゃれ工房You友のしみ抜きは成功報酬制です。しみが取れなければ代金は頂きません。
しかし、他の多くのお店ではしみが取れなくてもクリーニング料金はかかってしまします。
しみ抜きに高い技術が必要な衣類や、デリケートな素材、高額品などは、落としにくいものや、風合いの変化が出やすいものってある程度決まっています。
もしお客様ご自身が、これは少し不安だと感じたなら、その感覚はかなり当たっていることが多いです。
利便性を求める品物は便利なお店へ、技術が必要な品物は専門性の高いお店へ。
お客様が望む仕事を得意としているお店に依頼することで、求めている仕事をきちんとしてもらえ満足度も上がると思います。。
大切なのは、上手に使い分けることです。