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スーツクリーニング~嘔吐してしまったスーツ殺菌消臭~

嘔吐物付着スーツ殺菌・消臭参考価格  
ジャケット    15000円(16500円)~
パンツ          5000円(  5500円)~

素材、状態、臭いの取れ具合などにより金額は変わります。

※ 汚物付着の場合、お受けできるための条件がありますのでよろしくお願します。

① まずはお持ち込みにしてもお送りいただけるにしても事前に一度ご相談をお願いします。
② 固形物などが付着したそのままの状態ではお受けできません。
③ お客様ご自身で洗う、当店で処理をする工程の中で不具合が起きても一切保証はできません。

嘔吐物などが付着した衣類などは「指定洗濯物」と呼び、指定洗濯物を取扱う施設を「指定洗濯物取扱施設」といい、行政へ申請して許可を得ることで法律的にも取り扱えるようになります。

当店は「指定洗濯物取扱施設」として認可を得ています。

◆嘔吐物が付着してしまった服をお受けするときのご説明

嘔吐の場合、まずはお電話でご相談を下さるようお願いします。
必ず水洗い、シャワーなど掛けながらブラッシングして付着物などを落としご依頼くださるようお願いします。

乾燥後、ビニールの袋などに入れて頂き、完全に密閉した状態でご依頼くださるようお願いします。
密閉した状態のまま殺菌剤の浴槽まで持って行き、開封後直接手で触る事無くそのまま殺菌剤に入れ処理をさせて頂きます。
※ 画像を参照してください。

感染症による嘔吐なのか、ただ飲み過ぎなのか等、判断が出来ませんのでいかなる場合でもまず殺菌させて頂きます。
素材やデザイン、状態などの確認も殺菌後となります。

起きてしまった不具合はできる限り修復していきますが不可能な場合でも一切保証出来ない事をご了解頂けた場合のみのお受けさせて頂きます。



おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
嘔吐物付着のご相談が増えてきましたので説明が重なりますが再度ご説明させて頂きました。

「指定洗濯物取扱施設」としての認可を取ったのはいつもお世話になっているお客様の「困った・もしもの時」のためにです。

40年近くこの仕事をやってきていますので滅多に無いような事のご相談もお受けしたりもしています。

スーツが気泡のような浮き、波打つような状態になる原因・汗取りなど依頼するときの注意点

菌に対してのみ反応する安全な殺菌剤

画像は嘔吐物がついたスーツが届き、開封して殺菌剤に漬け込んでいる画像です。

当店が使っている殺菌剤は10年くらい前になるかな、医学業界で話題になっていた殺菌剤です。

菌に対してのみ反応するタイプで、塩素のように色抜けもおきず繊維を全く傷める事がない殺菌剤ですが、殺菌力は塩素よりかなり強く人体にも安全な殺菌剤です。

公衆浴場の殺菌、コンタクトレンズ洗浄液やウェットティッシュ、オロナインにも使われている殺菌剤です。

嘔吐というとノロウィルスが一番厄介で怖い菌となりますが十数秒程度で不活性化させることが出来ます。

新型コロナも含め、菌自体は水洗いすることで洗い流すことが出来ますので、不活性化、洗い流す事で感染症の心配なく処理をすることが出来ます。

それでは、今回のスーツのクリーニング工程を説明していきます。

◆消臭ウェットクリーニング

殺菌後に状態を確認していますが濡れているのでよくわからないのが現状です。
嘔吐物はその時に飲み食いしたものが胃酸と混じりながら半分消化されたような状態で出てきています。

肉の脂から魚のアルカリ性の油、臭い、ワインなど飲んでいればワインの色素シミなど水洗いだけでは落ちない状態のシミも付いています。

同じ油でもサラダオイルのようなさらっとした油もあれば、肉の脂身のように熱すると溶け出し冷めると固まって取れにくくなる油性汚れもあります。

嘔吐の場合は経験上、一番落ちにくいのは汚れとかシミではなく臭いなんです。

これらの経験も踏まえ、シミや汚れ、臭いを取っていくための最善を考えて洗っていきますが、洗い方法は服の状態とか素材により変わります。

画像は温水に洗剤、ウールを傷めない程度のアルカリ剤、酸化剤を入れ、つけ置き洗いをした画像です。

縮み変形ができる限り出ないよう、ソフトに洗いながら落とせる汚れとシミを除去していきます。

今回は一度つけ置きした後、かなり汚れが出てきたため、液を廃棄し作り直してつけ置きのし直しを3回やっています。

汚れの再付着は洗剤がしっかりと足りていればそれほど心配は無いのですが、ニオイは別。

これは家庭でも同じですが、洗剤にニオイが溶け出してきたらその洗剤は破棄して再度つけ置きをし直します。

ニオイは薄まった状態の中でもつけ置いておくと全体に移ってしまうからです。

上画像の右下のように、押し洗いすすぎをした時、汚れが出てこない状態になるのがベストです。

◆消臭殺菌・中和消臭

画像の上、何か棒状のものを入れているのは水温計です。
ウールスーツなので水温は上げ過ぎないように、殺菌消臭剤の効果も中和効果も出る水温を計ってつけ置きしています。

最初の洗いでは酸化剤を使い、アルカリのPHを調節してつけ置きしています。

アルカリでつけ置きすると酸は中和されニオイも取れるのですがアルカリ性のニオイが落ちずに残ってしまうため、今度はアルカリを中和させ洗い流していく事でアルカリ性のニオイを除去していきます。

一番落ちないのはサバのニオイ・・・

ここまでやっても落ち切らずに残る事もあります。

ここまでの作業をしたら洗いあげて乾燥させ、臭いを確認します。

嘔吐の場合だとここまで処理しても何かの臭いが残っている事が多い・・・

とりあえずここまでの作業を終えたら一度乾かしてから臭いを確認し、残っている場合、再度つけ置き消臭を繰り返します。

今回は3回繰り返しています。

水洗い後、濡れた状態でオゾンガス消臭に入れ消臭しています。

臭いは原因となっている汚れなど付着物を落とさない限りオゾン消臭しても意味がなくすぐに臭いが出てきます。

○○消臭加工なども同じです。

消臭後のスーツ上着の状態

形を整えて干していますがこちらが乾いた状態です。
画像ではそんなにひどくは見えていませんが、水洗いした風合いになっています。

縫い目付近のパッカリング(縫い目が縮んでできるシワ)も出ているのがわかります。

裏地はレーヨンとポリエステルの混紡でしたのでシワは想定内程度で済んでいます。

上左側のポケット付近、波打つ境界線から色が変わって見えている部分は油シミ。

無理をして水洗いで落とすより、油はドライクリーニングをしながらのシミ抜きで除去したほうが落ちもよく負担をかけずに洗うことが出来ます。

本来なら先にドライクリーニングで油を落とした後、水洗いしていくのが基本です。

油は水洗いすると落ちなくなる・・・とよく言われるのですが、問題なく落とすことが出来ます。

消臭後のパンツの状態

こちらはパンツです。色濃く見える部分は油シミが残っている部分です。

結構広範囲にやっちゃったんだなぁ・・・(汗)

家庭でも残るシミはこうした油シミですね。
調理されるときに油が使われますので水洗いすると油だけが残ります。

色濃く見える状態、例えば黒の中に黒いシミがあるなどの場合は油シミです。
洗い指定を見てドライクリーニング指定に✖がつけられているとクリーニングに依頼しても広範囲の油シミやたくさん飛び散るように付いた油シミは落としてもらえなくなります。

ドライクリーニングに✖がつけられていると、1か所ずつ染み抜きで落とさないと落ちないのでチェーン店に依頼してもほぼそのまま帰ってきたりしてしまうんです。

◆スーツの素材・品質表示・仕上げ

品質表示も撮ってありましたので説明しておきます。

表生地ウール100%、裏地レーヨン53% ポリエステル47% 袖裏キュプラ100%となっています。

裏地がレーヨンとポリエステルの混紡になっているから着たり脱いだりする時に擦れる部分など毛玉ができやすい素材です。

洗い指定は左から 
水洗い✖ 
漂白はすべて✖ 
タンブル乾燥✖ 
アイロンは中温(160℃以下) 
ドライクリーニングは弱洗い 
クリーニング店のウェットクリーニングも✖ 
となっています。

この表示は服の保証書になっています。
指定に従って不具合が出た場合、メーカーは保証することが法律で義務付けられています。

指定以外のことをする場合、一切保証はしないという事ですが、指定以外の洗い等が出来ない訳ではなくメーカー保証はない、という事になります。

水洗いに✖が付いていても洗える服はたくさんありますが、知ってか知らずか皆さん自己判断と自己責任で洗っているんです。

今回は酸化剤(漂白剤)も使用、水洗いも当然のようにしていますが、このスーツを着られるようにするためにやるしかないんです。

当店としては一切の保証はできませんという事を前提に、試してみますか?というスタンスです。

縮んだニットを大きく!伸びたニットを小さく!

◆嘔吐物付着スーツ殺菌消臭洗い まとめ

当店では縮みが出る事、風合いが変化する事、裏地のしわ等素材などを見て判断し、できる限り変化の無いように洗っていきますが、お客様は何に注意してどう洗ったらよいのかわからないかと思います。

が、ほとんどのお客様はご自身の服なので、できる限り丁寧にって洗ってくださっているようで縮み変形など修復できなかったスーツは今のところありません。

お客様には水洗いしてからご依頼をお願いしているのも修復仕上げができるからです。

例えばスーツの場合、表生地に縮みが出てしまっても裏地は縮まないんです。

裏地を見ながら表生地をバランスよく幅出し修正しながら直していく事でサイズなどが分からなくてもほぼ元通りの大きさ、形に修復することが出来ます。


縮み変形を修復して仕上げるって普通にクリーニングした服を綺麗に仕上げていくのとは違います。

裏地とのバランスを見て表生地を合わせて縮みを直し、地直し(生地の織目を見ながら直していくく事)をしていくと、自然と元通りのデザインを復元することが出来ます。

すべての服を元通りにできる訳ではなく直せない服もありますので、水洗いが出来るかどうかの判断は元通りに修復仕上げすることが出来るデザインかどうか、になります。

着られるレベルまでシミもニオイも落とし、型崩れや縮みを修復した仕上がりです。

こうした工程を知って頂ければ臭いが取れない理由、金額も安価では出来ない理由も分かって頂けるかな・・・と思いご紹介させてもらっています。

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