おしゃれ工房You友（ゆうゆう）　大友　眞吾です。

前回に引き続きカビ取りです。
革のコートをカビ取りで洗ってもらったけど白く見える、ニオイが全く取れないなど、クリーニング後のご相談もありました。

クリーニング店へ聞いても外注依頼になるから革の事はわからないし説明もできないんです。
出す前と全く変わっていなければクレームにできるにしても、ある程度取れているなど改善もしているからクレームも言いにくいなどもありますよね。

表面のカビを払えば取れる程度であれば浸潤までしていない状態、拭いても白くカビの形そのまま残ってしまう場合は浸潤しています。

カビが革を喰うようにして根を伸ばしながら浸潤している状態です。

クリーニングに出し綺麗になったけど翌年すぐにまた生えるという場合、表面の目に見えるカビが落ちているだけ＝洗っただけの状態。

カビの根が残ってしまうとそこからまた生えてしまうんです。

浸潤している場合、カビの根っこを書き出し除去することを意識しながら服全体をブラシ掛けなどして落としていきます。

洗剤にはカビ菌程度なら数秒程度で死滅させることが出来る殺菌剤を配合し、奥まで殺菌剤を入れ込みながらブラッシングしていきます。

クリーニング後に白く跡が残っている状態でもブラッシングしながら洗う事で取り切れることがほとんどです。

カビの浸潤が酷いと表面に凹凸ができ傷として残ります。

この場合目立たないようにするには再塗装が必要になりますが塗装代金が別途かかります。

シボ（シワ）がない皮革の場合、傷ってかなり目立ちます。
傷が埋まる様に塗膜が少し厚くなる塗装をしていく事で擦り傷などがある場合も目立たなくなります。

カビの根っこをかきだすようにして洗っていくと表面の光沢が変わるもの結構あります。

使っていくうちに背然と出てきた光沢は汚れ除去と同時に変化していきます。

トップコートで光沢を出している場合、ブラシ掛けでトップコートが落ちてしまうもの、落ちないモノとあります。

トップコートが落ち、なくなった光沢は直すことが出来ますが再コーティングしていくため別途料金がかかります。

ずっとしまってあるとファスナーの滑りが悪くなります。
洗っていてもドライクリーニングは脱脂されるため油分がとられファスナーの滑りが悪くなったりもします。

滅多に着ないフォーマルワンピースとか礼服のファスナーが動かなくなったり硬くなったりって経験ある方多いんじゃないかな。

ファスナーは凹凸をスライドさせながらはめ込むようにして締まるので滑りが悪くなると重たくなるだけじゃなく凹凸が摩擦で削られ締まらなくなったりもします。

革のコートと革ブルゾンはここ最近、数十年はしないっぱなしになっていたというご相談が多かったんです。

ほとんどのファスナーがかなり重たくなっているんです。

ファスナーの取り換えはかなり金額がかかってしまうので、ファスナーは服でも大切なメンテナンスの一つだと考えています。

バックやお財布などは取り替えるとなると大変なので全品ファスナー用オイルを入れメンテナンスをしています。

服でもファスナー取り換えは大変、特にダウン製品は簡単に取り換えできない事も多いのでモンクレール、デュペチカ、カナダグースやタトラスなどブランド品の場合は滑りに関係なくすべてにオイルを入れメンテナンスをしています。

革メンテナンスは当店の場合、古い油分を除去して新しい油分を入れ替える事が一番の目的としています。
油分は古くなると酸化腐食しニオイも出てきます。

油分を切らさない限り革は一生持つとても丈夫なモノです。

革製品は革そのものがカビの栄養素となるモノなので繊維と比べるととてもカビは生えやすくなります。

カビが繁殖するための3つの条件、気温、水分、栄養素の中の栄養素がすでにあるため真っ先にカビが生えてしまうのが革になります。

生えてから時間に比例してカビの浸潤は進んでいくので状態により除去方法も違います。

依頼した際、これらの説明をされたことがあるってお客様ほとんどいらっしゃらないのが現状です。

クリーニングに出せば全てやってくれる、ではありませんしそのお店で洗っている個人店でも設備も違えば使う薬剤も持っているスキルも違います。

依頼される場合、まずはしてほしい事をしっかりと伝える事が大事です。

わからない場合は店頭で「どうしたらいいですか？」と聞いてアドバイスをちゃんとしてくれるお店なら安心して任せられるお店選びになるんじゃないかな、と思います。