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ラルディーニジャケット修復仕上げ~クリーニング店で起きた事故品修復~

浮き直し、型崩れ修正 一点手仕上げ料金

12000円(13200円)~

美容室のカラー剤付着事故、その他飲食店、塗装業者の付着事故、クリーニング店の事故品など業者がお客様の品物を依頼する場合は「必ず」その旨を先にお伝えてくださるようお願いします。

基本同業者からの事故品は面識がない場合、お受けしていません。

事前の連絡などモラル、マナーがなく事故品をいきなり送られた場合、そのまま着払いにてご返品させて頂きます。

◆同業者の事故品を断る理由は・・・

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

10年くらい前までは、同業者からの事故品でもできる限りのことをやっていこうとお受けしていました。

しかし、やっていくとお客様からのご依頼ではまず起こらない事が起きてきました。

事故品を修復しているのはこちらなのに、まるで仕事を出してやってる客的な事を言う人もいれば、何とかならないかとやっては見たものの、上手く改善できない状態になると最後はお前が手を付けたのだから弁償しろという人・・・

受ける前に既に状態が悪く直りはかなり悪いと伝え、それでもいいから何とかやってほしいと言われ、実際に直りが悪かったら、これじゃ納品できない、とクレーム言われたり・・・

革製品などに多かったのが、できないのにいきなり広範囲で手付けてしまってあるもの・・・

小さな範囲でテストしてできなければやめておけばいいものを、いきなり全体とか複数個所手付けてしまった状態になっていると、
元の状態から直すのであればそれほど手間がかからないものでも、塗装したり質感替えてしまったりなど変化出してしまった状態から直すのは何倍、何十倍も手間がかかるし綺麗に直せない状態になっていたりします。

こちらがお見積もりを提示した所、お客様からは○○円で受けているからなどと金額的な事を言われたことは何度もあります。

モラル、マナーもなく日本語が通じない人と話をするって大変なんです。

何とかしてあげたいって思う気持ちよりストレスがたまり続け、もう受けない!と今は断っています。

このジャケットは宅配で遠方のクリーニング店から送られてきたジャケットです。

LINEで相談はあったものの、返事を出す前に届いたジャケットです。

はっきり言ってどう思ったかというと、

こちらからの返事も連絡も無しで送ってきてできない事だったらどうする?
断るほうも嫌な思いするんです。

ジャケットを見て、ラルディーニというブランドのジャケットで結構高額品。

本来ならどう洗った?何をした?お客様が見てクレームになった?などの情報は必ず聞きます。

事故品の場合、お客様が見てクレームになっていると、見る目がものすごく厳しくなります。

ほぼ元通り、ではなく完璧に元通りにできないと納得してもらえなかったりします。

同業者だけではなく、美容室、飲食店、塗装中に服に付けてしまった塗料の事故、など色んなご相談がありますが、事故品の場合は先に自分は業者でありお客様の事故品であるいう旨を「必ず」伝えてください。

今回は一応LINEがあり、返事と共にモラル、マナーの考え方なども伝え、改めてお願いされたため進めて行きます。


気泡のような浮き?今回の事例は芯地の縮みです。~浮きと縮みでの出方の違い~

◆ラルディーニ・このジャケットの素材の特徴

素材を見てみると
ナイロン71%、ポリウレタン29%、裏地ポリエステル100%です。

素材的には結構特殊な部類になるかな。

ポリウレタンが29%という比率はかなり多いと思います。

コーティングなどされている感じはないので、ポリウレタン素材は伸縮するようゴム芯として使われているか、最近では練り込みと言って、素材同士を溶解させた状態で混ぜ合わせ伸縮性を持たせるといった素材も出ています。

いずれにしても伸縮させているのはポリウレタン。

ELASTANと書かれているのは色んな伸縮する素材の総称で今回はポリウレタンのことです。

ナイロン自体には伸縮性は無いので、芯、練り込みなどで伸縮するようにポリウレタン素材が使われています。

実はこのジャケット、触った感触と伸縮性、素材構成を見て注意することがあるんです。

ナイロンが71%だから、もしかすると指定通りドライクリーニングした後通常工程通り熱乾燥としたんじゃないかな。

このジャケットは水洗いするとぶくつきや浮き、縮みが出る不具合が起きる、熱乾燥も絶対しないほうがいい、そんな素材なんです。

伸縮する素材は着やすいのでよく買われると思います。

洗い指定を見て普通に水洗いに✖が付いておらず普通に水洗いが出来る指定になっている場合は大丈夫ですが、✖が付いている場合、同じような現象がおきやすくなります。

特にジャケットなどは水洗いに✖ついている場合、水に漬けただけでも今回と同じような浮きというかシワのようなものが出てくる可能性高くなります。

タンブル乾燥などもやめておいた方が無難です。

高額品のジャケットを自分で水洗いする方はいないと思いますが、クリーニングに依頼する際も自然乾燥させてほしいなど伝える事も大切です。

この素材もチェーン店ではなく素材を見て判断して洗って仕上げてくれる個人店へ依頼したほうが良い服になるかと思います。


高いコースへの出し分けの注意点~普通に出していれば出なかった不具合~

◆修復仕上げ

今回の浮きは芯地の縮みが主な原因です。
芯地の剥離による浮きが出ている個所はほとんどありませんでした。

内側に入っている芯地が縮み、表生地がたるみ、たるんだ部分の先端に負荷がかかるため多少剥がれが出ていた部分があった、という感じの型崩れです。

何にせよ、表生地が結構伸縮するため、バランスよく引っ張りすぎないように芯地を元通りの状態に修復し、芯と表生地が上手く合わさるように修復していきました。

ただし、言葉で言うほど簡単ではなく・・・

黒のジャケットでアイロンを直接当てるとテカリが出てしまうため、当て布をし、あまり圧力をかけないよう修正しています。

かなりアイロンをかけにくい素材だったので修正しては一度トルソーに着せて確認をし、また修正して...と繰り返しやっていったため1時間以上の手間がかかっています。


ゼニアジャケットクリーニング~水洗いで依頼して出てしまった型崩れ修復仕上げ~

修正仕上げ 袖

人の体は平らになる部分は無く膨らみがあります。

修正仕上げする場合、大馬、袖馬、饅頭などを使い丸みを帯びるような形で修正していきます。

袖は袖馬を通して表生地と裏生地のバランスを整えるようにして修正していきます。

この袖部分には芯地は入っていないので単純に表生地の縮みにより凹凸が出ている状態。

ブランド品は同じように見えてもやはり違うんです。

風合いもそうですが、着た時のシルエットまで考えてデザインして作っています。

形を整える場合、繊維の織りを整えていく事で元のデザインに戻っていきますが言うほど簡単ではありません。

修正したらハンガーに吊るして形を見る、トルソーに着せて人が着た時のシルエットを確認するなどしながら仕上げていきます。

仕上げはクリーニングの仕事の中で一番難しく、こうした地直しは今後できる人がなかなか育ってはいかないだろうという技術になっていくと思います。

私も教えてもらった技術ではなく、父の仕事を見て、実際にアイロンを持って仕上ながら身に付けた技術です。

見て覚えろ、仕事は見て盗め。

人の仕事を見ていればわかる、見ればできるという技術を身に付けられたのは父の言葉があったからでした。


◆修復仕上げ まとめ

今回のジャケットは同じクリーニング店へ依頼し同じ工程をされるとまた同じように縮みと浮きが出てしまいます。

クリーニング店が下手なのか?ってこういった事例があるとお客様からも聞かれるのですが、クリーニング店だけが原因ではないんです。

服がどう洗えるかは、どう洗えるように作るかになります。
ドライクリーニング後にタンブル乾燥され服が仕上げられるのが通常のクリーニング工程です。

ドライクリーニングをし、タンブル乾燥をしても縮んだり変形したりしない素材と材料を使い、問題なく洗えるように作られて入れb不具合が出ることは無いんです。

実際、ウキや縮み変形などで相談されるお客様も、ほかのスーツは大丈夫なのにこの一着だけが・・・って事は良くあります。

オーダー品、ブランド品、特にオーダー品を気に入ったお店で何着も作られている場合だと、オーダー品だけが同じ状態に縮みと変形が出たりすることがあります。

服がどう洗えるか、不具合が出るかどうかはメーカーの作られ方に依存していきます。

どんな腕の良いクリーニング職人でも、洗うだけでダメになる素材を使って服作られていたら不具合起きてしまいますから。

今まであまり気にされていなかった、スーツの型崩れなどのご相談って最近増えてきています。

私が信頼してる講師が10年くらい前に、仕上などに関しては10年後くらいに関心持つ人が出てくる、と言っていました。

今はまだ汚れとかシミ以外に関心が無いんだと。

当時はクリーニング店も、しみ抜きできることが技術と考え仕上がりの品質に力を入れるお店はとても少なかったんです。

どんな高級繊維でも風合いそのままに洗い上げる技術、着たり洗ったりして出る型崩れをデザイン通りに直していく技術。

本当に高級な食材は食べないとわからないのと同じように、実際に仕上げる人が高品質な仕上がりとはどんなものか、知らなければできないんです。


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