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ロエベ スエードバックしみ抜き~取れないと返品されたバックのシミ抜き~

バックしみ抜き 参考価格

革バック、お財布のシミ抜き
1か所3000円(税込み3300円)~

革の種類、シミの大きさ、難度により金額は変わります。
色も一緒に抜ける場合、色修正代金は染み抜き代金の+100%が目安

基本、現物を拝見しテストしてからのお見積りとなります。

今回のロエベスエードバックしみ抜き
参考価格 4000円×5
か所
20000円(税込み22000円)

◆シミの状態を見て何が付いているかを予測

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

「他のお店へ送ったバックなのですが、取り切れないかもしれないと言われたのですが取れますか?」

こんなご相談がありました。
お客様からすると不安に思う回答となるかと思いますが、革製品の場合は実際にやってみないとわからない事はたくさんあります。

当店も同じようにやってみないとわからないとお答えするしかないのですが、まずは状態を確認してみないと何とも言えません。

しみ抜きはどこも同じではなく取れないお店もあれば取れるお店もあります。
スキル次第です。

革バックだからバック専門店のほうがシミも取れる、って思われる方も多いのですが繊維のシミ抜きはクリーニング店のほうが落とせるお店多いんです。

革に関しては開業した当初、私自身も素人だったため、息子と二人で姫路まで行き、生きている動物から革を取り、製品化するところまでのセミナーを受けてきました。

当店の革に関してのシミ抜きにしても仕上げ方法にしても、基本となっているのは製品化していく過程を知る事で、しみ抜き技術に落とし込みを作っていきました。

だから、おしゃれ工房You友の革に関する技術は全てがオリジナルになります。

画像を見ただけでもある程度の判断ができ説明が出来るのも、革の知識としみ抜きの技術の両方から見ることができるからです。

今回はロエベスエードバックです。
画像はシミ部分をアップにしたものですが、よく見てください。

2層になっているのがわかると思います。


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分離するシミ

服に付くシミを取る場合、手順があります。
まず油を落とし、次に水溶性汚れを落とし、それからたんぱく質を落とし、色素を落とす。

この手順が基本となるのは家庭での洗濯、しみ抜きも同じです。

これはシミが付着すると比重順にそれぞれが分離し層となり、一番上に比重が軽い油が幕(バリア)を作ってしまうためシミが取れにくくなるんです。

付いたシミの種類、状態を見ると食べこぼしのシミなのか、それ以外のシミなのかなどある程度は判断ができます。

今回は2層になっているので少なくても2種類の何かが付いている事は一目でわかります。

あとはお客様からの情報なども合わせて判断していきますがほとんどの場合、調理油が入るので脂、水溶性シミの両方が付いています。

粘度があると広がりにくく、逆に水のようにさらっとしているとどんどん広がっていきます。

例えば同じ油でも熱をかけると溶け出し、冷めると固まる油脂系のシミは広がりにくく落としにくい。

シミが付いた時点で冷めるため粘度が出てきて広がりにくくなり、熱いうちに繊維の中に入り込んだ油脂は繊維の奥まで入り込んだ状態で固まるため取れにくくなります。

今回のシミの状態から、油脂系とさらっとした油の2層、も考えられますが、油が中心で固まり、さらっとした水溶性のシミが広がった状態と判断しましたが、思った通りでした。

水溶性、油性汚れの両方が付いている場合、革製品だと落とすことが出来るお店はかなり少なくなります。

特にスエードは落としにくい・・・
ヌメ、アニリン皮革になるとさらに難易度が上がり落とせるお店はほとんどなくなります。

姫路のセミナーに行った時にしても、大阪の革製品の製造に関するセミナーに参加した時も、「革に染み込んだ油は取れない」と言われていました。

当時、「革ブルゾンの剥げてしまった色を直す業者がある」という事に驚かれてもいました。

「爬虫類の革は洗うことができない」とも言われていました。

ほんの十数年前の事です。

私自身はすでに洗ったりしみ抜きしたりもしていたし、革に付いたシミの中で油シミなら取れるとお受けしていました。

今ある技術を組み合わせ新しい技術を作っていったのです。

そんな感じでクリーニングの技術を持った職人の中で革も繊維として扱うようになり、皮革業界の常識と言われてきたことを改革していったのです。

だから染み抜きに関して言えば、革専門店では取れないシミでも革を扱っているクリーニング店のほうが取れる可能性が高いんです。

型崩れした革製品を修正仕上げなど出来るのもクリーニング店だけになると思います。

このバックのシミを見てある程度の予測ができるのも革の知識のあるクリーニング店だけだと思います。

当店の場合、開業当時の18年前からメールに画像を添付して頂き、画像を見て診断、回答とやってきています。

画像を見てある程度の判断が出来、説明まで出来るのも当店の強みとなっています。


◆もう一つの違うシミ

こちらは反対側の面にあるシミです。
先ほどのシミとパッと見て違うのがわかります。

色が薄い、シミが分離していないなどは誰が見てもわかります。

付いたもの、時間が経っているかどうかなどもある程度予測することができますが、一番の違いはシミの周りの状態。

よく見るとシミの周りの色が白けています。

服でもよくあるのですが、シミを取ろうとこすったりするとこうした跡が残ります。

シミが残ったままだと色抜けとか擦れ、傷みなどは目立たないから気が付かないのですが、シミが取れると起きてしまった変化がそのまま見えるようになります。

他のお店へしみ抜きで出しても落ちなかったシミ抜きの依頼を受けると、よくあるのがしみ抜きした後の色が抜けている、スレが出ていたり毛羽立ちが出ていて直らないというもの。

何か触った後があったりクリーニングに出したりなど変化を見てわかる場合、このご説明を必ずしています。

手付ける前にしておかないと見えるようになった変化がクレームとなってしまう事もあるからです。


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シミを取りたい場合は何もしないことがベスト

シミは時間が経つと取れなくなる、とよく言われますが・・・
付けてすぐにお客様ご自身で何かをして落ちるシミだとしたら、数日程度時間が経っても落とすことができます。

食べこぼし程度のシミであれば1か月程度経っていてもほとんどのシミは落とせますが、取れない場合はすぐに染み抜きしても落ちない可能性が高くなります。

1日経つごとに取れなくなっていくシミは血液などたんぱく質系のシミと、接着剤などが使われている樹脂系のシミ(ペンキ・絵の具など)です。

革の場合は通常の服の繊維とは違うのでしみ抜きで落とせないモノはたくさんあります。

ピグメントレザー(顔料塗装レザー)の場合、取れないシミは塗装して隠していく事ができます。

今回のようなスエード、ヌバックなど起毛製品、ヌメ革など染色されていない革の場合、シミを隠すことができません。

お客様では判断が難しいと思いますので、困ったらご相談ください。

今回もシミは綺麗に取ることができていますが、しみ抜き後はかなり白っぽく色抜けが出ており、中心部分は起毛が無くなっている部分などもあり質感変化が起きています。

目立たなくなるよう少し毛羽を作り少しだけ色を修正して仕上げています。
それでも白っぽくなっている、質感変化は完全には直すことができないので見えています。


◆ロエベ スエードバックしみ抜き まとめ

革製品の場合、しみ抜きすると多少なりともしみ抜きの跡が出てしまうものは結構あります。

できる限り小さくシミからはみ出さないようにしみ抜きをしていきますが、水分を含ませた状態で拭く、指で擦るなどしてしまうと革自体が伸びたり、こすった部分のみシボ(シワ)が無くなってしまい質感変化が起こります。

これは他のお店へ依頼したけど取れなかったって場合でもよく起きています。
逆に全く手付けず取れずに帰ってきた場合、シミだけ綺麗に取れたりします。

服にしても皮革製品にしても、何もされていない状態が一番です。

応急処置的には乾いたティッシュで軽く押えて水分を吸い取る程度とし、拭くような動作はしない事が大切。

水分も付けてはダメ・・・

食べこぼしの場合、必ず調理油が使われています。
水分を付けて拭いても油は落ちないしシミを繊維の奥に水分と一緒に押し込み取れにくくしてしまう結果になりますから。

大切なことなのでもう一度。
シミを綺麗に取りたかったら、何も手つけずに技術のあるお店に依頼するのが一番です。


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