Blog
ブログ

セリーヌレーヨンシャツ~クリーニングに出してあっても出てしまう黄ばみ変色~

セリーヌレーヨンシャツ復元洗い
参考価格 12000円(税込み13200円)

素材、色柄、状態により金額は変わりますので基本お見積り

今回は洗い指定では水洗い✖のレーヨン
色落ちテスト、どの程度縮みが出るかの予測テスト
縮みが出た時、修復するためのサイズ測定

詳しくは本文でご説明していきます。

◆相談時に的確なアドバイスをしてくれるお店ばかりではないんです。

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

「クリーニングに出す事が最上級のお手入れと思っていた」とお客様が以前おっしゃっていましたが・・・

このセリーヌレーヨンシャツもクリーニングに出していたのに着られない状態となってしまった事例です。

今でも【ドライクリーニングでは汗など水溶性汚れが落ちない】って事を知らない方がとても多いんです。

そして、【どこへ依頼しても同じ】と思われている方もとても多いんです。

ドライクリーニングによる汗取りは、やらないよりはやったほうがマシ程度で汗による変色が出てしまったという服はたくさんお預かりしてきています。

確実に汗を落とす場合は部分的な処理はしみ抜きで、全体の汗を落としたい場合は水洗いをして洗い流すしかないんです。

はっきりと言ってしまえば・・・

この辺りの説明をされることがないのは、洗い指定で水洗いに✖が付いている場合は水洗いをしないからです。

脇とかエリなどしみ抜きで洗い流すという作業も1点ずつ染み抜きをする作業になるため、設備が無いとできないしみ抜きになります。

今回は画像だと見えにくいのですが両脇、胸元、背中にはうっすらと波打つような黄ばみシミが線状に出ています。

ここまで全体に出てしまっているとシミとなっている部分以外もかなりの汗をかいています。

例えば、びっしょり汗をかいたからとクリーニング店へ相談したとしても汗を落とすための洗い方法とかしみ抜き方法まで説明をしてくれるお店はかなり少なくなります。

チェーン店だと受付はパートさんになるので詳しくは説明できない、個人店でもリスクのある洗い方をしないお店は説明をすることが無いんです。


「どこも綺麗になるって言ってくれなかった・・・」スーツの黄ばみ・シミ取り

◆表示の見方と考え方~大切な事ですので覚えてください~

この服の表示です。
何度も書いていますがこれが法律基準に基づいてつけられている服の保証書です。

指定に従って不具合が起きた場合、基準に則った保証をすることを法律でメーカーに義務付けています。

今回はセリーヌというインポート製品なので洗い指定が3種書かれています。

各国でクリーニングの基準も内容も違うため、日本の場合は日本語表記がある場合のみ、日本の法律適用となります。

インポート製品の場合、輸入元が日本のテスト基準に準じたテストをし、不具合が起きない洗い方法を記すよう義務付けられています。

個人輸入とか個人店が直輸入とか現物を買い付けてきた場合、日本語表記が付けられません。

この場合、法律基準適用外となり、不具合が起きると保証してもらえないなどトラブルの原因となることもあります。

だから洗い指定に全部✖が付けられている場合、断られることも多いんです。

断ってくれればまだ良いのですが、洗うという工程のみで汚れが落ちずに帰ってくるのが一番厄介です。

専門店へ依頼する=ちゃんとしたお手入れがしてもらえる、とはならない事も多いので表示を見てどんなお店へ依頼したら良いのか出し分ける事も大事です。

今回の場合、汗をかいたとクリーニングに出したけどこの状態となっています。

家庭での水洗い、クリーニング店のウェットクリーニングにも✖が付けられているため、汗が落ちなくてもドライクリーニングとなります。

水洗いしないと汗が落ちないけど水洗いが出来ない、とちゃんと説明してくれるお店はほとんどないんです。

当店の場合だと「ドライクリーニングしても汗が落ちないから洗う意味がない」とお伝えしています。

両脇と襟の汗をしみ抜きで落とすか、全体を水洗いをして全体の汗を落とすかになりますが服の素材とか色を見てリスクをご説明させて頂き、どうしていくかをお客様とご相談しています。


ワンピース脇の黄ばみとシミ抜き~もう、新品じゃん!捨てなくてよかった・・・~

◆変色の範囲が広いため今回は復元洗い

購入後、1~2回しか着ていないとの事でクリーニング店へ持って行ったところ当店を紹介されたとの事でした。

地元ではそのクリーニング店で取れないと思われる場合、当店を紹介するといったパターンがかなり多くなってきています。

一番の理由は、しみ抜き専門店を紹介することでシミが落ちなくてもクレームにならない、からです。

今回は受付時に断られ当店を紹介してくれたとの事でしたが、断ってくれる=親切な受付けとなります。

シミ抜き代金はかからなくてもクリーニング代金はかかりますから。

今回は全体の汗を落としながら、広範囲の変色も取るために復元洗いをすることになりました。

画像は縮みが出て修復するためにサイズを測っておく作業になります。

クリーニングに出したら少し縮んだ、などよくあるかと思いますが一点一点サイズを測って洗い仕上げるなんてことをされることは無いんです。

通常洗いで出る若干の縮み程度は当店の場合は受付時に言ってもらえれば幅出し修正もできます。

学生のセーターなど体が成長して小さくなった場合、ワンサイズ程度なら幅出し修正で大きくすることも可能です。


ブランドトレーナー 数十年前の全体変色とシミ抜き~どこも受けてくれない理由~

◆シミ抜きと復元洗いの違い

シミ抜きと復元洗いの違いはシミ部分だけを取るのか、全体のシミ、汚れなどまで落としていくかです。

シミ抜きはシミしか触らないので全体の風合いなどの変化は出ません。
部分的なシミ抜きであれば多少色落ちしても染色して直す事も出来ますし、復元洗いでは落ちない濃いシミでも落とすことができたりすることもあります。

ただ、シミ部分しか処理をしないのでその他の汚れやシミまで落ちることはありません。
当店の場合、クリーニングに出しても落ちなかったというご相談がとても多いので、シミ抜きのみでお受けする場合はシミ抜きだけでクリーニングはしません。

お客様からクリーニングまでしてほしいと言ったご希望がある場合はクリーニングもします。
地元浜松では服に付いたシミだけを取るクリーニング店はおそらく当店だけです。

その場で取ってお返しのクイックしみ抜きは日本全国でもかなり少ないと思います。

一方、全体処理の復元洗いは、気が付いていないシミ、汚れなどまで落とせます。
シミの除去力は1か所ずつのシミ抜きほど強くは出来ないのでうっすら残ることもありますが目立たない程度まで取れることがほとんどです。

ただ、素材やデザインにもよりますが、縮み、風合い変化、色滲み、色落ちなどのリスクが出てきます。

シミ抜きより復元洗いのほうが何十倍も難しい作業になります。

中でも一番難しくなるのは型崩れなどが起きたとき、直していく修正仕上げです。

シミや汚れが落ちたとしても質感、風合いが変わってしまったり縮み変形が出ていたら着ることができませんから・・・

どこまで出来るか、どれくらいのリスクがかかるかは服によって違いますのでその都度現物を拝見してからのご説明となります。


思い出のTブラウスを復元~今までの人生の中で一番感動したかもしれない~

汚れと黄ばみ変色の違い

家庭洗いでも同じですが、汚れを落とすのは洗剤の役目、洗剤では落ちない色素系のシミとか黄ばみを落とすのは漂白剤の役目になります。

それぞれ役割が違い、落とせるものが違うって事です。

よくワイドハイターで洗うとかお聞きしたりしますが、漂白剤の酸化には汚れを落とす洗浄力は無いんです。
基本、黒ずんだ感じの汚れは洗剤で落とし、黒ずみが落ちたあとに黄色く色素系のシミが残ったら漂白で落としていきます。

漂白剤を使用する時の注意点は先に油性汚れをしっかり落としておくこと。
例えば食べこぼしのシミが付くと、調理とか味付け、素材自体の色素とかたんぱく質などが付き、時間と共に比重順に分離しながら層ができます。

一番上にシミを覆うように幕を張るのが比重が一番軽くなる油性系汚れになります。
漂白剤では油汚れは落とせないため、油性の膜が張った状態で漂白しても漂白剤が弾かれシミが落ちにくくなります。

まずは油性汚れをしっかり落とし、次に水溶性汚れを落とし、色素が残ったら漂白。
この順番がシミや汚れを落とす基本的な考え方となります。これは家庭でもプロでも同じです。

ここから素材とか色を考慮し、シミを落とすための工夫がどこまでできるかが持っている技術の差となります。


◆セリーヌレーヨンシャツ復元洗い・まとめ

このセリーヌのシャツを復元洗いする場合に起きそうなリスクは事前に説明させて頂いています。
水洗いが出来ない指定になっているため、復元洗いをする際に修復できないほどの事が起きてしまうと直せない可能性もあり保証はできない事もお伝えしています。

成功報酬ですのでダメになった場合はどんなに手間をかけても代金は一切頂きませんが保証はできない事もしっかりとお伝えしお預かりしています。

かなり高価だったこと、この状態ではもう着られない状態でもあったため試してほしいとの事でお預かりしています。

ダメにならないよう復元洗いをしていくための方法をテストして探しています。

例えばどの程度の縮みが出るかなどは裏側の合わせになっている部分を縮ませるようにしてテストしています。
レーヨンは水洗いが出来るウォッシャブルレーヨンが使われていないと10~15%程度縮みが出るモノもあるんです。

本体の色落ち、柄がにじみ出てこないかなどもテストし、復元洗いの条件を探ります。

当店では基本的には弱、中、強と3段階に分け様子を見ながら復元洗いをしています。

お客様に詳しくご説明、サイズを測る、テストをする、実際に復元洗いに取り掛かる、修復仕上げをしていく、という工程で綺麗に復元ができています。

12000円というお見積りもこういった工程を踏んでいく事を想定してお見積りさせてもらっています。

想定外に手間がかかってもお見積額を超える事はありません。

どんなに手間をかけても着られるレベルで仕上がげられなければ代金は一切頂きません。

これが当店のシミ抜き&復元洗いになります。


ブログ一覧

Contact
お問い合わせ

お問い合わせはお電話・LINEより承ります。
お気軽にご相談ください。