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クリーニングで落ちないコーヒーのシミ~ご相談に来られたお店にお願いしている事~

今回も復元洗いにより除去していますが素材、状態により価格が変わりますので基本お見積りとなります。

今回のニット参考価格
ノーブランド・ラメ入りニット復元洗い

6000円(税込み6600円)

ラメ(金属繊維)が使われている場合、通常の酸化剤処理ができません。

お受けできるモノ、できないモノがありますのでご相談ください。

◆飲食店、美容室など業者様へお願いしている事とは

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友眞吾です。

飲食店、美容室等、業者からのご相談はかなり多くあります。

実はお客様ご自身が付けてしまったシミより業者からの相談のほうがシミ抜きの難易度がかなり高くなるんです。

その理由は、結果の判定が厳しくなる事です。
お客様からのご依頼の場合、多くの方は着られるレベル程度まで目立たなくなってくれれば、とご依頼されることがほとんどです。

当店としても問題なく着られるレベルに取れていれば(よく探さないとわからないレベル)繊維がダメになったりなど事故を回避できます。
何より目的は「着られるようにしたい」です。

これが業者からのご相談になると100%に近い状態まで取ることができないとお客様が納得されないと言ったことが起きてきてしまうんです。

受ける側としては100%取り切りたいと思い作業をしています。

でも、他店で「しみ抜き処理を全くしないで洗い、熱処理だけされて帰って来た状態」になっているとかえって落ちにくくなるシミって結構たくさんあるんです。

コーヒーもその一つ。
色素系のシミが残る場合、熱処理をされることで色素が繊維に定着してしまい落ちにくくなります。

ヘアダイなども同じで熱処理する=酸化を勧める=より強く色を定着させることになります。

服の色が抜ける場合、あとで色を直していくわけですが、シミの色が取れないと直りが悪くなります。
色に違和感が残ってしまうんです。

今回はコーヒーショップでこぼしてしまったこのセーターをお客様がクリーニングに出し取れなかったとクレームになりご相談、という流れです。

よくある流れなんですが、お客様にお願いしている事は、
「もし事故が起きてしまったらお客様にクリーニングに出してもらうのではなくいったん預かり持って来てください」という事です。

はっきり言ってしまいますが、今までの経験上ほとんどのお客様は普段利用しているチェーン店にシミ抜きで依頼していますがコーヒーにしてもお茶、ヘアダイにしても100%と言ってよいくらいおちることなく帰ってきます。

食べこぼし程度のシミで薄くはなっても残って帰ってきます。

取れないだけじゃなくシミ抜きはされていないので単純に落ちにくい部分が落ちず熱処理されるため落ちにくくなって帰って来る。

この状態で相談されるより何も手付けずに持って来ていただければほとんどのシミは綺麗に除去できます。

当店でももし取れなければ日本全国どこへ依頼しても落ちない、とご説明できる程度のレベルを持ってシミ抜きには取り組んでいます。

事故品は何もせずできる限り早く!

こんな場合はお受けした順番に関係なく、受けた時点ですぐに対応させて頂き出来る限り早くお客様にお返しできるよう進めておきます。

お受けする以上、付けてしまったシミはもちろんの事、今まで落ちなかったシミ、黄ばみなどもできる限り落とし、
お客様には逆に事故になってよかった
って思ってもらえる仕上がりを目指してやっています。


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◆ラメ(金属繊維)は酸素系漂白ができない素材

大きく分けると汚れは洗剤で落とし、洗剤で落ちないシミ汚れは漂白(酸化分解)で落としていきます。

条件などの組み合わせは無限にありますが基本的には洗剤と漂白で90%程度のシミ汚れは落とせると思います。

酸素系漂白剤は使い方次第となる薬剤になりますが使えない素材の中にラメ(金属)があります。

前回、酸素系漂白剤の酸化分解の説明を書きましたが、酸化剤なので酸化(腐食)を勧めることになります。

ここで言う酸素系漂白剤が使えない繊維というのは、品質表示を見て酸素系漂白剤に✖が付いているモノ、ではありませんので勘違いしないでください。

ほとんどの繊維は繊維と酸化剤を理解しきちんと調節して使えば酸素系漂白剤は使うことができます。

金属繊維は使えない素材、というか大丈夫なモノ、ダメなモノがあります。

酸化(腐食)は空気中に酸素があるのでゆっくりと進んでいます。
酸化は例えば建物の骨となる太い鉄骨が経年劣化で錆びてきて折れたりしますね。

これが酸化。
酸素系漂白剤は酸化を急速に進めていくような反応になります。

だから、金属繊維のラメは酸素系漂白剤などでシミ抜きしたりつけ置きしたりすると一気に腐食が進み光沢が無くなってしまうんです。

ほとんどはくすんだグレー色になります。

服に使われるラメ糸の場合、空気中の酸素によりラメが腐食しないようポリエステルコーティングされており酸素に触れないように作られています。

コーティングがひび割れたり切れたりしていなければ酸素系漂白剤も浸透しないため使うことできますが傷があるかどうかは見た目ではわかりません。

使用中の傷み、シミを取ろうとこすったり強いシミ抜きをしたりするとコーティングがその部分だけ傷み剥がれる、その状態で酸素系漂白剤を使うと浸透した部分のラメだけ光沢が消失してしまうんです。

クリーニングに出してシミ抜きしてもらったら色が変わったなど出てしまった服を何着も見ています。

家庭で洗える綿製品を綺麗にしようとオキシ付けしたら色が変わった(ラメがくすんだ状態)になったご相談も何件か受けています。

全体にラメ糸を織り込んでいるため消失した光沢を直す事は出来ません。

でも酸化剤を使わないとシミが分解できない場合、酸化分解できなければシミは除去できないんです。

お客様ご自身が付けたわけじゃなく事故品の場合、ラメが消失しちゃいました、では通らない事例です。


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品質表示からわかる事

メーカーの考え方、作り方などが読み取れるのがこの表示です。
この服はかなりしっかりとした服作りがされていることがわかります。
説明していくと・・・

まずは組成から、ウールが29%入っています。
組成に書かれている素材的にはこのウールが注意点となります。

素材の特徴は今回省きますが、アクリル、ナイロン、ポリエステルは水洗いしてもほぼ問題が起きることない素材。

この素材を踏まえて洗い指定を見てみていきます。
ウールが混紡されているので手洗い指定になっています。

洗濯機で洗ってしまうと、ウールは水分を含ませた状態で揉むと縮む、硬化してフエルト化するなど出てきますので手洗い指定になっているんだと思います。

横の三角形マークは漂白剤の使用指定で斜めに線が入っている場合は酸素系漂白剤が使えるという事です。

ここからわかることが先に書いたラメの知識があれば、しっかりとコーティングされたモノが使われている事がわかります。

洗い指定で漂白剤使用可となっているという事は通常使用とか洗濯では剥がれない強度のコーティングがされているんだな、と予測ができます。

通常使用で半年、1年程度で剥がれが原因で変色などが起きてしまうと化繊(平均使用年数3年)の混紡率が高いので60%~80%程度の保証をすることが法律基準となるからです。

あくまで予測ができるという話で、実際にやってみたら部分的に光沢が消失したって事もあるので私たち業者がやる場合はかなり注意が必要なんです。

変色しちゃった、って言い訳は通りませんから・・・

ほとんどのラメ製品は酸素系漂白剤も✖とされ可となっているモノは滅多にありません。

そしてここでの注意点は酸素系漂白剤は液体ならOKだけど粉末はアルカリ性になるのでウールを脆化(ぜいか。溶けて細くなる)させてしまうという事。

ワイドハイターなど液体の酸素系漂白剤はそのまま使ってもほとんどシミ落とせません。
酸化分解力が弱いのでシミが落ちない=ウールを脆化させないんです。

シミを落とすためにはアルカリ剤などを使ってアルカリに傾けて使うのですが、酸化分解によりたんぱく質も分解されるようになるため脆化が起きてしまうんです。

家庭で洗っていく上での注意点はこれくらいかな。

クリーニングに出す際の注意点もこの表示からアドバイス。

クリーニングの考え方、実際の作業内容なども変わってきており、チェーン店のほとんどは洗い指定通りに洗う商業クリーニングになってきています。

洗う事の目的が、落とさなければいけない汚れを落とす事ではなく、洗い指定に従って洗う商業的なクリーニングになってきているという事です。

クリーニングに出せば何でも綺麗になると思われている方って今でも多いのですが、そうではないって事を理解して上手に利用していく事が大切です。

〇にFがドライクリーニング、○にWがウェット(業者の水洗い)指定になります。

下のアンダーバーは無しは普通に洗える、1本はソフト洗い、2本はさらにソフト洗い指定となり基準は機械力で記されているので家庭ではわからないし関係がない指定になります。

ドライクリーニングとウェット両方が可となっている場合、チェーン店に何も指定せず依頼するとドライクリーニングとなります。

理由としては、水洗いは風合い変化、縮み変形、型崩れが起きやすいし乾燥に時間がかかる洗いとなり、
ドライクリーニングの溶剤は繊維にしっかり含ませてもほぼ膨張もしない、水より比重が軽いため変形も起きにくく乾燥も早くなります。

今回のこのセーターもドライクリーニングをされただけ・・・
落ちない洗い方+熱処理をされてしまっているため単純に落ちにくくなって帰ってきた状態になります。


◆金属を腐食させない酸化分解(漂白)

家庭で手に入る酸化剤(漂白剤)はキッチンハイターなど次亜塩素系漂白剤、酸素系漂白剤は液体ワイドハイター、粉末ワイドハイターなど液体と粉末があります。

この3種しかないんじゃないかな。
服の漂白剤としてはこの3種でほぼ事足りると思います。

ただし、塩素は服に使う場合は最終手段にしたほうがいいですね。
塩素はいろんなものに反応するため真っ白の服でも変色し直らなくなるケースもかなり多く、繊維自体をかなり傷めます。

効果の出る条件をそろえて上手に使っていけば家庭で洗える服のほとんどは綺麗にできます。

画像は酸化分解させるために浸け置きしています。
私たち業者は知識を持って使うことが前提となる専門職となります。

だから一般家庭では手に入らない劇薬物なども使いながら綺麗にしていきます。

今回使っている酸化剤はラメなど金属を腐食させにくい酸化剤。
実は同業でも知らない人が多い酸化剤になります。

金属の付属品などが多く付いているモノ、ラメなど金属繊維が使われているモノは腐食させない酸化剤で酸化分解をしていきます。




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◆ラメ入り、ウール混紡ニットを復元洗い

仕上がりです^^
一度目の復元洗い後、一旦乾かしうっすらと見えるかな?と言う事で再度復元洗い。

当店の場合、3回までの洗い直しまでお見積金額内でやらせてもらっています。

今回使った酸化剤はほぼ中性の酸化剤。
酸素系漂白剤はウールを脆化させないようアルカリを調節して使っていきますが中性なので繊維を脆化させることなく酸化分解することができます。

白いウール、カシミヤ製品など全体的に出てきたうっすらとした黄ばみ除去程度であれば質感、風合いを変えることなく酸化分解漂白ができます。

このセーターもお受けした時は少し黄ばみがかった水色系でしたが黄ばみが取れ新品時に近い色合いが出てきています。

淡い色に酸化黄変が出てくると薄汚れた感が出てきますが、色変化が起きていなければ新品時に近い色合いが戻ってきます。


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◆クリーニングで落ちないコーヒーのシミ~ご相談に来られたお店にお願いしている事~ まとめ

今までにもクリーニングに出しても落ちなかった事故品のご相談を何件もお受けしています。
預かった時よりシミが薄くなっているとお店側から言われ、これ以上は取れない、と代金を払ってから相談されるケースも何度かあります。

このセーターもお客様がご自身で出したクリーニング+しみ抜き代合わせて数千円もお店側で負担、当店での復元洗い代金もお店側で負担しています。

お店側から「お客様ご自身でクリーニングに出して、代金は領収書を持って来てもらえれば支払います」と言ったケースもよくありますが、
カラー剤付着等の場合は何件も出して取れないのに、その都度かかった代金の全ては負担してはくれないと言ったことも起きています。

お店側の不注意なのにシミは取れない、出したクリーニング代金全ては負担してもらえない、何より何件ものお店へ相談にもっていくこと自体大変。

当店に最初から持って来てくれれば・・・と思うばかりです。

少なくてもおしゃれ工房You友で取れない場合、地元ではどこへ出しても取れることはないレベルはもっていますので、どうしても落とさなければいけないシミなどがありましたら何もせずできる限り早く持ってきてください。


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