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バッククリーニング~受け取った時は綺麗だったのに時間と共に黄ばんでいくのは?~

バックをクリーニングに出したところ、受け取った時はきれいだったのに、置いておいたらどんどん黄ばんでいったという事例です。
よく見ると、原因が異なる黄ばみが出ており、全体の変色と接着剤の染み出しが重なっていました。
黄ばみの出方から原因を想定し、それぞれ別工程で処理した内容をご説明です。

今回のバッククリーニング内容
黄ばんだ原因を中和、全体復元漂白
接着剤のシミ出し除去

今回のバック参考価格
16000円(税込み17600円)





◆受け取った時はとても綺麗だったのに・・・

静岡県浜松市の服の染め直し・バック、お財布の色直し専門店
おしゃれ工房You友(ゆうゆう)店主 大友眞吾です。

今回はクリーニング店ではないお店へ依頼したバックです。

受け取った時はとても綺麗になり喜んでいたけど、使っていないのにどんどん黄ばみが出てきて、3~4か月したら出す前よりひどい黄ばみに・・・

今までにも同じような相談は何件も受けています。
バックだけじゃなく、服でも和服でも同じような事例があります。

経験上、どうしてこうなったかは見るとわかります。

答えから言うと、漂白剤系のしみ抜き剤を付けて黄ばみが取れたあと、漂白剤を洗い流すことなく帰ってきた状態です。

こうした黄ばみは、接着剤の劣化で出る黄ばみ方とは違います。
接着剤の劣化なら部分的に出ることが多く、今回のように全体が均一に黄ばんでいく出方にはなりにくいです。
保管や外側の条件で変色することがあっても、クリーニングから戻って3~4か月でここまで全体に黄ばんでくるなら、何かが全体に残っていたと考えるほうが自然です。

しみ抜き剤にしても漂白剤にしても、付けるだけなら簡単です。
ハンドスプレーに入れて吹き付けるだけですから。

問題になるのはその後の処理です。
スプレーすることはできても、繊維に染み込んだ薬剤をきちんと洗い流すことは難しいものがたくさんあります。

バックもそうですが、和服や洋服でも水洗いができない物に広範囲に付けると洗い流せなくなります。

洗い流せないとどうなるか・・・
画像の通り、さらに黄ばんできたり変色が出てしまい、簡単には取れなくなってしまいます。

誰かがクリーニングの知識がない人へ教えているといった話も耳にしています。

そもそも黄ばみが出る原因を理解していないんです。

出る物、出ない物、リスクが高い物などを判断できるスキルを持っていないんです。

吹き付けるだけで問題が出ることなく黄ばみが取れたら・・・とても便利だし、そんな方法と薬剤を見つけたら特許が取れるんじゃないかな。

バック角、色入れ、補修~TVで放映された動画ご紹介と補足説明~

黄ばむ原因

クリーニング業界では30年ほど前に販売され、今もある「イエローカット」と言う商品があります。
一般の方は手に入らないんだけど、自分が知る限り、この薬剤を付けて綺麗になったらそのままでOKと書かれていたと思います。

すすぎは必要ないという事です。
わたしも販売されてすぐ試しに使いましたが、すぐにすすがなきゃだめだよと仕入れ先の資材商に伝えました。

すすぎは必要ないという事です。
わたしも販売されてすぐ試しに使いましたが、すぐにすすがなきゃだめだよと仕入れ先の資材商に伝えました。

私は初めて試すものは、メーカーの言葉をそのまま鵜呑みにせず必ずテストします。
すると吹き付けた部分が3週間ほどたつと黄ばみが出てきたんです。
時間がたたないと黄ばみが出てこないので、気が付く人はかなり少なく、メーカーも気が付いていないかもしれません。

お客様の手元で黄ばんできたとしたら信用問題になるし、黄ばんだ責任は使った自分にあります。
なので同じように何点かテストをし、この商品を使うのをやめたんです。

商品名を出したのは、黄ばみが出るものと出ない物があり、出る物に使ってしまうと高確率で黄ばみが出てくる商品だからです。
40年くらい前に出た物なので、当時を知らない2代目、3代目の人は知らない人が多いと思います。

黄ばみが出る物に吹き付けて放置してしまうと、お客様に渡したあと、お客様の手元で黄ばみが出てきます。
技術を売りにするお店の場合、これはかなり致命的なミスになると思います。

今回のように全体が均一に黄ばんでくる場合は、部分的な汚れ残りや接着剤の劣化とは出方が違います。
全体に同じような出方をしているなら、全体均一な状態で何か原因となるものが付いていた、おそらくはスプレーによる吹き付けです。
しかもクリーニングから戻って3~4か月程度で出てくる場合、保管による酸化黄ばみが出たとは考えにくいです。

ちゃんとしたスキルを持ち、注意点などを踏まえて使わないと事故が起きるって事です。

私自身、メーカーの説明をそのまま鵜呑みにすることなく、まずはテスト的に使ってみて、本当に良いものなら取り入れていきます。

数点ほど試し、2週~1か月程度様子を見ていたところ、1週間程度でうっすらと黄ばみが出る物、1か月程度でかなり黄ばんできた物が出てきたんです。

すると資材商はメーカーに確認をし、返ってきたのは「かなり使ってもらっているけど問題は出ていない」との事でした。

そして1年ほどたった頃・・・「これは黄ばみが出てくるものがあるから、すすがないとダメ」と資材商が言ってきました。

メーカーが黄ばみと言ったのではなく、実際に使ったクリーニング店から黄ばみと言ったクレームが出てきたんです。

家庭でも洗剤や漂白剤を使ったら必ず洗う、家庭で洗えない物には付けてはダメと言われる理由も、時間と共に変色を起こしたりするからです。

私はこうした不具合が起きるのはある程度時間がたってからだと考えているため、新しい方法や薬剤を使う場合は、最初に使ってから1~3か月程度は時間を置いて観察したりしています。

人から聞いた情報をそのまま鵜呑みにすることはなく、自分で確認をします。
たとえ商品による不具合であったとしても、お客様の服に使った場合は自分の責任になるからです。

クリーニングから帰ってきたときは綺麗だったけど、翌年着ようと思って出したら変色が出ていたって経験のある方も多いと思います。

空気中の酸素による酸化だったり、湿気などに反応して少しずつ変化しながら変色になっていきます。
脇やエリの黄ばみなども、時間をかけて少しずつ黄ばんでいきます。

色々な反応によるシミ、変色

全体的な黄ばみは、付けた薬剤と薬剤による反応、それに空気中の酸素による酸化が重なって出てきたものです。

バック画像をよく見ると、縫い目付近に帯状に黒く見える部分があります。

バックを縫製する際、動かないように接着剤を使って貼り付けてから縫っていきます。

この接着剤は空気中の湿気により溶け出してきます。
接着剤の量が多いと、溶け出した際に表まで浸透して出てくるため、この状態でシミ出してきます。

この現象を【加水分解】と言います。
加水分解は合成皮革や人工皮革、薄い生地でも通風性を遮断して保温性を高めるボンディング加工、コーティング加工など、樹脂が使われる物全般に起きてきます。

樹脂製品、樹脂加工製品はクリーニング賠償基準でみると平均使用年数は2年、2倍の4年程度経過すると、いつ起きても不思議のない時間経過とされています。

マッキントッシュのゴム引きはウレタン樹脂ですが、平均使用年数3年、2倍の6年経過すると、いつ寿命が来てもおかしくない時間経過となります。

ただ、今回のような全体に均一な黄ばみは、この接着剤のシミ出しではありません。
接着剤のシミ出しは縫い目付近など限られた部分に帯状や線状で出ることが多く、全体が均一な状態でに黄ばんでいく出方とは違うからです。

このバックも縫い目付近には接着剤のシミ出しが出ていますが、内側から表まで染み出しているため、取れないと言われることがほとんどです。

当店でも取れる物と取れない物があるため、全体の黄ばみ変色は取れますが、シミ出しはやってみないとわからないとご説明しています。

◆仕上がり 全体黄ばみ落とし

まずは全体の黄ばみ変色落としです。

お客様が使っていくうちに出てくる黄ばみを落とすのと、手を付けられて起きた変色を落としていくのとでは訳が違います。

使っていくうちに何となく黄ばんできたのであれば、工程的にもバック自体にあまり負荷をかけずに除去できます。

でも今回のように全体が均一に黄ばんでいて、しかも数か月で進んできたものは、普通の黄ばみ落としとは異なります。
何かしら手を付けたことで起きた変色なら、黄ばみを落とすだけではなく、黄ばみを作った原因を中和などで止める必要があります。

何をしてこうなったかはあくまで予測しかできないので、こうなる原因を考えながら順番に処理をしていきます。

基本的には汚れは洗剤で落とすものです。
黒ずみ汚れなどを落とすのが洗剤の役割です。
洗剤で落ちない色素系のシミや黄ばみは、酸化分解で落とすと役割が違います。

何かしら手を付けられて不具合が起きてしまうと、今度は中和をしていくという作業が必要になります。
酸化分解されると目には見えない状態になりますが、その場に残っています。
この汚れの中には、酸化分解されると水に溶けにくい不溶性になるものがあります。

この汚れがまた繊維と結合し、また分解と繰り返すごとに落ちにくくなり、黄ばみもどんどん濃くなっていきます。
再び黄ばむまでには時間がかかるため、お客様の手元で数か月後にまた同じように黄ばみが出てしまいます。

分解と結合を繰り返すと、丈夫な繊維でも腐食が進み、ボロボロになって欠けたり穴が開いたりもします。

現状残っているクリーニング店、バックなどの専門店で、ここまでちゃんと理解して取り組んでいるお店はほぼ無いくらい少ないと思います。

何故なら、私自身は誰かに教わった事ではなく、自分で実践しながら学び作ってきた技術だからです。

お客様の手元で変色などが起きないよう、アルカリ中和、酸化中和まで処理をしています。

今回も酸素系漂白剤による黄ばみを想定して処理をし、全体の黄ばみ変色は綺麗に除去できました。

お客様には、同じように数か月程度で黄ばんできたらやり直しするから持ってきてくださいとお伝えしてお渡ししています。

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接着剤の溶け出し(染み出し)除去

接着剤のシミ出しです。
これは洗ったり黄ばみ取り工程をしても全く落ちることはないシミです。

接着剤を除去しないと落ちないため、全く別工程となります。

同じような現象がよくあるのがプラダのナイロンバックです。

同じナイロンバックでも作られる場所やロットが違うため、出る物と出ない物があるようです。
出る物は縫い目付近全体に同じように黒ずみが出てきたり、黄ばんだりしてきます。

取れるかどうかは状態と使われている接着剤次第になります。

基本的には黄色から茶系に変色まで起きていると、取れない物が多くなります。
溶け出して染み出すと黒ずんだようなシミになります。

見た感じは油シミのような感じです。
時間と共に加水分解した状態から水分が抜けるとパリパリになり、変色していきます。

例えば段ボールに貼ってあるガムテープを時間がたってからはがすと、ペタペタ糊残りします。
テープの接着剤が溶け出した状態、加水分解している状態です。

そのまま放置しておくと水分が抜けてカサカサになります。
合成皮革などがひび割れたり剥がれてきたりするのと同じような状態です。

そのまま放置していくと、透明感のある接着剤がだんだん黄ばんでいきます。
空気中の酸素などにより酸化し黄ばみが出てきます。

今回のバックでも、全体の黄ばみとは別に縫い目付近には接着剤のシミ出しが出ていました。
この黒ずみは全体黄ばみとは原因が違うため、同じ処理では落ちません。

状態からおよその予測ができます。
内側から表面に溶け出して出てきているため実際にはやってみないとわからなのがこの樹脂系のしみになります。

同業の方であまり詳しくない方は、状態や判断基準の材料として参考にして頂いて大丈夫です。

経験上、この程度の状態までなら取れる、ここまでの状態だと取れないなど、予測にはなりますがお受けする時にご説明させて頂き、お見積りを出させて頂きます。

一番落ちにくかった部分

最後まで残っていた部分です。
ポケット以外の部分のシミ出しを取った後の画像です。

ポケットなので、開けたり閉めたりするため傷みも激しい部分だし、溶け出ししやすい部分です。

このシミ出しの落とし方にも段階的に方法があり、今回のこの部分はおそらく除去作業をしながらさらに悪化してきた部分です。

付けてある接着剤全部が加水分解している、劣化寿命が来ているわけではなく、表面から少しずつ進んでいきます。

どこまで溶け出しているか、溶け出して時間と共にどの段階になっているかで方法が変わってきます。

簡単に取れた部分は、除去工程で残っている接着剤が染み出すことなく取れたと思っています。

この角の稼働する部分は、動かない部分と比べて溶け出しが進んでいたのか、接着剤の量が多かったのか・・・

しみ抜きにより表面の溶け出しは取れたけど、さらに下の溶け出しが染み出てきたため、お預かり時より濃いシミとなってしまいました。

接着剤のシミ出しは、表面だけ取れれば終わりではありません。
下に残っている接着剤の状態によっては、作業しながらさらに染み出してくることがあります。

※接着剤の溶け出し染み出し除去のところの画像を見て頂くと、ここまで染み出しが出ていなかったことがわかります。

バック類は縫い目付近にしか接着剤が使われていませんが、服のボンディング加工やコーティング加工は服全体に接着剤が使われています。

洗う事で全体に染み出しなどが起きてしまうと、除去できなくなる可能性もあります。

長く綺麗に使っていきたい服は、これらの素材に合ったお手入れをしてくれる個人店へ依頼することをお勧めします。

◆バッククリーニング クリーニング後に黄ばんでいく理由・まとめ

時代の流れと共に、お客様ご自身もクリーニングの品質まで見られるようになってきています。
時代の流れと言うのは、ひと昔前までは単純にクリーニングに出す事が最上級の洗濯方法と思われている方が多かったんです。

そして安価なチェーン展開している会社も、クリーニングの当たり前をある程度は考えていたともいえるかと思います。

当たり前と言うのは、質感や風合いなどに変化を出すことなく服の汚れを落とす事です。
白い服は白いままに、色柄物は色鮮やかに仕上げ、クリーニングすることで服が傷むなんて事が無いようにお手入れをしていく事です。

私自身、情報を貰うためにクリーニング関係のある会員になっています。
そこの会長ともよく話したのですが、技術は盗むものから買うものへと変わってきました。

自分で作っていく技術は「門外不出」で、誰にも教えないものでした。
自分で試行錯誤して考え、失敗しながら作っていくものです。

技術が買えるようになると、大切な基本を飛び越していきなり高度な事ができるようになる。
高度なことができるけれど、簡単なことができない・・・

黄ばんだもの これ吹き付ければ黄ばみ取れるよ
どうして取れるんだろう
吹き付けた物はそのままで大丈夫
そんな疑問も持てない技術者になっていきます。

今回のように、受け取った時は綺麗でも数か月後にお客様の手元で黄ばみが出てくるのは、まさに基本が抜け落ちたまま薬剤を使っているからです。
取る事だけを見て、その後どうなるかまで考えていないと、こういう事が起きます。

疑問を持つ事、アイディアを出す事がクリーニング技術者にとって大切な事です。
私が何時もすごいなぁって思う方のセミナーは、一つの事をいろんな角度から見る事、観察する事、アイディアの出し方を教えていました。

方法を教えるだけの技術系のセミナーが多いのですが、それでは自分で考え作っていくことができなくなります。

同業の方と話をした時、この手の話をすると誰も興味を持たないし、すっと自分のそばからいなくなります(笑)

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)の理念は

「ライフタイムクリーニング」

身に着ける大切なモノを生涯にわたり綺麗に愛用できるお手入れをする事

そんなお手入れをしてもらいたいって願う方に利用して頂きたいお店です。

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