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セリーヌワンピース 脇の黄ばみ、全体のくすみ取り~必ず色のくすみが出る理由~

セリーヌ綿麻ワンピース復元洗い

復元洗いとは通常のクリーニングでは落ちない全体のシミ、色のくすみ、黄ばみ、カビシミなどを落とすための洗いです。
素材、デザイン、色柄、状態などで金額が変わります。
復元洗いは基本現物を拝見してからお見積りとなります。

参考価格

今回のセリーヌワンピース復元洗い
15000円(税込み16500円)


LINEでのご相談がとても喜ばれています。
どんな感じで、どんな流れになるのかを実際にご相談、回答をした内容を実例でご紹介しています。

迷われている方は下記を一度ご覧ください。

~ロロ・ピアーナカシミヤストール風合い直し~LINEでの相談の流れを実例でご紹介~


◆クリーニングに出していても確実に黄ばみます

おしゃれ工房You友(ゆうゆう)大友 眞吾です。

当店の場合、クリーニングに依頼するというより、相談をしたいというお客様がとても多いんです。
先日、初めて来店いただいたお客様からご相談をお受けした際、クリーニングに付いて説明をしていたところ、知らない事だらけで驚かれ・・・

一言「服のお洗濯はクリーニングに出すのが最上級と思っていた」と。

何度か同じような事例をご紹介してきましたが、とても大切な事なので・・・

クリーニングに出していても確実に黄ばんでしまう事例のご説明です。

白い部分が黄ばみくすみが出ている、脇の下には黄色い汗シミが出ている状態。
でも大切に着られていたのが服の状態からわかります。

画像はお送りいただいたワンピースをそのまま広げて撮った画像です。

綿麻製品は一度着ればシワになりますがシワもそれほどついておらず綺麗な状態。
フリルも折れ曲がりもなく綺麗な状態ですが、水洗いをされていないのがシワの具合、フリルの状態から見て取れます。

全体的にまだ新品時の質感、風合いが残っているので着る機会を選んでいたのかもしれませんね。

綿、麻製品で白など明るい色は水洗いしていかないと綺麗な状態を維持できない素材です。

全体的に色がくすんだり黄ばんだりするのは空気中に酸素があるから。
酸素により酸化することで酸化物は腐食していくからです。

着ずに置いておくだけでも黄ばんでいくのは空気中の湿気に溶け込んだ汚れが蓄積していき、汚れ(酸化物)が多くなると酸化する速度が上がってしまうため黄ばみが目に見えてくるようになります。

脇、襟などは空気中の湿気に溶け込んだ汚れの蓄積より、直接肌に擦れつく皮脂、汗の成分のほうが付着量が多くなるため、どこよりも先に酸化物が多くなって黄ばんでいくからです。


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◆ほとんどの人が知らないクリーニング店の洗い方法

「クリーニング店に出すのが最上級の洗い」
そう思われている方も多いのでは?と思います。

まずはこの表示の意味。
これは服の保証書になっています。
メーカーは不具合が出ない洗い方をテストして記すよう法律で義務付けられています。

指定に従って不具合が起きた場合、基準に則った保証をすることを法律で義務付けています。
とても大切な事だけどほとんどの人が知らない・・・

本来なら販売店、クリーニング店ともお客様に説明をしていくべきことだと思っています。

売る側はドライクリーニングと水洗いを理解していて、表示の意味まで分かっていると服が売りにくくなる・・・
実際に経験したのですが、素材、洗い方など店員さんに質問され答えていたところ、店長さんから「余分な知識を入れないでください」とお叱りを受けた事があります。

シミが付くと取れない素材、夏服で水洗いが出来ない指定になっている服を店員さんが進められなくなってしまったからです。

あ、でもこれはかなり前のお話。

今は売った服のメンテナンスまで考える、売った服は着られなくなるまで面倒を見る!って考えるお店も増えてきています。

クリーニング店としては・・・
表示に✖が付けられている事をすると不具合が起きた場合、法律上クリーニング店が保証しなくてはいけなくなります。

高額品の場合、しみ抜きで出しても手付けられない事も多く、洗い方も汚れを取るというより無難な工程で洗うだけ、となることが多くなります。

簡単に取れるようなシミでも手付けられず「これ以上は繊維を傷める恐れがあるため取れません」の札と共に帰ってきてしまいます。

この札とともに帰ってきた服のシミが当店のクイックしみ抜き500円で取れ驚かれるお客様は多いんです。
しみ抜きで代金はかかっていなくてもクリーニング代金数千円はかかっているってケースが多いんです。

それともう一つ、【クリーニング店でやらないことは説明もされない】という事。
例えば和服。

汗をかいても汗をしみ抜きで洗い流すという工程までするクリーニング店ってとても少ないんです。
しみ抜き設備がなければできないんです。

和服クリーニングは特別だと思われている方も多いようですが、服のドライクリーニングよりもっとソフトなドライクリーニングになります。

だから汗は落ちないんです。

汗取りとして染み抜き代金がかからない場合、汗はそのまま残って帰ってきています。

当店で説明すると、そんな話はされたことが無いって言われます。
説明が無いからすべて綺麗になっている訳ではないんです。

クリーニングが最上級のお手入れ、としたい場合、まずは何をしてほしいのかを受付時に伝える事が大事です。

着た服の状態は着た本人が一番よく分かっています。

・汗を落としてほしい
・シミが付いたから落としてほしい
・型崩れした、縮みが出てしまったから修正してほしい など・・・

伝えて初めてその希望の仕事がそのお店で出来る、出来ないなどの回答が返ってくる確率がぐんと上がるんです。

出来ない事、やらない事は、【出来ないから説明が無い】という事を覚えておくといいかと思います。

繊維に対してプロと言えるお店ならわからないことは相談すればちゃんと説明をしてくれます。
本来クリーニング店にはどんな事をして洗うのかなど、説明することが義務付けられていますから。

チェーン店の受付はパートさんなので聞いてもわからないんです。

やんわりと言葉にしても伝わらないので今回ははっきりと書かせて頂きました。

チェーン店で出来る事もあれば出来ない事もあります。
また、当店のような個人店だから出来る事もあれば、逆に個人店では出来ない事がチェーン店では出来るという事もあります。

【それぞれのお店の得意とする仕事をしてもらうよう出し分ける】ことがお客様の満足度を高めることに繋がります。



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◆今まではあまり重要視されていなかった仕上げ

ひと昔前まで「汚れが落ちない」「シミが取れない」というクレームばかりだったのですが、ここ数年、【仕上がりの品質】を気にされる方が多くなってきています。

ブランド品でもシワになっていたり型崩れをしていたら価値が無くなってしまいます。
スーツでも「襟がヨレている」「折り目が付いてペチャンコになっている」など直してほしいという依頼も多くなっています。

仕上に関しては今回のようなワンピースの場合、細かなところまですべて手仕上げしていかない限り、デザイナーがデザインした服としては仕上がらないんです。

機械仕上げでは出来ない仕事なので、チェーン店では出来ることがない仕上げになります。

洗う事、しみ抜きをする事よりアイロンで仕上げる技術のほうが遥かに難しくなるからです。


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小さなしみと全体のシミ、変色を取る時の難易度の違い

今回は画像ではよくわからないかもしれませんが白い部分がくすみストライプも黄ばみがかっていました。。

ストライプに関しては色まで抜けていなければ青みの鮮やかさが戻りますが、色の退色が出ていると黄ばみが残るのでスッキリとしたストライプには戻らないんです。

最悪、ストライプのくすみが色抜けすることで悪化する可能性もあります。

このこともお客様にはお伝えしています。

全体の変色などを取るのもお客様からすると「しみ抜き」になるかと思いますが小さなシミを取るのと全体では仕事内容は全く別物です。

1~2センチの大きさのシミを数か所取るのははっきり言って簡単な作業になります。
服全体には何も影響が出ないので、シミだけ取れればOKなんです。

全体の場合、服の縮み、風合い変化、退色など様々なことを想定し、できる限り出ないようにシミを落としながら洗うという工程になります。

そして一番大変なのは、縮み変形などが出た場合に修復しながら仕上げていく事です。

綿、麻製品は水洗いをすると全体がしわになります。
洗い終わった後、干すときも型崩れを修正して干し、出来る限り仕上げをしやすくなるよう自然乾燥で乾かしています。

熱乾燥は小じわが出来るし縫い糸が縮み周りにシワ(パッカリング)が出たりします。


◆仕上がり 加工剤の違い

素材により色々な加工剤があります。
時折、柔らかくなる事が品質の良い仕上がり、とちょっと勘違いしているようなお話も聞いたりしますが・・・

例えばウールスーツを水洗いすると汗の硬さが取れ柔らかくなる、と柔らかくなる事だけを考えると腰が無くなりクタクタ感が出てきます。

水洗いすると軽く感じるのは汗によるペタ付きが取れることで滑りも良くなりスッと着られるようになるからです。

加工剤と仕上げ方法によりしなやかさが戻り、シャキッとする仕上がりになります。

今回のワンピースはパリッとさせるためにサイジング加工をしています。

シャキッとさせるために天然糊から化学糊、サイジング加工剤も色々と試しています。

今のサイジング加工剤の決め手は湿気によるしわ戻りが無いって事です。

例えば天然糊でもパリッとさせることができますが、湿気が多い夏場になると、仕上げたあと吊るしておくだけで空気中に湿気を吸い込む事でクタッとなったりしわ戻りしたりするんです。

特に糸が細い薄手の生地はパリッと感が無くなってしまいます。

空気中の湿気ではしわ戻りしませんが、着て汗をかいた時の吸水性が無く弾いてしまうとペタ付が出て着にくくなってしまう。

なので、今回は汗をかいた時の吸水性があり、湿気程度ではしわ戻りしないサイジング加工剤を使っています。

一度着て汗になればもちろんしわになりますが、お客様にはおろしたての服を着る楽しみもお届けしたいため当店では仕上げにこだわっています。

(※ここまでの仕上げは手仕上げオーダー、復元洗いなどの場合。通常クリーニング代金内ではここまでの仕上げはしていません)

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◆セリーヌワンピース まとめ

全体のデザインはトルソーに着せて確認しています。
縮み、型崩れが出そうな服は洗う前のデザインを画像に撮り洗い後にデザインを確認しながら仕上げていきます。

今回は首元と胸元周りのフリルが大変!でした。
と言っても妻が仕上げたのですが(笑)

ハンドスプレーでアイロンをかけていく部分だけを湿らせ、アイロンの先端をフリルの根元まで入れ仕上げています。

フリルが綺麗に広がり折れシワなどないようぐるっと手仕上げで仕上げています。

デザイナーがデザインしたイメージはこんな感じですね。

イタリアに「一番贅沢で高級な素材は綿製品」ということわざがあると昔聞きました。

このワンピースもこの状態で着るためにはお金を出して綺麗に仕上げてくれるお店へ依頼するか自分で時間と手間をかけて仕上げなければ着られないんです。

これが一番贅沢で高級な素材と言われる理由だそうです。

このワンピースも一度着ればしわになります。
そして、このワンピースを水洗いして汗を落としてくれるクリーニングをしてくれるお店はとても少なくなります。

水洗いをしてもらえないで使っていくと数年後にはまたくすみ、黄ばみなどが出てしまう・・・

水洗いしてこのデザインがしわになった時・・・この仕上ができないと水洗いは出来ないんです。

洗い指定が水洗い✖、クリーニング店向けのウェットクリーニングにも✖。
たとえ高いコースへ依頼していたとしてもハイブランド品など高額品になるほどリスクが少しでもあることはされない。

汗が落ちる落ちない、汚れが落ちる、落ちないは関係なく無難なこと以外は何もされなくなる。

これが黄ばんだりくすみが出てしまう理由なんです。


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