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樹脂加工など経時劣化が起きる服~品質表示に記されている服もあります~

コーティング、ボンディング加工製品
クリーニング参考価格

今回のマックスマーラコート
8500円(税込み9350円)

熱により樹脂は溶け出し剥がれやすくなるため
樹脂の寿命を早めないよう洗い全て自然乾燥。

素材、状態により価格は変ります。

表生地にべたつき、溶け出しによるシミなどが出ている場合、お受けできるモノとできないものがあります。

最近受付時に疑問、質問されることも多い商品ですのでブログ内でご説明させて頂きます。

◆マックスマーラ 樹脂加工コート

静岡県 浜松市 高額品、特殊品もすべて当店で洗い仕上げるお店
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友 眞吾です。

前回ディオールコーティングコートのご紹介をしましたので今回も引き続きコーティング、ボンディングなど樹脂加工されたマックスマーラコートをご紹介します。

特別何かするわけではなく、樹脂の寿命を早めることなくクリーニングをするだけですので今回は品質表示の重要性も踏まえご説明させて頂きます。

まず、このコーティングとかボンディング加工は何故されているのか?
よくお客様から質問されます。

これらの加工は基本的には通風性を遮断し保温性を確保する目的が多いかと思います。
その他だと風合いとか質感を出すためもあるかと思います。

生地は一本の糸を織り込んで一枚に生地が作られています。
緻密に織り込んでも織りのわずかな隙間から空気が通るためコーティング、ボンディング加工などで織りの目を塞いでいます。

冷たい外気を遮断することで保温性が保たれます。
若い方だとちょっと想像しにくいかもしれませんが、昔のコートってこれら加工などされていなかったため保温性の高いコートってものすごく重たかったんです。

厚くて重たい・・・
もっと軽く動きやすく機能性の優れたコートを作るためにこうした加工が用いられています。

昔と比べると暖かく保温性があるのに、すごく軽くて機能性も高い服が作られるようになったんです。

わざと寿命が来るように作り、ダメになったら新しく買わせようとするような加工など言われる方もいますが・・・
時代の流れと共に生まれてきた機能性の良い服だと私は考えています。

私たちの仕事は時代の流れと共に進化しながら新しく生まれてくる素材、服を綺麗に長く愛用していくためのお手入れをしていく事です。

加工製品であれば経時劣化すると言われるこの素材の寿命を早めることなく洗いお手入れしていく事。

最近では樹脂加工製品は経時劣化する素材という事もかなり浸透してきています。
その中でもお洋服が、おしゃれが大好きな方から樹脂製品の質問、クリーニングする時の注意点など良く受付時に質問される機会が増えています。

樹脂加工の有無に限らず、服はある程度は消耗品です。
それでも20万、30万以上するような服が3~4年で不具合が起きてくる、不具合が出ると簡単に素材の寿命といわれるだけの結果となる。

本来消費者を守るための賠償基準ですが、この基準を逆手に取り説明をされるようになってきています。

クリーニング店の場合だとクレームになるため劣化現象が起きても保証できないと事前説明されるかと思います。

ここで一番重要な事は・・・
クレームにならないようにするためだけの説明なのか、説明した事が起きないようにやってもらえるのか、です。

私も説明をした際、保身のためにこんなめんどくさい説明しているんでしょ?と言われたこともあります。

新品を扱う仕事ではありませんのでお客様との信頼関係がとても大切になる仕事です。

お金を払って依頼する以上、お客様ご自身が信頼できるお店へ依頼されるのが一番だと思います。

形見分けのお洋服 ヘルノロングダウンコート~ライフタイムクリーニング~

◆品質表示に明記されている経時劣化説明

樹脂加工製品はクレームが絶えない、とても多い素材なのですが・・・
お客様ご自身がどんな素材なのか説明してもらえるとこが無いって事が問題だと思います。

最近では樹脂加工製品は賠償基準では平均使用年数2年とされているためチェーン店でもクレームにならないよう事前説明をするお店がとても多くなっています。

販売する側は樹脂加工製品の事を知らないのか、2年でという説明をすると服が売れなくなるので説明されないのかはわかりませんが・・・

劣化はクリーニングにより一気に出てくることも多々あります。
劣化の初期は目には見えていないことが多く、クリーニングすることで一気に出てくることって多々あります。

クリーニング店は洗い指定に従い不具合が起きた場合、責任の所在はクリーニング店ではなくメーカー側になります。
お客様はクリーニングした事で起きた不具合はクリーニング店へクレームとなりますが・・・

洗い指定に従っている場合、責任所在はメーカー側となり、メーカー側の説明も経時劣化による素材の寿命と言われてしまいます。

実際この事例かなり増えています。

賠償基準で平均使用年数として定められている年月の2倍経過すると減価償却も終わり服としての保証価値は限りなくゼロに近づきます。

これらを踏まえて・・・マックスマーラコートの品質表示と一緒に付けられている説明タグです。
左側にはポリウレタン樹脂加工した生地、としっかり明記されています。

下には経時劣化の説明も明記されています。

さらにその下にはこの商品の耐用年数は3年です、としっかり明記されています。

そして取り扱い、保管方法によりもっと早く劣化する事も明記されています。

保管方法は湿気の少ない乾燥した場所で、あるいは通風性のある換気の良い場所に保管することで寿命は伸びていきます。

取り扱い方はお客様の使われ方もありますがここではクリーニングでの取り扱いを指していると私は判断しています。

例えばせ接着剤で貼り付けたモノを剥がす時ってドライヤーで熱をかけたりアイロンで熱をかけ少しずつ剥がします。

高温で熱をかけることで接着剤は溶け出していくからです。

熱乾燥温度が高ければ高いほどこうした樹脂は溶け出してくる、溶け出した状態でタンブル乾燥などもまれる作業をされれば一気に剥がれていくし溶け出した樹脂が揉まれることで表側に染み出してきます。

加速劣化の一番の原因になっていると考えています。

劣化を加速させないようにと考え洗ってくれる個人店へ依頼していれば3年程度でダメになることはまず起こりません。

でも、起こらないように洗い乾燥し仕上げていくのは普通の工程と比べると何倍もの時間と手間がかかってきます。

このクラスの服が本当に3~4年で寿命が来てしまったら簡単に納得はできないと思います。

もう一つ重要なことが右側に説明があります。
この服は2022年、春夏シーズンに販売と明記されています。

これかなり重要です。
樹脂加工製品の平均使用年数は服を購入してからではなく加工されてから始まっています。

このコートの場合、2022年と明記されており、左側には耐用年数3年と書かれています。
2025年の春夏で寿命が来てしまう事を明記されているって事です。

保管方法も湿気を避ける、風通しの良い乾燥した場所で保管と明記されています。

ここで説明した事は一通り書かれています。

品質表示の重要性の説明をするお店ってほとんどありません。
この説明をしっかり読んで購入されている方ってほとんどいらっしゃらないのでは?

賠償基準で平均使用年数2年、ゴム引きマッキントッシュは3年とされていますので、説明するにあたっては耐用年数3年とされているのはかなり良心的な説明を書いていると思います。

一つ言えば、販売する側はきちんと説明をする必要があり、保管方法、依頼する際の注意点として加速劣化させないお店へ依頼していく重要性も知っておいて欲しいスキルだと思います。

このコート、耐用年数は昨年(2025年)となっていますが新品に近い状態で維持できています。

一番最初に出てくるのは内側に張られたテープの剥がれですがどこもはがれた部分もなく綺麗に接着されています。

カナダグースダウウンコート アクリル絵の具のシミ抜き

劣化が早い=品質が悪いとは限らない

同じように樹脂加工されている有名なコートにマッキントッシュがあります。
ゴム引きコートといえばスコットランド製のマッキントッシュですが同じような素材を使ったエルメスマッキントッシュ、ヴィトンマッキントッシュなどほかにも多数見てきています。

マッキントッシュのライセンスを取得して作られていると思いますが、それぞれ使う材料が違っています。
三陽商会で作られているマッキントッシュも同じくスコットランド製のモノと違っていると思います。

思いますというのは製造工程とか使われている材料など正確な情報は無く、実際にクリーニングしながら変化を見る、不具合がでたコートの状態を見てきたことで少なくてもスコットランド製のモノとは違うって事がわかってきています。

それぞれ寿命というか劣化までの時間も違えば劣化で出てくる状態も違っています。
ある有名ブランドのマッキントッシュコートは30~40万の価格帯ですが3~4年程度でカチカチに硬化して着られない状態になっている相談を10件以上は受け、現物を見てきています。

ただし、これが単純に品質が悪いものが使われている、という訳ではないんです。
インポート製品を購入する時の注意点になりますが・・・

多くの服やバッグ等、作られる国の気候に合わせて作られたりします。
乾燥した国であれば乾燥に強く、作られるわけですが、逆に言えば湿気に弱くなるんです。

乾燥したその国で使うのであれば簡単に劣化現象が起きてこないのに、高温多湿という真逆の気候になる日本にもってきてしまったことで一気に寿命が早まってしまうんです。

かなりたくさんのご相談があるヴィトン(フランス)のベルニというバック、お財布のエナメルが黄ばむという現象も気候に左右され日本だと4~5年もするとかなり黄ばんだりします。

フランスは降水量など日本の半分程度でかなり湿気の少ない国です。
フランスで使っていると10年経っても黄ばまない、と聞いていますし、長年フランスに住んでおられた方からのご相談でひび割れが起きてきた白のベルニを拝見した事があるのですが15年は使っていると言われていましたがほとんど黄ばみは出ていませんでした。

話がそれましたが、スコットランド製のマッキントッシュは硬くなってきてもまた柔らかく戻すことができたりします。色んなマッキントッシュの中で一番扱いやすいのがスコットランド製だと私は思っています。

日本ほど高温ではない国ですが雨が多く湿度は日本とよく似ています。
雨が多いから雨に濡れても大丈夫なゴム引きコートが作られたんだと思います。

硬化など劣化も起きてはきますが、軽い硬化程度であればほぼ改善できているのもスコットランド製です。

今回のマックスマーラはイタリアのブランドです。
日本と比べると湿度は低いようです。

私自身、マックスマーラの樹脂加工製品の扱い点数が少ないので実際の劣化具合などまではわからないのですが、湿気、乾燥どちらにも耐性がある材料で作られていれば10年程度は大丈夫じゃないかな、と思っています。

あとはクリーニングなどお手入れしてもらう際、樹脂加工製品を理解してお手入れしてくれるかどうかで寿命はかなり変わってきます。

このコートは水洗い✖、ドライクリーニング指定となっていますがドライクリーニング✖、水洗い指定となっているコートもあります。

スコットランド製マッキントッシュは洗えない表示(全✖)になっているコートもありますが大丈夫、ちゃんと洗うことができます。

かなり長い説明となってしまいましたが、樹脂加工製品の疑問、質問も多くお受けしています。
不具合が起きていない状態でもおしゃれ工房You友では初めてご利用されるお客様には必ずご説明をしています。

説明を聞きたいからと遠方から来られる方もいらっしゃいます。

特に樹脂加工製品は長年使用することが難しい服も多いので、少しでも長く綺麗に維持できるよう、ブログを書いています。

◆樹脂が硬化したシャネルジャケット

今回はお受けできなかったシャネルジャケットです。

お電話でのご相談だけでは状態がよくわからず、一度見て欲しいとお送りいただいたシャネルです。

現物を見るとかなり硬くなっており所々少しべたつきが出ている個所もありました。

簡単にご紹介していきます。

シャネルジャケット~ピンク色では着られなくなったので黒へ染め変えたい~

シルクシャネルジャケット染め直し~アメリカからの依頼~

日本用品質表示では・・・

シャネルはフランスのブランド。
日本に輸入されると日本の基準に則ってクリーニングテストをし洗い指定が付けられます。

30℃以下の水温で手洗い指定となっています。
このシャネルジャケットは自分で水洗いしながら使えるジャケットとして作られていることがわかります。

ドライクリーニング×となっているのは素材というか加工がされているためです。

今回は樹脂加工の説明でしたので覚えておいたほうが良い事を説明していきます。

樹脂加工製品の見分け方

日本語で樹脂加工、コーティング、ポリウレタン(ウレタン)樹脂など品質表示に書かれていれば一目でわかります。
触って生地が薄いのにしっかりとした感触、パリッとした感触などちょっと違うなって感じた場合は品質表示を見る癖を付けて置くと良いかと思います。

自分で洗えるかどうかの確認もできます。

日本語表記が無い場合、なんとなく読めたとしても意味がわかりません。

そこで覚えておくとよい、樹脂加工がされている事がわかる言語は・・・

ポリウレタン   polyurethane  これはなんとなく読めるのでわかりますね。
スパンデックス  spandex    ゴムのように伸縮する素材でほとんどはポリウレタンが使われています。
エラスタン    elastane    伸縮する素材の総称

このシャネルの表記はフランス語で élasthanne と書かれていますがエラスタンの事です。
素材表記を見ると
ナイロン50%、

樹脂加工素材
ポリウレタンスパンデックスが37%
エラスタンスパンデックスが13%

となっています。

感じとしては伸縮する素材の上にコーティングする形でウレタン樹脂加工されいるのかな?

劣化する素材を2種使われておりそれぞれの劣化が起きてきています。

加水分解 樹脂の劣化

画像では伝わらないかもしれませんが、同じような現象が起きてきます。

樹脂コーティングなど表面加工の劣化。
加水分解という空気中の湿気により溶け出す現象が起きると触った時しっとりした感じになり、さらに進むとペタ付が出てきます。

段ボールの貼り付けてあるガムテープを剥がした時、ベタベタ糊残りしますが、接着剤が水分により溶け出した加水分解の状態で同じ現象が起きてきます。

そのまま放置しておくと水分が抜け乾燥し、ぱりぱりになっていき剥がれていきます。
溶け出し、乾き、を繰り返す事で表面が硬くなっていきます。

スパンデックスは溶かした状態でゴム状のモノを練り込み素材そのものに伸縮される方法もあれば伸縮するゴム芯に伸縮しない糸を横巻に巻いて伸縮するよう2重構造になっているものがあります。

レーヨンで伸縮する素材の多くはポリウレタンを芯にして伸縮する素材が作られていると思います。

ゴム芯を使っているので輪ゴムと同じような現象が起きてきます。

しばらく放置してある輪ゴムは弾力が無くなり引っ張るとブチブチと切れたりします。
同じ現象が起きてきます。
劣化した状態の生地を引っ張るとみしみしって感じで生地が伸び、元の状態に戻らなくなります。

例えばしばらく使っていない靴下を何年かぶりに使うとゴムがみしみしって感じで伸び切った状態から戻らないって経験ある方もいるんじゃないかな。

同じ現象が起きてきます。

今回、お受けできなかったのもゴム芯が劣化していると直す事が不可能になるからです。

◆樹脂加工など経時劣化が起きる服 まとめ

右画像は硬化した状態。
袖を持ち上げても折り曲がらずそのまま立っています。

劣化していくごとに樹脂は硬化していきますし溶け出し、乾燥を繰り返す事でも硬化していきます。
マッキントッシュの生地が使われたコートをお持ちの方の中には硬くなっていく経験されている方も多いのでは?

洗うと傷むからと洗わない方もいらっしゃいますが洗っても洗わなくても起きてくる現象です。

本体の生地自体に伸縮性がない、表面加工、樹脂を浸透させる加工の硬化だけであれば改善できる服もあります。

完全に溶け出しベタベタになっている、生地自体のストレッチ素材に伸縮性が無くなっている場合、改善ができなくなります。

べたつきを直すと言った業者も見ていますが、べたつきの上から蓋をするようにコーティングをしていますので根本的な改善にはならないと思います。

自分の経験では下地に寿命が来ている上にどんな加工をしても下地からはがれてくる、コーティングにべたつきが浸透してくるなど起きてきています。

一旦加水分解した樹脂を元の形状に戻す事はできないんです。
できると言われた薬剤も使いましたが、べたつきの上から塗り止っても、剥がしていくとべたつきはそのまま残っていました。

寿命が来たモノを再生するってそんなに簡単にできる事ではありませんから。

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