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数十年前のベビー服のシミ黄ばみ取り~娘から孫へ~

ベビー服 復元洗い参考価格
今回のベビー服
6000円(税込6600円)

素材、状態により価格は変わりますので基本現物を確認後お見積りになります。


◆使いたいのは4日後、作業時間は3日

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

自分の娘が着た祝い着、振袖を孫にも着せたい。
実はよくあるご相談なのですが、ベビー服も同じように着て欲しいというご相談もよくあります。

ちゃんとクリーニングに出してあったけど黄ばんでしまったとご相談をお受けしました。
使いたいのは4日後。

もっと早く出してみればよかったんだけどクリーニングに出してあったから大丈夫だと思っていた・・・

4日後には使いたいとの事ですので、当店でできる作業は3日以内。
こうしたご相談でもできるのが個人店の良いところです^^

数十年経っているのでリスクのご説明と共に、

「もしもの時のために変えを用意しておいてください。
明日には手付けますので、もしもの時はその時点でご連絡します。
大丈夫であればできる限り早く仕上げてご連絡します。」

といった流れでお預かりしました。

あと、今回に限らずですが、お急ぎの場合は納期優先となります。
洗い直し等をしても当店の場合はお見積額が変わることは無いのですが、やり直す時間がない場合は祖上げて納品となります。

シミ抜き、復元洗いなどの場合、お時間を頂ける方が綺麗に仕上がることが多くなります。

写真だと補正がかかるため黄ばみが見えにくいかもしれませんが、全体的にかなり黄ばみ、特に首元周りはまっ黄色く黄ばんでいます。



ウェディングドレスのシミ抜き~本番まであと3日~

◆クリーニングに出す前に確認を

今回のお客様もクリーニングに出しておけば安心、そう思っていたとの事。
初めて当店へご来店くださるお客様のほとんどはクリーニングの洗い方法、落とせる汚れなど、理解されていないようです。

購入する時も使用後のお手入れのことまで説明してくれるお店は皆無と言っていいほどなく、クリーニング店も法律で義務付けられている説明をするお店はほとんどない状態です。

色々と書いていくと長くなってしまいますので・・・
ベビー服について書いていきます。

赤ちゃんが着るこの服に付く汚れは何でしょう?
ミルクの吐き戻しだったり食べこぼし、よだれ等々。

この汚れ、水洗いしないと落ちない汚れですが、赤ちゃんが着れば付いて当然の汚れになります。
そこで表示を見ると・・・
古い服なので旧表示になっていますが、水洗いに✖が付いています。

黄ばみ変色が出てしまった原因。それは・・・

何の汚れなのかを考慮する事無く表示に従ってドライクリーニングをされているため、落とさなければいけない汚れがほぼそのまま残ってしまっているからです。

落さなければいけない汚れを落とす洗いをされているかが重要なのですが、厄介なのが、残っていても黄ばみ変色がその時点では出ていない事。
黄ばみ変色はすぐには出てこないので、気が付いたころには数年、数十年と経ってしまっていることがほとんどになります。

家庭でのお洗濯も洗濯機、洗剤が進化しいろんな服を洗えるようになってきていますが、ソフト洗いコースなどは水流が弱くまともに洗えていないって事を理解している人も少ないですね。

洗うと服が傷んで着られなくなると言われることも多いですが、汚れが落ち切らずに残ることで生乾き臭など臭いが出てくるとか、色が滲んだり黄ばみ変色が出ることで着られなくなる事の方が圧倒的に多いんです。

洗うという工程をしておけば大丈夫なのではなく、汚れを落とすようにどう洗うかが大切。

汚れが落ちない洗い方法では洗う意味がなくなります。

では普通にクリーニングに出すとどんな洗い方になるのでしょう?
チェーン店を利用されている方は特に気を付けないと意味がない洗い方法をされている可能性があるって事です。


着物(和服)クリーニング~「どこへ出しても取れない!」と言われた祝い着のシミ~

◆ベビー服の洗い方 

当店での洗い方法も家庭での洗い方法も考え方は基本同じです。

肌がまだ弱い乳幼児にも使えるモノ=肌に優しいものを使い洗っていきます。

基本的には純石鹸成分99%の洗剤を使いますが、今は皮膚には浸透しない界面活性剤などもあり、赤ちゃんの服の洗濯にも使える洗剤が出ています。

例えばアタックゼロなどはどこにでも売っている洗剤ですし、乳幼児の服にも安心して使える洗剤として販売されています。

当店では天然成分99%の洗剤を使い洗っています。
純石鹸の場合、油脂独特の臭いが残るため、ニオイが苦手って方は結構いらっしゃるようです。

なので当店では動物性油脂ではなく植物性油脂の洗剤を使っています。
植物性はニオイもほぼ無臭になります。

ベビー服に限らず子供の服は基本水洗いしていかないと衛生的にも付く汚れ的にも綺麗にできません。

このベビー服は洗い指定では水洗いに✖が付けられていますが、水洗いをしていないため落とすべき汚れはそのまま残っていて黄ばみを作っています。

購入して30年程度は経っている、水洗い✖の服なのでできる限り負荷をかけず洗うよう、そして汚れている部分は全体を洗う前にシミ抜きで落としていきます。

大人の服でも同じですが、できる限り洗う前と同じ状態で洗い上げる事が大切。

どんなに気を付けて洗っても縮みや型崩れが出てしまうものもありますが、それでも注意して洗っていかなければ修復ができない状態で洗いあがってしまう服もあります。


ウールコート復元 黄ばみ・臭い取り~革付きコートの黄ばみ取り・臭い取り~

肌に擦れる部分は皮脂落とし

袖口、首周りは皮脂が付く場所。
皮脂は油脂系汚れですが、油性汚れが酸化して黄ばむと漂白しても落ちない黄ばみとなってしまいます。

黄ばみ変色として出てから落とすのは難しくなるので出る前に落としておくことが大切です。

このしみ抜きも純石鹸を水で溶かしてシミ抜きをしています。

家庭で落とす場合は歯ブラシでブラッシングして落としていきます。
赤ちゃんの服に付かう洗剤をかなり濃いめに水に溶き、歯ブラシでブラッシングして落としていきます。

黒ずみが出ているほど汚れている場合、歯ブラシに洗剤付けたら重曹を付けブラッシングすると重曹が研磨剤の役割になるのでかなり落ちがよくなります。
繊維を傷めないようブラッシングしたい場合、往復差させず一方方向でブラッシングします。

首周り、特に顎に当たる部分から下の黄ばみはミルクの吐き戻しなども付着しています。

ミルクはたんぱく質系の汚れなので血液と同系列のシミになります。
赤ちゃんの肌着などこまめに洗っていても吐き戻しなど付く部分は黄ばんでいきます。

たんぱく質は時間と共にどんどん固まり落ちにくくなるため、その日のうちに洗っても落ち切らずに残る部分が出てきます。

落ち切らないと次回に洗っても落ちずに残って時間と共にたんぱく質が酸化、硬化して黄ばんでいきます。

たんぱく質は硬化して固まると洗剤で洗っても落ちないシミとなってしまいます。
血液も同じく、付いて時間が経つと家庭で落とすのがかなり難しいシミになります。

シミ抜きで使っている洗剤と漂白剤では落とせるものが違うため、洗剤で落とせる汚れは洗剤で落とし、落ち切らない色素系のシミ、固まったたんぱく質の分解はつけ置き洗いで落としていきいます。


洗剤では落ちないシミ、黄ばみを復元洗いで除去

洗剤で落とせる汚れを除去してから復元洗いです。
家庭ではつけ置き洗いになります。

「オキシ漬け」も粉末酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗いになります。

たんぱく分解酵素と酸化剤を使い、洗剤で落ちないシミ、黄ばみを除去していきます。

使う酸化剤、酸化活性剤も乳幼児の服にも使える安全なものを使っています。

洗剤と酸化剤は落とせるものが違うので純石鹸も一緒に入れてつけ置き、酸化分解で除去していきます。

家庭の場合だと、成分表を見て過炭酸(粉末酸素系漂白剤)のみ書かれているモノなら赤ちゃんの服にも使えます。

花王から出ているワイドハイターは乳幼児の服にも使えると書かれていますが、過炭酸のみ記されている商品なら界面活性剤とか香料など余分なモノが入っていないため当店では過炭酸をお勧めしています。

画像左側がつけ置きしている画像、右がすすぎ洗いをした後の画像です。

すすぎは何回したらいい?って質問されることもありますが、ベビー服の場合は水が透明になり泡立てようと思っても泡立たないところまでしっかりとすすぎ洗いをしてください、とお伝えしています。

すすぎって安易に考えられている方が多いのですが、洗う事よりすすぎのほうが大事とお伝えしています。

少し悦明していきますね。


◆「すすぎ」を「すすぎ洗い」という理由

洗い方などを質問された場合、洗う事よりすすぎを丁寧に、とよくアドバイスします。
洗濯機洗いではなく手洗いする場合、かなり丁寧に洗われていると思います。

洗う時は汚れを落としたい、でも服を傷めないようにと自然に意識が行くので丁寧に洗われるんです。
でも、すすぎに関しては結構安易になってしまっていませんか?

洗剤が汚れを落とし、落ちた汚れが再付着しないようにしているのも洗剤です。

落ちた汚れと、服に付かないよう汚れを抱えている洗剤を服から綺麗に洗い流すのがすすぎになります。

すすぎは洗濯工程の一つで重要な役割になっているんです。

だからすすぎを私は【すすぎ洗いを丁寧に!】という感じで説明しているんです。

1度すすぎOKの洗剤もありますが、中性洗剤になります。
これは1度のすすぎで洗剤残りしない、ではなく洗剤が残っても変色など不具合が起きないのが中性洗剤です。

溜めすすぎであれば2回でほぼ洗剤、汚れをすすげるとされています。
1度では洗剤の残留は必ずしている、と考えたほうがいいです。

肌が弱い方、赤ちゃんの服などを洗う場合は特にすすぎ洗いを丁寧にすることが大事です。

ちなみに洗剤が肌に合わなくて湿疹が出る(アトピー)の方で洗剤を変えても改善しないってお話をお聞きしたりもします。

洗剤は変えてから7~8回は洗わないと完全には切り替わらないと言われています。

変えて1度洗う程度ではわからないって事になります。

洗剤が合わず変えても合う洗剤が見つからないって方は変えた洗剤で何回か続けて洗い試してみるのも良いかと思います。


ブランドトレーナー 数十年前の全体変色とシミ抜き~どこも受けてくれない理由~

硬化したタンパク質分解除去、黄ばみ除去

並べてみると綺麗な白に戻っているのがわかるかと思います。

レースの下には綿生地があり、水洗いをされていなかったため新品時の風合いは残っていましたがかなり黄ばんでいるのが一目でわかる状態でした。

お客様もこの状態では着せて上げられないからという事でしたのでリスクをご説明し、もしもの時のために替えを考えておいてください、とお願いをしお受けしています。

素材には書かれていませんが一番上のレースの柄はおそらく樹脂で作られた柄だと思います。

この手の柄はレースカーテンにもよくありますが、劣化して来ると部分的にはがれたりします。

刺繍なら剥がれることは無いのですが、見ても刺繍なのか織り柄なのか樹脂プリントのようなモノなのかわからないものもあります。

いずれにしても綺麗にするための洗いに耐えられないと破損したりしてしまうため、リスクを説明しています。

そして説明したリスクを踏まえ、できる限り起きないよう最善を尽くして洗っていきます。

新品時にかなり近い状態で洗いあげることができたと思います。


◆ベビー服復元  娘から孫へ まとめ

乳幼児の服はどう洗ったらいい?
ミルクの吐き戻しなど臭いが取れないけどなに使って洗ったらいい??

色んなご相談、ご質問をお受けしています。

当店は洗う事が専門の職人のお店なので、その服を着た人、服の素材と状態に合わせた最適な方法で洗っていきます。

ご質問もありましたので今回はベビー服の復元をご紹介しながら、赤ちゃんの服を洗う時の洗剤、漂白剤、洗う時の注意点、
特にすすぎ洗いに付いてアドバイス的に書いてみました。

酸素系漂白剤は使い方を間違っている方も多く、効果の出ない使い方、もったいない使い方をしている方も多いんです。

基本的な使い方は
・水温(50℃~60℃)
・液体は必ず弱アルカリ洗剤、セスキ炭酸塩などアルカリ性のモノを一緒に入れアルカリにして使う
・つけ置き時間は最低30分~2時間以内

酸素系漂白剤は40℃~が効果の出る水温ですが服を入れたり、つけ置き時間により水温が下がるため最低でも50℃スタート。
液体の場合、弱酸性ですがそのまま使っても漂白効果は出ません。
酸素系漂白剤の酸化分解は時間がかかるので最低30分は必要です。

服の黄ばみが早く出る、ニオイが取れないなどお洗濯していても出てくる問題は数多くあるかと思います。

洗剤と漂白剤は落とせるものが違うため役割も違います。

汚れは洗剤で落とし、洗剤では落ちない色素系のシミや黄ばみ、水洗いでは落ちない固まったたんぱく質の分解などは酸素系漂白剤の酸化分解で落とします。

古くなった血液もこの方法で落とすことができます。

当店も基本的にはこの基本的な使い方を元に、強さ、分解力、服の状態を加味して調節して復元していきます。

先日、今回かなり汗になっていたのでサービスで水洗いして汗取りしておきました、と伝えたお客様がいらっしゃいました。
水洗いしたからと聞いたので自分で洗っても大丈夫だと思い洗ったら着られなくなるほど縮んじゃった・・・って相談がありました(汗)

以前も「水洗いしておきました」とお渡しした服を自分で洗ったら柄の色が滲んでしまったという事もありました。
プリントの品質世界一のと言われるブランドの服でしたが洗剤に浸かっている時間が1分過ぎると下地染め部分の染料がにじみ出てくるんです。

これに気が付いた時はちょっとびっくりしましたが、メーカー元の繊維製品管理資格(TES)のある方との話しの中で、
染められ方、製造工程などをお聞きした事で、色にじみが起きる理由がわかりました。


ブランドごとに注意点があったりするんです。

だから「当店で水洗いしました=水洗いしても大丈夫」ではないんです。

お客様では想像していないようなことまで想定して洗っていたりしますし、想定されることが起きない洗い方をしています。

当店はすごいんだぞ!ってことを言いたいのではなく・・・
こういったことも言葉にして説明しないと伝わらないため、ご説明しています。

お客様からいろんな質問、疑問など相談されますが、繊維に関する事ならどんな事でもお答えができるのですごい知識など驚かれたりもしますが、40年、毎日服を見て触り洗って仕上げていますので仕事に必要な知識が身に付いただけの事です^^


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