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クリーニングで色移り~クレームにできなくなる事前説明~

色滲み、色移り取り参考価格

Tシャツ、トレーナーなど染料の色移り取り
5000円~ (税込み5500円)~
顔料、インディゴなど
8000円  (税込み8800円)~

素材、色、状態、服により金額が変わりますので基本お見積り
ブランド品、高額品は+50%~100%

今回のワンピース参考価格
色移り取り 10000円(税込み11000円)
毛玉取り  2000円 (税込み 2200円)

同業者の事故品、美容室、飲食店などの事故品の場合、
必ず最初にその旨をお伝えくださるようお願いします。

飲食店、美容室などの事故でお客様ご自身が持ち込まれる際も
その旨をお伝えください。

基本、お店側の粗相により起きてしまった場合、代金はお店側が持つのが通常です。
お店側に連絡、了解を得てからでないと自己負担となってしまうケースが多くなります。

実際、お客様ご自身がご相談に来られ、「まずはお店にその旨を伝えたてみたほうがいいですよ」と
伝え、お店に連絡をしてみると、ほとんどがお店側で代金を出してくれています。

家庭洗いで色移り、色滲みなどが出てしまったケースなどもメーカー保証が受けらえるケースはたくさんありますので、まずは相談時にその旨をお伝えください。

その時に落とせるものであればお店と交渉後など時間が経っても落とすことができます。


◆注意しても出てしまう不具合と不具合が出てもクレームにできないようにする受け方

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 店主 大友眞吾です。

今回はお客様も怒り心頭・・・クリーニングに出して受け取った際、確認してみると全体に色移り・・・
すぐに持って行ったところ、

「受ける際、違う色の生地の縫い合わせだから色移りするかもしれないけどと確認し了解頂いていますのでクレームは受けられません」

即答で断られてしまったとの事。
前にも一度出していたとの事で、その時はこんなことは起こらなかったとの事でした。

実はサンヨークリーニングの社長と知り合いのお客様で相談したところ、二つ返事でこれはおしゃれ工房You友へ!と紹介されご相談に来られました。

サンヨーは地元では大手のチェーン店で「クリーニングエブリー」として直営店を展開している会社です。

私どものような小さな個人店では出来ない、知りえない大手クリーニングの仕事、機械設備などを見学させて頂いたり当時の社長(現会長)の考え方、取り組み方など聞かせて頂き勉強させてもらったりもしているチェーン店です。

どうしても落とさなければいけないシミ、起きてしまった事故品などの修復も各工場から相談して頂ける親交のあるチェーン店です。

今回のこの状態は手を出さなくて正解なんですが、社長から当店の名前が出たことが嬉しかった^^

しかし・・・今回の事例はある程度はわかっていたけどビックリした事例となりました。


高いコースへの出し分けの注意点~普通に出していれば出なかった不具合~

濃い色と白の組み合わせは白い部分の色がすぐにくすみます

何度かブログで説明してきていますが、濃い色と白の縫い合わせ等のデザインの場合、白い部分の色がくすんだり黄ばんだりしてきます。
このワンピースもそうですが、ドライクリーニング後に熱乾燥されるといきなり黄ばんでしまったりします。

服は色分けして洗っていきますが、このデザインの場合、真っ白の服としては扱われない、落ち切らない汚れがある状態で熱乾燥すると一気に酸化速度が上がり黄ばみが出てしまうからです。

クリーニングに出しても綺麗にできない事例、どんどん黄ばんでいく事例のリンクは貼っておきます。

この服からの色移りなのかほかの服から色が移ったのか・・・白い部分の色が黒ずんでいるため汚れと黄ばみが酷く出ているのか・・・

テストしたところ、服の色も出やすい事、薄汚れた感じは汚れが残っているし黄ばみも出ている・・・

要するに・・・考えられること全部が起きているって事です(汗)

色移りが起きていなかったら着れたのだろうか・・・


薄汚れて見えてる原因は・・・

黒ずんでいる状態に見えている一番の原因は表面にできた毛玉・・・
あとで表示を載せて説明しますが、この素材は毛玉ができる素材の混紡なんです。

汚れと色移りが見やすいよう少し暗めの画像を載せています。

この状態、これからクリーニングをするワンピースではなく、クリーニングから受け取ったままの画像です。

時代の長れなのかクリーニングをする仕事の考え方が変わってきています。

新鮮野菜を勧めてくれる八百屋さん、旬で美味しい魚を勧めてくれる魚屋さんって今はもうほとんどなくなってしまったけど、スーパーにはない価値が小さなお店にはたくさんあったんです。

お肉屋さんもそう、新鮮な豚肉って独特の臭いがあるんだけど知らないと傷んでる?って思うような味がしたりします。
だから豚肉は腐りかけが上手いって昔はよく言ったものでした。

今だと熟成したお肉が上手い・・・かな。

クリーニング店も同じように変わっています。
素材選び、服の洗い方、シミの取り方、表示の意味・・・

私、店主自身は昔ながらの人間です。
私はクリーニングという呼び方が無かった明治時代に曾祖父が服を洗う事を生業として始めた家系に生まれています。

昔と今では商用的なクリーニングと今まで通りの個人店としての仕事って全く別の仕事と言っても過言ではないくらい変わってきています。

今回のような事例もこれから増えていくのかなって思っていますが、昔のクリーニング店は過剰な保証をし過ぎていた面もあるんです。

そこまでやってはダメでしょって事も保証してしまう。
どんなものでも減価償却されていくし、いつまでも新品ではいないんです。

使ったり洗ったりしていけば傷みもするしある程度は消耗品として使っていくものです。

最近の受け方はある意味、クリーニング品を受ける時の説明も正常化してきた、と言えるんじゃないかなっとも思っています。

品質と価格はある程度比例していきます。
品質と価格が適正であるかどうかはお客様の判断になりますが、その目安がわからないですね。

このブログではそういったことも踏まえ、事例を出しながら書いていますので参考にして頂けたらと思っています。


◆説明ではわからない実際の仕事内容

今回のワンピースは海外に行ったときに購入したというワンピース。
画像はつけられている品質表示ですが国により表示法というか基準が違い、海外で購入した場合は日本の法律基準は適用されません。

インポート製の場合、輸入元が日本の基準に則ったテストをして品質表示を付けている場合、日本の保証基準が適用されます。
この場合は日本語表記があり、日本語表記のない場合は除外となります。

表示の意味、ドライクリーンと書かれているだけだから色移りしても保証しないと言われたのかどうかはわかりませんが・・・
ちゃんとした説明をする場合、外国語表示なので日本の基準とは異なるため、指定通りに洗いますが色移りする可能性があります、と説明されても不思議はない表記になります。

組成ですが
これは誰も教えてくれないと思いますので覚えておくといいと思います。

ポリエステル63%、レーヨン33%、ポリウレタン4%、裏地ポリエステル100%という組成になっています。

ポリエステルとレーヨンの混紡製品は必ず毛玉ができます。
それも毛玉取り機などでは取れない小さな毛玉。

新品時はふっくらとしていて光沢もあり毛玉ができにくそうに見えますが、この混紡は確実に毛玉ができる素材。
高額品を買ってしまうとガッカリしてしまう、そんな素材の混紡になります。

さて、ここからが問題。
以前にも出していて色移りは出なかったのに今回は出てしまっている事。

そして説明しているから保証もクレームも受けられないとその場で断られている事です。

白と濃色の組み合わせデザインだから色移りする可能性はあります。
「実際にそうならないように洗っても起きてしまった時のための説明」なのか、
「クレームにできないようにするための事前説明」なのかは同じような内容でも全く別物です。

安価な価格帯がメインの店の高いコースへの出し分けはあまり意味がない、と言われるのも、ちゃんとしたスキルを持った人が洗っていないからです。

今回の場合、まず色が出るかのテストをその場でやりお客様にドライクリーニングでも色が出る可能性があることを見せご説明しています。

でも・・・強めの溶剤系染み抜き剤で色が少し出た程度でしたので、普通に洗うだけでは色は出ないかなと判断しています。

実際、普通にドライクリーニングするだけでは色移りは起きませんでした。

今回色移りした原因として、ドライクリーニング後、すぐに干す、乾燥機にかけるなどがされなかった事なのではと思います。

これは家庭洗いでも同じです。
洗い終わりすぐに干している時は色移りしなくても、止まって濡れた状態のまま10分、20分とそのままの状態で置いてしまうと色が移ります。

時間の経過とともに色移りする確率は比例して上がっていくんです。

試しにドライクリーニング後に干した際、色出テストをしてみたところ、ティッシュに色が移っています。

色柄物はすぐに干すなり乾燥機に掛けるのが鉄則なんです。

基本通りやっていれば色移りすることが無かったワンピースです。


バイカラーワンピース~解いて復元し縫製して仕上げ~

◆色移り取り・色のくすみ直し

仕上がりです。
画像数が多めなのでサクサクっと説明していきます。

まずは前面。
ほぼ全体に色移りが出ていましたのでスカート部分もよく見ると赤っぽいい悪露が見えていました。

色移りだけじゃなく汚れによる黒ずみもひどかったため、白い部分全部を超音波しみ抜き機でシミ抜きをしています。

洗うという工程だけでは落ち切らない汚れだからです。


高いコースへ出すことで起きてしまう型崩れ~かなり多くなってきています~~

白さ復元

そして背面。

色移りだけではなく黒ずみも取れましたのでかなりきれいな白にできたと思います。

色移りは染料、黒ずみは汚れなので落とす工程がそれぞれ異なります。

色移りを取るだけでは白さが戻ってこないんです。

色移り取りで依頼されていますが白い部分は白くしないと納品できません。

服を綺麗にすることを目的としてクリーニング&シミ抜きをしていますから。


◆洗っても取れない毛玉

まずは洗い上がり、毛玉処理前です。
クリーニングに出せば毛玉も取れますか?って疑問に思われている方も多いようですが、クリーニングに出しても取れることは無いんです。

個人店の場合だと、ある程度毛玉は取ってくれるお店もありますが、チェーン店ではそのまま残っているかと思います。

毛玉取りオプションを用意しているところもありますが、多少マシになる程度で期待はしないほうがいいと思います。
その理由は・・・毛玉取りって丁寧に取っていくとものすごく時間がかかる作業になるから。

毛玉取り機で簡単に取れる部分のみ除去していくという作業になります。

毛玉ができると毛先の黒い汚れは洗っても取れないので薄汚れた感がそのまま残ります。

画像で見た通りです。



クリーニングに出しても綺麗にならい、直らない事例~毛玉取り機では取れない毛羽~

毛玉取り

毛玉取り機では取れない小さな毛玉も取っていく事で白さだけじゃなく質感もほかの部分と違和感ない程度まで直っています。

この毛玉のでき方がポリエステルとレーヨンの混紡品に必ずできる毛玉になります。

このワンピースはおそらくネックレスなどアクセサリーを付けて着用されていたのだと思います。

胸元あたりに集中して毛玉ができています。
アクセサリーが動き擦れることで毛玉ができています。

毛玉を取る前の画像をよく見て頂くと毛玉だけでなく毛羽立ちも起きています。

毛玉だけでなく毛羽立ちも取っていかないと元通りの質感には戻らないため、細かな毛羽も取って行きました。

新品同様とは言いませんがかなりきれいな状態に戻っていると思います。

できる限り綺麗にする、復元洗いをするとお受けした場合は文字通りできる限り綺麗にできる方法で洗い修復していきます。


◆クリーニングに出したら色移り・クレームにできなくなる事前説明 まとめ

チェーン店の仕事を商業クリーニングと私は説明しています。
いいとか悪いとか技術がないとか、そういう事ではなく、指定に従った洗い工程をしているという事です。

法律基準に則ってつけてある洗い指定通りに洗うのであれば設備があればスキルがないパートさんでもできる仕事となります。

これからも残っていく当店のような個人店のほとんどは、チェーン店ではできない仕事をやっていくクリーニング店になっていくと思います。

知識とスキルを持ち、新しい素材、洗い方法など新しい技術をスキルアップしながら職人として展開していくクリーニング店です。

やろうとしている仕事自体が違うんです。
今でも昔からクリーニング店を利用している方から

「同じクリーニング店でしょ?やることは同じでしょ」

って言わることもありますが違います。

今回は色柄の縫い合わせだから色にじみ色移りが出る可能性がある事を了解してもらっているからクレームもやり直しも断る・・・

お客様も怒り心頭・・・

そんな事例でした。

当店の場合、日本全国からご相談が来ます。
今回のような事例、最近良くお聞きするって事はそんな受け方をするお店が増えてきているのかと思っています。

クリーニングはクレームが絶えない仕事と言われます。。。
そんな中、クレームにならない受け方、さらにクレームにできない受け方を教えるような講師が出てきたのかな・・・


マックスマーラコート風合い直し~加工剤を入れるだけでは直らない~

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