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モンクレールダウン カビ取り消臭殺菌~洗い工程から仕上げまでを解説~

モンクレールダウンクリーニング価格

ブルゾン・ハーフコート   8500円(税込み9350円)~
ロングコート        12000円(税込み13200円)~

羽毛の獣臭取りは+3000円(税込み3300円)~
(ドライクリーニングができるダウンのみ)

カビ取り、汗、体臭など臭い取り 水洗い
基本価格の+50%~100%が目安


羽毛独特の獣臭を取る場合、全く工程が変わります。
消臭殺菌だけでは落ちないニオイになります。
羽毛のニオイも取ることが出来ますのでご相談ください。

※ワキガ臭は通常の汗取りではニオイは取れません。
別途ご相談下さるようお願いします。



今回のモンクレールダウン 水洗い消臭殺菌参考価格

15000円(税込み16500円)
洗い指定水洗い✖商品 一点手洗い
 消臭殺菌まで

◆モンクレール 一点手洗いによる消臭殺菌

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

まずはトップ画像のブランドロゴ。
続けてご相談があったのがロゴをしみ抜きできるか?

袖の白いロゴが黒ずんでいる、黄ばんでいるのを綺麗にしてほしい。
特に色の濃いダウンに付けられている白いブランドロゴの色が悪くなっているって結構見かけます。

そしてよくあるのが衿汚れ。
黒は目立たないけど白系はほとんど落ちていないって結構見ています。
下手するとファンデーションも落ちていない・・・

ここ数年、時々あるのが光沢が無くなった・・・
今回はこの光沢に付いて画像を撮りましたので少し詳しくご説明していきます。

今回のこのモンクレールはかなり丁寧に着用されています。
10年くらい前に購入と言われていましたが新品の風合いがそのまま残っていますし、汚れらしいものも見えずかなり良い状態。

実は一度、カビが生え臭いが気になるとご相談に来られたのですが、確認してみたところカビらしいものは見えない、
私が嗅ぐ限りニオイもしない状態で羽毛のニオイと、かすかにしまってある時に付く湿気の臭いがした程度でした。

「気になるのであれば水洗い、消臭殺菌もできますが、おそらく気になる臭いは着てしまえばすぐに消えてなくなる程度だと思います」とご説明させてもらい、一度持ち帰ったお客様です。

でもやはり「大切に着ている服なので水洗い、消臭殺菌までやってください」と再度ご来店くださったお客様です。

このお客様も袖のロゴを気にされていましたので、「ロゴは全部しみ抜き掛けて洗っています」とご説明をさせて頂きました。

首元のロゴ、袖のロゴなどほかのメーカーの服でも洗う際は必ず染み抜きします。
ここが汚れていたらブランド品としての価値が薄れてしまいますから。

上画像は衿のシミ抜きです。
今回は水洗いしていくため汗は落ちても皮脂が落ちませんので、生地を傷めないよう超音波しみ抜き機と油性しみ抜き剤を使い、皮脂と汗を落としています。

最近はダウン製品でも家庭で洗われる方が多いので一つ注意を乗せておきますね。


モンクレールダウンクリーニング~脇臭い取り・消臭殺菌~

モンクレールダウンクリーニング しまう前の洗い方

ブラシ掛けする時の注意点

エリと袖口の汚れは洗うだけでは落ちません。
これはダウンに限らずすべてお同じです。

見えていなくても必ず皮脂と汗は付着していますので、長く綺麗に使っていきたい服は最低でもしまう前の洗いは汗と皮脂を落として洗うのが大事。

Tシャツの首周りなど、「しまっておいたら黄ばんだ」って毎年よくあるご相談です。
クリーニングに出していてもしまっておく間に黄ばみが出てこないよう、予防しみ抜きをしてもらわないと結構出てきてしまいます。

今回は表素材が薄手のナイロンのダウンですので、薄手の生地の汚れを落とすブラシ掛けの注意点を書いておきます。

ブラシは洗濯用の柔らかいナイロンブラシを使います。
歯ブラシでもOKですが小さいので結構手間がかかってしまいます。

手間をかけても丁寧に洗いたいって方は歯ブラシが一番繊維を傷めず気にせずブラシ掛けができます。

【ブラシがけの注意点】

薄手のナイロン、ポリエステルの場合、往復させず一方方向でブラシ掛けします。
往復させると繊維にかかる負荷が強くなる、強くすると線状に引きつれを起こし直らなくなります。

ブラシ掛けする部分はシワ状態にせず平らにかけることを意識し、ブラシを掛ける時に生地がたるまないよう抑えて一歩方向でブラッシングします。

シワができるとそこだけ生地が重なり、重なった先端のみ辺りが強くなるため線状に傷になったり引きつれを起こしたりします。

ブラシ掛けをする時は洗剤と汚れをよく馴染ませることを意識し一方方向で平らに平らに、ブラシをかけていきます。

皮脂汚れがひどく真っ黒になっている場合は”台所用洗剤の原液を付けてブラッシング”が一番皮脂などの油汚れを落としてくれます。

繊維の目にめり込んでるような汚れの場合、ブラシに洗剤を付けたら重曹を付けブラッシングすると汚れ落ちがよくなります。

重曹のアルカリで汚れが落ちるのではなく重曹は結晶化しているのでつけることで研磨剤のような役割となり繊維の目から汚れをかき出してくれます。

重曹の結晶はブラシ掛けすると崩れていくため繊維に負荷をかけない研磨剤の役割となってくれます。


全品やっている洗う前段階の前処理

同じような流れになるので簡単に。
ロゴに限らず例えば黒に白いワンポイントなどがある場合は必ずシミ抜きをします。

ドライクリーニングする場合、黒の中の白い部分ってすぐに黄ばんだり薄汚れた感じになってしまうって経験ある方多いんじゃないかな。

黒に白などの場合、シミ抜きをしてから洗う事でロゴの色のくすみを防ぐことが出来るんです。

いつまでもロゴを綺麗な状態で洗ってくれているって方は色がくすまない洗い方をわかっているお店へお願い出来ています。

バイカラーの服も同じです。
真っ白の服、濃い色と白の組み合わせのデザインで何回出しても白いまま洗い上げてくれるお店はちゃんと丁寧な洗いをしてくれるお店と考えて間違いないと思います。

必ず一手間、二手間かけて洗わないと白はすぐにくすんでしまいますから。


◆今までが洗う前段階、ここからが洗い

ダウン製品は多重構造になっています。
ちゃんとした作りになっているダウンと簡易的な作りのダウンがあります。

簡易的な作り方を考案したのはユニクロだと思います。
ダウン製品に革命を起こしたのが誰もが知っているユニクロのライトダウンです。

色々と書いていくと一冊本ができるくらい長くなるので・・・(笑)

ひとつ、勘違いされている事があるのでそれだけ書いておきます。
羽毛臭いニオイが残っている=品質が悪いと思われている事。

羽毛は羽軸に鳥が生きている時の油分などが残されていて、この油分が無くなると羽毛は広がらなくなり砕けていきます。

長年クリーニングに出しながら愛用していて、下の方に砂状のものが溜まってきた?って感じたらそれは羽毛が砕けて下にたまった状態です。

ドライクリーニングにより脱脂され羽軸のオイルが無くなると砕けていきます。

羽毛協会から言わせるとドライクリーニングは1~2度が限界でそれ以降は羽毛は広がらなくなり傷んでいくと言われています。

だから羽毛製品の水洗いを宣伝するお店が増えているのですが、後にこのブログでご説明しますが水洗いすることで出る不具合があります。

羽毛独特のニオイに関してはニオイがあるから品質が悪い、ではありません。

天然の鳥の羽根が入れられるため、感染症など引き起こさないよう洗浄殺菌処理をされ入れられています。

殺菌する時、どの基準に沿うかにより羽軸に残る油分量が変わり、油分が多いほど臭いも出てくるようになります。

どの基準でも感染症などが起きない基準であるため衛生安全面は問題なく、ニオイがあるかどうかだけです。

じゃぁ、ニオイが無い方がいいかというとそういう事でもないんです。

残された油分量が羽毛が広がる限界まで落とされていると1度のドライクリーニングで油分が無くなり羽毛が広がらなくなる可能性もあります。

逆に油分量が多ければ数回程度洗っても羽毛は綺麗に広がり暖かくふっくらとした羽毛を愛用できるようになります。

臭いがほぼ無い=羽軸に残っている油分量が少ない
臭いがある=羽軸に残っている油分が多い   って事になります。

モンクレールの場合、ニオイが強く残っている事ってあまりないので、臭いがしない程度まで油分を洗い流してあると言えると思います。

なので脱脂しないような洗い方をしてくれるお店へ依頼していかないとボリュームが無くなっていく=羽毛が広がらない状態になってしまいます。


デュペチカダウンクリーニング~クリーニングに出しても落ちない汚れ~

羽毛クリーニングは皮革洗いとよく似ている

まず、画像は空気を抜き中の羽毛まで洗剤、殺菌剤をよく浸透させた状態です。

同じ水洗いをするにしても、何をしたいかで洗う方法と考え方が変わるんです。
・表生地の汚れをメインに落としていく洗い方法
・中の羽毛自体を洗わなければいけない時(羽毛がカビてしまった時など)の場合の洗い方法

これは羽毛の構造をよくわかっているお店なら洗い分けていると思います。

さらに殺菌をする場合は、洗剤と併用しても殺菌効果が洗剤にとられないように殺菌をし、しっかり羽毛に浸透させたらほぼ滅菌できるようしばらくつけ置きをし洗っていきます。

右画像の状態でしばらくつけ置きします。
目安としては一番不活性化させにくいとされるノロウィルスでも不活性化できる濃度と時間を目安に殺菌をしています。

洗っている洗剤液を見て頂くと白濁しているのが見えると思います。

この白濁はオイルを水にいれエマルジョン化させた状態です。
水とは入り混じらない油を入り混じらせるとこうしてエマルジョン化(乳化)します。

化粧品なども乳化していますね。
肌がカサカサにならないよう油分を入れるため乳化させていますね。

洗剤による洗いで油分が落ちても新たに油分を入れていく事で羽毛が脱脂されなくなります。

水洗いの場合は脱脂しにくい洗い方法にはなりますが、当店では洗い時も油分を補給しながら洗うという方法で洗っています。

これはより良い質感と風合いになるよう皮革の水洗いを改良していったときの応用です。

仕上げ剤だけじゃなく洗いから羽毛を守っていくための油分補給洗いになります。


洗剤、汚れを服から除去していくのがすすぎ

おしゃれ工房You友では羽毛のお手入れ方法を独学で作っていきました。
羽毛が傷み広がらなくなるのはドライクリーニングが原因、と言われたことが悔しかったから!

もう10年程前ですが、ドライクリーニングを何度繰り返しても羽毛を傷めない新しいドライクリーニング方法を確立し、新しい取り組みと評価され経営革新を取得しています。(商経第332号)

表生地がウール、カシミヤ、シルクなど水洗いが出来ない表生地が使われていても羽毛を傷めることなくドライクリーニングが出来るようになっています。

表生地にウールが使われているムーレーやヘルノ、ロロピアーナなどカシミヤダウン製品も羽毛を傷めず風合いに変化も出さないクリーニングが出来ると喜ばれています。

画像は洗濯で言う脱水と同じです。
手で洗剤と汚れをしっかりと押し出した状態。

脱水せずにすすぐと服に残っている洗剤と汚れの残留が多いため、すすぎ時の水に流れてきます。
脱水することで服に残る洗剤と汚れを絞り落とすことが出来るので洗濯機でも必ず途中脱水が入ります。

ゆっくり少しずつ負荷をかけていかないと縫い目が爆ぜたりするため、ゆっくりと水分を押し出していきます。


羽毛を綺麗にすることを意識する

すすぎです。
綺麗な水を入れながら染み込んでいる洗剤と汚れを押し出す事を意識して押し洗いをし、中の羽毛を洗うようにして揉み洗いをしています。

良く羽毛をすすぎ洗いしたら空気を抜きながら水分を押し出し、もう一度すすぎます。

2回この作業を繰り返し仕上げ剤に入れます。


羽毛を膨らめる仕上げ剤と防カビ抗菌加工

左画像を見て頂くとまたエマルジョン化した中へ漬け込んでいるのがわかると思います。

羽軸に油分を入れていくのと同時に、抗菌防虫加工剤を入れつけ置きしています。

おしゃれ工房You友では天然ラノリンオイルとを使い羽毛の羽軸に油分を入れています。

右画像は洗いあがった直後の画像です。

羽毛までしっかりと洗ったので羽毛はぺちゃんこ、シワもできるため光沢も消失します。

ここから羽毛を膨らめながら光沢を取り戻すための仕上げになります。



◆表生地を傷めない自然乾燥&羽毛を膨らめるふっくら加工

乾燥機を使うと表生地が傷むため、おしゃれ工房You友では全品自然乾燥させています。

このモンクレールダウンの場合だと、5日~1週間程度ハンガーにかけ自然乾燥させています。

ダウン製品は水洗いするとダウンが固まる(ダウンボール)ため間を見ながら手で触って固まったダウンをほぐし広げながら5~7日掛けて乾燥させています。

羽軸に油分を入れてあるので乾燥後にふっくらさせる加工をすることで羽毛は元気に広がりボリュームが出ます。

左画像は自然乾燥後、右画像はふっくら加工後に仕上げまでし済ませた画像です。

しわがあると光沢も消失してしまいますがシワを綺麗に伸ばすと光沢は復活します。



ふっくら!ダウンクリーニング~羽毛を傷めない新しいドライ洗浄方法~

光沢を復活させる表面仕上げ

表面のアップ画像です。

自信満々に大丈夫と言われ出したら光沢が無くなったってご相談がありました。
お客様からするとダメにされた・・・って思われるようですが、シワを伸ばせば光沢が戻ることがほとんど。

洗い直後から完全乾燥までと長い時間タンブル乾燥などされ表面に傷が付いたりなど傷んでしまった場合は直りません。

細かな小じわができると光の反射角度が変わりバラバラに反射するため光沢が無くなるんです。

水洗いで光沢消失が起こる繊維は結構多く、ウール、カシミヤ、シルク製品などは水洗いすることで細かな凹凸が表面にできるため光沢が無くなり質感もクタクタになったような風合いに変わります。

水に浸けこむだけで細かなちぢれが起きるためにでる現象ですが、これらも繊維自体が傷んでいなければ綺麗にしわを伸ばすことで光沢も風合いも直すことが出来ます。

水洗い(ウェックリーニング)をしていくうえで直せることは必須技術なのですが、水洗い後に綺麗に仕上げる事は洗う事より難しく教えてくれる人がいない技術となるので直せるお店はこれから更になくなっていくかと思います。


◆モンクレールダウン 消臭殺菌 まとめ

ひと昔前と今ではクリーニングの在り方も変わっています。
クレームにならないように説明し起きないように洗っていったのが私が学びやってきたクリーニング。

今はクレームにならないように説明するのではなく、クレームにできないようにするための説明になってきていたり、汚れが落ちる落ちないより責任がかからないよう単純に指定通りの洗い方法をこなしていくだけの商業的なクリーニングへと変ってきています。

お客様サイドとしては誰も教えてくれないし説明もされないのでほとんどの方が知らないと思いますが、同じドライクリーニングでも洗い方も違えば洗い方自体も違ってきていたりします。

水洗いも同じです。

この場では詳しくは書きませんがあまりひどい場合はお客様にはご説明させてもらっています。
酷い時は色がくすむ、汚れが落ちていないだけでなく触るとペタペタしているなど・・・

中にはその現象は加水分解などではなく、普通に洗うだけで改善出来ているケースが何件もあったりしています。


一番ややこしくなるのが高額品だからクリーニング代金も高くなるというケース。
金額=品質と考える方が多いため金額に品質が付いて行っていないケースがかなり多くなっています。

このブログの内容はおしゃれ工房You友としての仕事として書いていますが、同じようなケースでお受けした場合は同じ様に手間をかけています。

このモンクレールのお客様にも「内容を見て頂ければ価格に見合う仕事をしていることが分かって頂けると思います」とお伝えしています。

ダウン製品は羽毛で膨らんでいるからしわ伸ばしができない、アイロンなんてかけられないなど聞いたりしていますが、座った時にできる細かな折れシワも肘を負った時にできる折れシワも綺麗に伸ばすことが出来ます。

エリの黒ずみ、袖の黒ずみは丁寧な仕事をしているお店なら残すことなく落とし洗ってくれます。

モンクレールダウンだと1万円前後の価格帯になるお店が増えていますが、どの程度の品質になっているかもこのブログの内容と比較してもらえればある程度予想が付くのでは?と思います。

こうして書いているのも、今年は当店と変らない価格帯なのにかなりむごいと言っても良い状態の仕上がりを何点も見てきているからです。

丁寧な仕事をしているお店ならほぼ同じような内容の仕事をしているかと思います。

参考にしてみてください。


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